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【マンガ感想】『柏屋コッコの人生漫才』

単行本で全巻持っていた『柏屋コッコの人生漫才』も他のマンガ同様引っ越しの際に手放してしまいました。

吉本ばななが初期のエッセイで入院中に読んでゲラゲラ笑ったと書いているのを読んで、買ったのが出会いです。買ったのは二十過ぎたくらいだと思うので、今から二十年くらい前になりますか。

コッコ先生の実生活で起こる様々な珍事を勢いよく描いたマンガで、わたしもゲラゲラ笑って何度も読み返しました。

全8巻。コッコ先生のwikipediaには”自身の人生を切り売りした自虐的ギャグを披露した”と書かれている作品。

また読みたいなあ、と思ったら電子化してるの見つけました!やった!
13年振りくらいに読みました。

昔面白いと思ったものでも時間が立つと色褪せてしまうのでは、と心配したのですが、全くの杞憂でした。やっぱりおもしろい!

マンガに出てくるおなじみの、コッコ先生の同僚、花竹さんや鶯さん、コッコ先生の友達の減田さんにまた会えて嬉しい。

普通ですよという顔をして生活している人の、普通でない部分がコッコ先生の手によって描かれています。
そしてこの作品を語る上で外せないのがコッコ先生の行動力。読んでて何度度肝を抜かれたか。
地元から20万円をにぎりしめて上京、借りる部屋を即決するも、住んだそばから所持金が数百円に…。風呂なしの部屋でマンガを描きながらアルバイトをして生活、と書くと苦労、貧乏、という言葉が浮かびますが、コッコ先生はそんな上京を笑いに変えて見せてくれます。ほんと、読むと元気になるマンガです。

基本的にはコッコ先生の実体験を描いたマンガなのですが、後半になると読者から奇人変人エピソードを募集した「びっくり人間」のコーナーが始まります。
わたしはこのコーナーが好きでして、特に5巻の、会社の隣の席の美人の先輩が自分にだけ変なことをしてくる、という大好きだった話がまた読めて、非常に満足いたしました。

衝撃の鍋プリンが登場する5巻。

単行本で読んでいた当時は、こんなにおもしろいマンガを描くコッコ先生が、ずっとマンガの中で「もうだめ」「描けない」と言っている理由が分からず、もっと読みたい、もっと続けてほしいと思っていました。

久々に読んだら、実生活を切り売りしていく大変さがひしひしと伝わり、本当はもっと早く連載を止めたかったんだろうな。奇人変人エピソード募集も、実生活を切り売りしないで連載を続けさせるためにやっていたんだろうなあ、と昔読んだときとは別の感想を抱きました。

しかし面白いことに変わりなし。

引越しを機に手放した漫画をまた読むことができて、最近の書籍電子化の波をありがたく思ってます。

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