見出し画像

寒いから暖かい|好きなものを好きというエッセイ

今日は33度まで気温が上がるそうだ。
朝9時の気温は28度。
窓を開けて眠ったのに、起きたらびっしょりと汗をかいていた。

まだ6月上旬で、今年は1度も冷房をつけていなかったけれど、なんとも暑い。汗もひかない。少し迷ったけれど、ついに今年最初の冷房をつけた。

開け放っていた全部の窓を閉めて、もったいないからと、リビングと寝室の間にある簡易的な仕切りも閉め、最低限のスペースを冷やすようにした。

スイッチを入れてから15分もすると、もう涼しいを通り越して肌寒い。
リビングなんて言葉を使ったけど、せいぜいひとり暮らし分の適度に狭い空間は、すぐにキン、と冷えた。

暑い暑いと騒いでいたので、半袖のTシャツに短いジャージ、腕も足も丸出しにしていたのに、二の腕を見ると少し鳥肌が立っている。こういう温度差で風邪を引くんだよな、気を付けよう。やっぱり冷房はやめて、窓を開けておく方がいいかな。そう思い、冷房の電源を切った。


冷房の効いた部屋から、冷房の効いていない部屋に行った瞬間。


あ、と思った。
暑い空気が流れ込み、冷えた体を包む。
丸出しにした肌がそれを感じる。

久しぶりに感じたその感覚が、わたしは好きだ。


冷房で冷えた電車から、日差しが降り注ぐホームに降り立つ瞬間。
冷えすぎた職場で、厚手のカーディガンを羽織った瞬間の、腕の感じ。


急に暖かいに守られる、あの感覚。
だんだん涼しい快適さよりも、寒いが上回ってしまって、そこから一気に暖かいに包まれる、あのなんとも言えない安心感が好きだ。

でもこれはなぜか、冬に、寒い外から暖かい室内に入る感覚とは全然違う。
言葉にすれば、同じ「寒い」から「暖かい」なのだけど、その湿度や、肌に直接触れる面積や、そういうものによって、全然違うのかもしれない。

とにかく、夏限定の感覚なのだ。

かき氷を食べ終わって、暖かいお茶を飲む瞬間の、口の中。
水泳の授業の後、更衣室で服を着る瞬間。服の生暖かさ。


「寒い」から、「暖かい」に包まれる。
夏にだけやってくるこの感覚が、なんとも言えず、好きだ。

いただいたサポート代は、他の誰かをサポートするために使います!幸せの循環!