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価値をつくるものは群れを制する[新・群れラジオ#6]

こんにちは、群れ研究所です。

新・群れラジオ#6は11月15日に開催されました。パーソナリティは所長とらる研究員で、記事担当マイクとみさわです。

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コミュニティ運営には、メタ的な視点が必要なんだなと思った。
犬を使って羊を動かすみたいなやつに近い。
犬が手法で、メンバーは羊・・・
by.所長


価値とはなんだろう?


「無価値だ!」
そう叫ばれたことはありませんか。
「価値を感じられない…」
ため息まじりに言われたことはありませんか?
価値という言葉はしばしば、私たちをひどく惑わせます。

本記事では、コミュニティ設計の目線で<価値とはなんだろうか?>をめぐって、お散歩してみたいと思います。

『遠くへ行きたければ、みんなで行け』には、<価値>という言葉がたくさん登場します。どうやら、コミュニティをつくる上で価値が重要な鍵になるようです。



群れ研究所では、コミュニティのことを<群れ>と呼んでいます。
みなさんはどのような群れに所属していますか?
ご近所さん?部活?ゲーム仲間?色々ありますよね。

コミュニティは基本的には、共通の関心ごとによって結ばれた人々のグループだ。
p.39

『遠くへ行きたければ、みんなで行け』にはこのようにありました。複数の人間と共通の関心ごとさえあれば、私たちは同じ群れに属していることを宣言できるのです。ただ、ここで問題がひとつあります。

帰属意識の峠をめざして


共通の関心をあげて仲間だ!と宣言できれば、その人は群れに属していると言えるのでしょうか。

たとえば、夕方のスーパーマーケットには多くの人がカートを押して通路を歩いていますが、彼らの関心ごとはただひとつ、「何を買おうか?」であるように見受けられます。同じ行動をして、同じことを考えていますよね。仲間じゃないですか!それなら、私や彼らを総称してコミュニティと呼べるだろうか。

答えはノーです。
なぜなら、私もよくスーパーを闊歩しますが<ワイの群れや!>を感じたことがほとんどないからです。言い切ってしまいました。

みなさんはいかがでしょうか。もしかしたら、私が気づかないだけでコミュニティに包囲されているのかもしれません。



自分はこの群れに属しているぞ!と感じるかどうかが、ただのつながりなのか、群れ仲間なのかを分かつのではないでしょうか。

そこで気になるのが、人々はどのようなときに「この群れに属しているぞ!」と言いたくなるかということです。それが本書でいうところの、<帰属意識>を感じているときなのだと思います。私は今、群れ研究所の一員を宣言します!カチカチカチ…

帰属意識とは、コミュニティの心理的な宝物で、自分がそこでは認められていると感じさせたり、コミュニティ・メンバーに満足感と安らぎをもたらすようです。では、どのようにしたらコミュニティ・メンバーに帰属意識をもってもらえるのでしょうか?

そのためには、コミュニティ・メンバーによる参加と、その参加に対して、他コミュニティ・メンバーが価値を感じることが必要だと思います。そういってしまうと、誰かの感じる価値をねらって無理やりにでも、捻出しなければならないという発想も起こりますが、コミュニティが成長していくには、市場に流通しているような既存の価値だけが重要なのではありません。

成長するコミュニティにとって、価値とはすでに定義されたものではなく、コミュニティ・メンバーによる持続性のある低負荷の分配ではないでしょうか?
そして、運営には、メンバーによる分配が価値のある貢献になるように道筋を整えることが求められます。

私も、知識を分配して関係性を築くタイプの人生を歩んできました。いろんな情報を集めてまとめて、みんなに分かりやすく紹介してみんなの役に立つことで、自分の存在を認識してもらう。そのために日ごろから情報収集して、知識をストックして、自分の中に体系立てていく。そういうのは比較的得意なので、「ゼロコスト」でやってきました。
なかそね note『インターネットで希釈化した分配』より


価値という丘を超える


『遠くへ行きたければ、みんなで行け』には、価値について以下のような記述がありました。

価値とは辞書では「相対的な価値、効用、重要性」と定義されている。そして大きく2種類に分けられる。
有形の価値とは、目で見て、触って、感じることができる測定可能な物理的な商品やサービスだ。
無形の価値とは、君が経験し、感じるメリット、たとえば経験や関係性のことだ。
p.99より抜粋

私が群れ研究所の一員であることを宣言したということは、群れ研究所に価値を感じているということでもあります。

最初に入ってもらうには目に入るメリットが重要だけど、最終的には目に見えない価値があるから来たくなる。価値的には無形のほうが高いと思っていて、無形の価値の最上は楽しい時間を過ごせることなんですよ。
by.らる

無形の価値は同じような価値を持つものを見つけにくいために、より価値があるような感じがするのではないでしょうか。

スーパーに買い物に行くということもまた、価値を感じているということであります。なので、もしスーパーにコミュニティがあるなら、私もそのメンバーであると言えますよね。

それでも、群れ研究所の一員だ!とスーパーコミュニティの一員だ!というのでは、感覚的に何か違うような気もします。それはなぜでしょうか?

どうやら、私が群れ研究所に価値を感じていて、何かしたい!と思っているからのようです。


社会関係資本というトロッコに乗る


『遠くへ行きたければ、みんなで行け』には、人間がコミュニティに帰属するまでの段階を6つに分けて、説明しています。そして、右方に向かってソーシャル・キャピタル、社会関係資本が高まるようです。


【アクセス】→【なにがしかの貢献】→【自信】→【尊厳】→【他人へのインパクト】→【帰属意識】
人間がコミュニティに帰属するまで (p.42


こちらの段階図では価値の大小を表しているのではなく、価値の変遷を表していると私は見ています。どのような価値を感じるかによって群れとの関わり方が変わってくるというわけです。

群れ研で記事作成を担当することと、スーパーに買い物に行くのでは、各コミュニティに感じている価値や、関わり方が異なるということでもあります。


社会関係資本とは、コミュニティの通貨になるものです。お金を出せば欲しいものを買えるのと同じように、形はなくても人を動かす力を持っていて、コミュニティ・メンバーの尊敬の念から形成されるものです。みなさんの所属する群れで尊敬する人は群れに何をもたらしていますか?

とても大事なことは、ソーシャルキャピタルはコミュニティに対する価値ある貢献の見返りとして得られるものではなく、貢献をどのように生み出すかによって生み出されるものでもあるということだ
p.44


成長するコミュニティは、多くのメンバーの貢献に支えられていると思いますが、それをふまえて、コミュニティを設計するときに考えるべきは、どう貢献してもらうかではなく、どんな価値を提供できるかが大事だと本書では繰り返し強調されています。


価値とは、相対的なもので、価値を感じる人があってこそのものです。なので、自分の感じた価値を保存するためにも、人は群れるのではないでしょうか。

また、そのコミュニティがどれだけ社会関係資本をつくりだすことができるのかは、成長するコミュニティを設計する上で非常に重要だと思います。

というのも、コミュニティ内で社会関係資本が高まるということは、メンバーにとって価値と感じる部分が大きい、コミュニティ内で流通する尊敬の感情が大きくなっているからです。

自分がしたこと、うみだしたものに誰かが価値を感じてくれると、徒労は成果に、個人的な快楽には尊厳が与えられます。そうした群れる喜びが人々を加速させ、コミュニティを成長させることになるから、価値は重要だと考えます。


他の人々の幸福に配慮することで、より大きな個人的利益を得られるようになり、最終的には自分の感情と他人の幸福を重ねるようになっていきます。

これがミルが「一体性の感情」と呼ぶものです。


そしてこの「一体性の感情」は、それを持つ人にとっては自分たちの幸福に欠かせない特質であり、『最大幸福の道徳がもつ究極のサンクション(=動機付け)』になっているのです。
らるnote『人間の究極の動機 一体化の感情とは』より引用

とみさわが記事担当に手を挙げさせていただいたのは、ラジオでのびのびと楽しそうだったからだと思い出しました。私も何かしら貢献できるような分配ヂカラを高めたいです。そのためにも睡眠運動散歩!感謝感謝✨

価値と欲望の渡し舟、バリュー・ステートメント


前記事では、研究員たちはなんで群れ研活動しているの?という話になりましたが、個人的な動機は三者三様でした。バラバラでいいの?と気になるところかもしれませんが、こちらは個人からみた価値なので、問題にはなりません。裏を返せば、少なくとも3つの価値が見込めること担保しているとも言えそうです。

所長:社会的なコミュニケーションのコストを下げられる
らる研究員:社会的健康の増進が期待できる
めぽ研究員:どういう群れが魅力的にワークするかという興味が満たされる
研究員は群れ研活動にどのような価値を感じるか?


バリュー・ステートメントを書き出してみた


今回のラジオでは、我々がどのような価値をつくっていくか?(=バリュー・ステートメント)について、<自分たちのため><コミュニティメンバーのため>の二軸で書き出してみました。

群れラジオにはソクラテスも密かに参加している?

書き出されたものを見てみると、価値とは誰かの目線の先にあるものなのだなあという感想を抱きました。

バリュー・ステートメントは価値観に近い話だと思っていて、<ここに辿り着きたい!>と思うと頑張れるんですよね。ゴールの状態に近づくためにどうやっていくか?そういう設計のひとつひとつは非常に細かくてめんどくさいのもあるけど、自分の中にゴールがあるから頑張れる。ゴールに達したいという欲望であり、その人にとっては美でもあると思うんです。

欲望が根本にないと弱いと思うんですよ。そして、その欲望に理由は要らなくて、むしろあったらだめだとも思いますね。
by.らる

群れ研究所の活動はみなさんの欲望センサーを刺激できているでしょうか…?

我々も自分たちの活動がみなさんにどのような価値を提供できているのか、あるいは、これから提供を見込めるのか、フィードバックを得たいところなので、よければ…ぜひに…!

スプレッド・シートを置いておきますのでご自由に書き込みください。


突撃!うちのアイドルインタヴュー

群れ研アイドルのファンのみなさんのための切り抜きインタビューです。
今回は、「自分だけがその価値にきづいてるもの」
答えてくれたのは、来須るりさんです。

そうですね……。
バファローズポンタ(※ローソンのキャラであるポンタがバファローズを応援しているTwitterアカウントがある)の本当の価値に気づいているのは、私だけではないでしょうか? 

フォローしている方の多くは、勝って喜んでいる姿や、負けて『んほー!』と叫んでいる姿を見て、ただ楽しむだけかもしれません…が、あのアカウントの最も大きな価値はそこにあるのではなく、『いくら負けても、次の日の勝利を全く疑わず頑張る姿』を教えてくれることにこそあると考えています。

今年は優勝したオリックスですが、それこそ、バファローズポンタが応援を始めた頃のオリックスはあまりに弱すぎて、ポンタは毎日のように『んほー!!』と叫び、服が無くなり、川に流され、宇宙人に攫われ…と散々な日々を送って…

(長すぎるので省略します)

バファローズポンタです。


ラジオ群れのお悩み相談室


こちらは群れラジオのお悩み相談室でございます。

今回の相談者はシビレ胸腺さんです。

相談者:DX人材を育成せよという命令があって…
ぴーぱわ(『People Poweredー遠くへ行きたければ、みんなで行け』)を読みながら、人材育成の企画を考えているんですよね。これをコケたら会社からトンズラしようかな、くらいの気持ちでいるんです。

カヲル:それは背水の陣すぎる状況ですね。

相談者:僕の会社は典型的な上意下達で、上にぶらさがって何十年もやってきている会社なので、外に出ていこうという向きがないんですよ。みんなが阿吽の呼吸みたいなことを言うんです!秘伝のタレみたいな感じで、決まった方法で決まった動きをすることが求められていて、そのアップデートがされることはほとんどない!

カヲル:なるほど…
ちなみに、DX人材になって仕事は変わるんですか?

相談者:仕事は変わらないです!でも、この研修を受けると普通の人になります笑

カヲル:今、会社はどういう人で回ってるんですか?!
仕事自体は変わらないけど何を変えたいのか?そこが価値が出てくる部分だと思うんですよね。そして、そのためにはDX人材がどういう人材なのかを考える必要があるんではないでしょうか。


相談者:この本にもありましたけど、僕が、DX人材とは何か?を決めちゃダメなんですよね。みんなで考えていかないといけない

カヲル:そうですね、運営の人たちがね

相談者:それがうちの部署でもある、と…

カヲル:現状は回ってるんですよね?

相談者:ビジネスモデルが強いからまわるんですよ。社長のリーダーシップでここまで持っているけど、この先の時代はどうなっていくのかわからないですし…

カヲル:競争に勝てないかもしれないという危機感があって、ひとりひとりが自立して考えるような集団にしたいってことですね。

相談者:そうなんですよ。僕が担当できる研修はDX人材部門しかないので、ぴーぱわを読みながら、企画を練っています。

カヲル:私もそういった人材育成の資料を作ったりやったことがあるんですが、実際の仕事内容とは関係ないから、やる気がなかったら何も身に付かずに終わってしまう恐れがありますねぇ…

相談者:DX人材研修でどんな価値を提供できるのか、バリュー・ステートメントを詰めてみます!

今回相談いただきました、シビレ胸腺さんですがため息まじりにも、目は闘志で燃えていました。サラリーマン、かっこいいですね。

毎週火曜日の19時30分から新・群れラジオをお送りしています。
どなたでもマイクオン歓迎で、群れのお悩みも募集しています。

次回は、『遠くへ行きたければ、みんなで行け』を読みながら、問いをスプレッドシートに書き込んでいきます。


おまけ


冒頭の所長の発言を受けて、とみさわには『アルケミスト』の一節が思い起こされました。羊飼いの少年が主人公のお話です。

羊たちの興味はと言えば、食べ物と水だけだった。アンダルシアで一番良い牧草地の見つけ方を少年が知っている限り、羊たちは彼の友達でいるだろう。
『アルケミスト』

今回は、コミュニティ設計の目線から見る、価値をめぐったお散歩にお付き合いいただきましたが、つまるところ、不満足なソクラテスもかっこいいけど、欲望に忠実な羊もかっこいいよね。という話なのかな、なんて妄想しました。

めぇえええ!!

それではまた、
とみさわでした。

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