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【マンガ紹介】『GAPS』里つばめ

敬愛してやまないマンガ家、里つばめ先生の『GAPS』という作品を紹介します。

『GAPS』は上司、長谷川直幸(37)がその部下、片桐聡(30)に落ちるまでのあれやこれやを描いたBLマンガで、現在1-5巻が発売中です。

1巻『GAPS』

主人公は長谷川直幸はせがわなおゆき
上司には仕事を任され、部下には慕われ、仕事は順調ですが、恋人との関係はイマイチ。お腹周りが気になり始めた37歳の会社員。

そんな彼の部下、片桐聡かたぎりさとし
背も高く顔もよく腹筋は割れていておまけに優しい30歳。男女問わず好かれる彼は社内に美人の彼女もいます。

長谷川さんがひがんでしまうほど完璧な片桐ですが、長谷川さんはある夜近所の公園で意外な姿の片桐に遭遇してしまいます。髪はぼさぼさで無精髭ジャージ姿の昼間の姿とは似ても似つかない片桐の姿。しかも、ケンカをしたらしい片桐の足元には若者が倒れていて、その手元には若者から奪ったらしい財布が……。

というのが1話。社内と社外では正反対、ジキルとハイドのような変わりっぷりの片桐にびくびくする長谷川さんですが、片桐は自分の裏の面を知られた長谷川さんに心を許したのか、長谷川さんの前では素の自分を出すようになります。その素の片桐がひどい。犯罪スレスレ(いや、捕まっていないだけで完全に犯罪……)のことを次から次にやるし、上司である長谷川さんにもあんなことやこんなことをしまくります。頭がいい彼は、捕まらない(長谷川さんには嫌われない)ギリギリのところをやってのけます。

1巻の中盤までBLを感じる要素はありません。初めて読んだ時は、BLなのにぜんぜんラブの様子がないなあ、と不思議に思いました。
しかし3話のラストから物語は急発進。片桐の長谷川さんに対する猛進撃が始まります。3話まではジェットコースターの頂上に向けてじりじりと上っていく感じで、4話から最終話に向けて急滑降するイメージといったらいいですか。
そして最終話、なんとふたりはくっつかず。
えーーーーー!
それまで最後は両思いになるBLしか読んでこなかったわたしにとって、これは衝撃でした。

2巻『GAPS RISKY DAYS』

ふたりの関係に結末がつかずに終わった1巻。
普通の部下と上司に戻ろうと言う長谷川さんですが、素直にいうことを聞く片桐ではありません。隙あらば長谷川さんに迫ろうとします。
2巻では長谷川さんの部下として新キャラの三浦玲央(28歳)が登場。
見た目はいいけど強烈なキャラ。片桐とはまた違ったタイプの王子、とは彼を見た社内の人の評価。
長谷川さんと片桐のふたりの関係に普通ではないものを感じた玲央は、彼らが気になってしかたがありません。そして彼らを気にするうちに、玲央のなかには長谷川さんに対する新たな気持ちが芽生えたようで……。

2巻でも長谷川さんと片桐の関係は一進一退。そんななかに玲央が闖入し、ふたりの関係をかき乱します。
玲央は空気が読めないタイプなのですが、彼がすることはなぜかみんな許してしまうという、愛されキャラ。
彼の存在がふたりに刺激を与え、長谷川さんの心も片桐に傾きかけたかに思えた場面で2巻が終了。

3巻『GAPS apples and oranges』

片桐になびきかけたかに見えた長谷川さんですが、3巻の冒頭では片桐が放った一言に怒り心頭。片桐の元から去ってしまいます。くっつくようでくっつかないふたりの関係は 3巻でも続きます。
長谷川さんがなかなか自分のものにならないことに苛立つ片桐はとにかく不機嫌で、緊張感のある3巻。強引に長谷川さんをものにしようとしますが、長谷川さんはどうしても片桐を受け入れられない。長谷川さんの葛藤は、片桐に体を許せるかに尽きます。男としてのプライドがあり、自分が受け身になることがどうしてもできない。そんな長谷川さんの前に現れたのが、以前好きだった元同期の女性。彼女と再開することで、長谷川さんは自分の気持ちの変化に気づき……。

3巻でも活躍するのが闖入者の玲央。玲央の手引のもと、長谷川さんと片桐の3人で遊びに行ったり、長谷川さんを手に入れるためにあることを画策する片桐の手助け(というよりは、使われているといったほうがいい気がしますが)をしたり、ふたりの間を取り持ちます。

4巻『GAPS hanker』

もう4巻の内容は帯を見ていただければ、と思います。
不能姫とは長谷川さん、クズ王子とは片桐のこと。そう、この巻でやっとふたりが心身ともに結ばれます。長かった!おめでとう!
なぜ長谷川さんが不能姫かというと、長谷川さんは1巻のはじまりからずっとEDなのです。不能姫もすごいけど、クズ王子もなかなかのいわれよう。でも読んでる人にはすぐにピンとくる愛称。
調べてみたところ『GAPS』の連載がはじまったのは、2014年1月20日発売のCRAFTvol.59から。(たぶん。間違っていたら指摘していただけるとありがたいです。)連載開始から4巻が発売する2019年6月1日までは、5年半近くかかっています。その間ふたりを応援し続けた人たちの気持ちを代弁しているような帯!
わたしが『GAPS』を知ったときはすでに4巻が発売していたので、1巻から4巻まで一気に読めたのですが、連載開始、または途中からこのふたりを追っていたひとたちにとっては、この4巻は言葉で尽くしがたい思いがあるのではないかと思われます。

4巻で特筆したいのがふたりの初めてのセックスシーン。なんと3話にわたって描かれております。これまで片桐のひどさをずっと見てきたわたしは、どうも片桐を信用しきれないところがあったのですが、予想外に丁寧な(しかしひどいはひどい)片桐に感動をしてしまった。セックスシーンに泣くと思ってなかった。

この巻でも玲央が活躍します。そして新キャラの瀬戸君登場。玲央と同期だということなので、年齢は玲央と同じ28歳くらいかと思います。大人しくかわいい顔の瀬戸君ですが、彼もまた玲央同様一癖あります。彼の存在がなかなか片桐の気持ちに答えられない長谷川さんをあせらせます。

5巻『GAPS off limits』

現時点(2021年10月3日)での最新刊。連載時にファンの心を乱しに乱した求婚という文字。

里先生も「プロポーズ編」っておっしゃってる!

まだつき合うということに対して戸惑いがあり、片桐を前にするとぎこちない長谷川さん。片桐はそんな長谷川さんに少し不満そう。
今まで活躍した玲央と瀬戸君は一瞬出てくるだけですが、今回活躍したのは片桐の大学時代の先輩、中村さん。一見さわやかなイケメンの中村さんですが、それは里先生が描く人物。かなり強烈なキャラです。
5巻では中村さんのおかげ(?)で片桐の身にアクシデントが起こります。個人的にはまた不機嫌な片桐が見られて嬉しかったです。
わたしは長谷川さん同様、片桐の長谷川さんへの気持ちが本気なのかどうかずーっと信用できなかったのですが、この巻を読んで、ようやく「本当に好きだったんだ!」と思えました。
そして、最終回に感動。長谷川さんの片桐への愛の深さに泣きました。長谷川さんの心も決まったし、片桐への疑いも晴れたし、ほっとした巻でした。

以上、『GAPS』、既刊本の紹介でした。

その他に配信で買える番外編があるので、ご紹介しておきます。

『DOGS』は、『GAPS』のなかに登場する片桐の幼なじみ矢島千紘(やしまちひろ)を主人公にした『GAPS』のスピンオフ作品です。その二作品のカップルが登場する短編。

片桐と矢島のふたりのやりとりが見られてニコニコ。長谷川さんと矢島の上司斉藤さんが接触する場面もあり、両作品のファン歓喜の番外編です。

以上、『GAPS』シリーズの紹介でした。


わたしが『GAPS』にハマった経緯はこちらで書いています。『GAPS』にハマるとひとはどうなるのか? その一例としてお読みいただけると幸いです。


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