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それは援助交際から始まる友情と恋。映画「天使の恋」の感想文

美空ビバリーです。ひでぇタイトルの映画紹介です。
以下、あらすじです。

飛び抜けて美しく、常に仲間の中心にいる理央。
過去のトラウマから他人を信じられず、自分に役立つ人とお金にしか興味を持てずにいた。
そんなある日、どこか寂しげな大学講師・光輝と出会い、運命的に恋におちる―。
初めて人を愛することを知り、生まれ変わったように輝き出し、これまでの自分を悔い改めようとする理央。
光輝はそんな理央に次第に惹かれていく。しかし、光輝には彼女を受け入れられない理由があった・・・。
悲しい秘密、切なすぎる決断、胸をしめつける恋にあふれる涙が止まらない―。
(引用元 https://filmarks.com/movies/15483)

原作はベストセラー(公式より抜粋)のケータイ小説。
そんな本作の主演は佐々木希。そして相手役は谷原章介。
なんともViに特化した構成である。

とはいえ、そこはやっぱりケータイ小説
看過できない点が多いのも事実であり、その点をいくつか指摘したい。
(ここからネタバレありです!)

①ツッコミどころの玉手箱

ケータイ小説といえばやっぱりこれ。
映画冒頭、札束が撒かれたベッドで目覚める佐々木希。(以下、理央)

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序盤から分かりやすくて実に助かる
はい、そうです。理央はオヤジ相手に春を売ってるわけです。

場面変わって学校。
クラスでイケてない系女子のトモコがいじめられている。

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「マジムカつくんだけどコイツ。エロサイトにコイツの全裸バラ撒こうぜ!」(要約)と同級生女子からひん剥かれそうになるトモコ。
「やめなよ。嫌がってんじゃん。」と助ける理央。

助けた理央になんと言っていいやらのトモコ。思わず「ありがとう…!」と大号泣。
理央は「気にしなくていいよ。私たち、”友達”でしょ?」と答える。

場面が変わり、怪しげなクラブ
ドレスアップした理央と友人たち。その中にイケてない私服のトモコが!
即落ち2コマもビックリのスピード展開である。

さて、さんざん飲んで騒ぐ理央と仲間たち。
ふとトモコは妙に金回りがいい理央たちを不思議がる。
「みんな何のアルバイトやってるの…?」とトモコ。

「お金は自分で稼がなきゃ。ウチたちはやってるよ。」
「実はあんだよね~…稼ぐ秘訣が…」
「明日、みんなでやりますか~?」
明らかによろしくないアルバイトであることを示唆しつつ、明日稼ぎ方を教えるとトモコに約束する。

寝落ちしたトモコ。目覚めるとベッド。あたりを見回す。
どうやらここは高級マンションのようだ。
そこに現れるバスタオル一枚の理央。

トモコ「ここどこ…?」
理央「ジントニック3杯飲んだら、つぶれたから連れてきちゃった」
トモコ「そんな恐ろしいことが…
とトリッキーなやり取りを披露する。

約束通り、稼げる方法を教える。と見せかけ、トモコにメイクを施す。
あれよあれよという間に、トモコ覚醒

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キャバ嬢っぽい?きっと気のせいだ。

さて、ここからが問題である。
稼げるアルバイトについて訊ねるトモコ。
エンコーだよ」と火の玉ストレートで返す理央。
ウリなんてみんなやってる」「寝てれば何万円ももらえるんだよ?」と、便乗なんてレベルじゃない悪魔の囁きをする友人達。

当然、難色を示すトモコだが、
「理央なんてエンコーのパパからマンション借りてもらってるんだよ?」
「ウチら“友達”じゃん?一緒にやろうよ」
「いっぱい遊べるし、いつでも一緒にいられるよ?」
常套手段で囲い込む。しまいには、

「…トモコはウチらとは違うんだから。トモコはキレイなままでいな」
「ウチらは汚れちゃったけど、これがウチらの絆だから」
「短い間だったけど、トモコといれて楽しかった」
ふざけたことを抜かす理央。

「…でも、私、ずっとみんなといたいよ…!」とトモコ。
堕ちたな(確信)
普通の人間なら手を切って当然だが、流石トモコちゃんピュアである。

そんなワンピース式勧誘を駆使し、トモコを迎え入れる理央たち。
ドレスアップしたトモコと共に街へ繰り出す。

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こんなシーンもスタンド・バイ・ミーっぽく見えるから不思議である。
援助交際の勧誘から始まる友情なんてあってたまるか、という意見はさておき、この一連の流れで唐突にブッ込まれるチ○ポ例え話のシーンは必見である。

この後、唐突に佐々木希のファッションショーが始まったり実はトモコをいじめてた女子(以下、奈緒子)がレズビアンだったり、そして理央と奈緒子に肉体関係があったりと見逃せない展開が続く。

そしてこの後、本作屈指のカワイイキャラが出てくるので、次の項目で解説。

②萌えキャラ「谷原章介」

本作において谷原章介(以下、光輝)が、一番セクシーでキュートなキャラである

理央とうっかり写真を取り違えたことがキッカケで出会うことになる。
(しかもその際、理央が一目ぼれ。初対面にも関わらず尋常ないほどデレる

しかしその想いに気付かない朴念仁っぷり。(←もうカワイイ

性格は無というと無愛想だが真面目一辺倒。
しかもデレると、ちょっぴりボケたりする。(←超カワイイ

職業は大学の講師(日本史専攻)という中々のハイスぺ。
日本史を教えているだけあって、歴史がとにかく大好き。
歴史の話になるとつい早口になっちゃう。

ね、萌えキャラでしょ?

そんな光輝、そのルックス故に何をやっても様になる。

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雨に降られてもカッコいい。

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無精髭も様になる。

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なんとメガネ姿まで!

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そして日本史が好きすぎて、初デートに首塚をチョイス。
そして接写。とってもキュート。

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なんと好きすぎて兜までかぶっちゃう!
そして古戦場跡に想いを馳せて、大興奮。
そのまま戦地めがけて全力疾走する

ね、やっぱ萌えキャラでしょ?

しかし、そんな順風満帆な二人に数多くの、いや怒涛の不幸展開が押し寄せる

③不幸のバラエティパック

さて、なんやかんやあって理央と光輝は結ばれ相思相愛に。
ここから、怒涛の不幸展開が襲う。

光輝の持病だった脳腫瘍が突如悪化する
・そして切除しないと死ぬこと、切除しても以前の生活には戻れないことが判明する。
・死期を悟った光輝から一方的に距離を置かれる理央。
奈緒子が不登校だったことが判明する。
・登校するなり、奈緒子がクラスメイトをナイフで切りつけようとする。
・間一髪、理央が静止するが屋上へ逃げられ、飛び降り直前の位置にスタンバイする奈緒子
・そして、奈緒子家庭環境が荒みきっていることが本人の口から語られる。
・光輝と付き合っていることを知ってしまったことが、今回の原因なんだと理央にブチギレる奈緒子
・そして、理央の目の前で飛び降り
・気が動転した理央は慰めたトモコに対し、実は奈緒子をけしかけてイジメさせてた、と誰得な暴露をしてしまう。
・当然激昂するトモコ。理央は度重なるストレスからかその場で倒れてしまう
・搬送先の病院で光輝と再会。本人の口から悲惨な容態を知る羽目になる理央。
・お返しとばかりに、理央は中学時代、性的暴行を受け、堕胎をしていたことをカミングアウト。
・そして、図らずも脳腫瘍の手術をしたら弊害で記憶を失ってしまうことを聞いてしまう。
上記の展開が30分以内に発生する。

…とまあ怒涛の展開である。
これはいくらなんでも詰め込みすぎだ。

そして、明らかに理央に非があるものが何個かあるのも問題だ。

簡単に言えば、
本作の不幸要素とは「こうすれば可哀想だろ?」の押し売りでしかなく、その上、一つ一つの要素を雑に処理しすぎている。
見てる側としては感情移入する前に物語が加速するので、感情を置いてけぼりにされる。これでは泣くに泣けない

そして、どうみても主人公が責められるべき事象は全て都合よく解釈され、D4C-ラブトレイン-ばりに幸福なものだけが都合よく主人公側に集まってくる。That's ご都合展開である。

原作がそうなら致し方ないが、映画化するならば、せめて映画という媒体に合う形で出力すべきではないか?と憤りを隠せない。

あまりボロクソに書くのも良くないので、最後に個人的にツボったシーンでも貼っておきます。

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(病床の光輝を見舞う理央。この後、特にひと笑いもなく、シリアスな会話をし始めます。そして、兜を土産に去っていく。)

総括

谷原章介が可愛かったです。
谷原章介と佐々木希の美しさは一見の価値ありです。

あと、ストーリーの大筋はかなり良かったです。
無茶な設定を削れば、もっと感動的な話になるのでは?と思ってしまった。惜しい。(ちなみに僕は軽く泣きました。

とは言え、難病・イジメ・自殺・中絶…色々な要素はいくら何でも多すぎる。これじゃあ、後先考えず全部盛っちゃったバカのビュッフェです。

泣ける映画とは「足しすぎると泣けない」ということを学べる良い作品でした。

謹慎中の旦那さんには申し訳ありませんが、お世辞にも佐々木希の演技は上手くなかったのもマイナスポイントでした…。

気になる人は見ればいいんじゃない?
そんな映画です。はい。

以上、映画感想文でした!