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インターネットで希釈化した分配

今月は「分配」をテーマに、感じたことを書いていきます。「分配」についての詳しい解説はこちらのnoteをご参照ください。

「もの」のやり取りには、「贈与交換」「分配」「再分配」「市場交換」の4つがあるそうです。
新しく関係性を作るには「贈与交換」か「分配」が有効そうです。
しかし、贈与交換は相手に受け取りの意思がないと成立しません。
ということで余ったものをあげる「分配」にチャレンジしてみてはどうでしょうか?

「ゼロコスト」の分配

1年以上前から、自分が苦もなくできること、いわゆる「ゼロコスト」で生み出せるもの(すなわち、ゴミのような、うんこのようなもの)を分配していこう、という話をしてきました。

これは一つの理想形なのですが、モノが余っている現代社会において、他人のゴミをありがたく受け取る必要はなくなっています。親戚やご近所さんからの「おすそわけ」も、ありがたいものというより面倒なやっかいなもの、に変わりつつあるように思います。

インターネット上では、それがさらに顕著です。解決すべき課題が減り、暇を持て余す人が増えて、知識の価値が暴落しています。Wikipediaに代表されるように、たいていの知識は無料で分配されています。むしろ、多すぎる知識の中からいかに自分にフィットした情報を抜き取るか、そういう検索技術、キュレーションとよばれる技能が求められるようになっています。そうした能力を持つ人が、道先案内人とかコンサルと呼ばれてもてはやされています。

もう拾いきれないくらいに世の中は分配であふれていて、その中でも特に美味しい情報は、バズったり、ランキング上位になったり、メディアで紹介されたりして、みんなに瞬時に行きわたるようになりました。そんな世界において「分配で関係性を築く」とはどういうことなんでしょう?

分配するんじゃない、させていただくんだ

私も、知識を分配して関係性を築くタイプの人生を歩んできました。いろんな情報を集めてまとめて、みんなに分かりやすく紹介してみんなの役に立つことで、自分の存在を認識してもらう。そのために日ごろから情報収集して、知識をストックして、自分の中に体系立てていく。そういうのは比較的得意なので、「ゼロコスト」でやってきました。私のnoteもだいたいそんなコンセプトで書かれているんじゃないかと思います。

でも、今は因果が逆になってきたと思います。まとめ記事がありがたい時代ではなくなっている。分配したから関係性を築いてもらえる時代じゃなくなっている。もはや、先に関係性を築くことで分配をさせていただく、私がせっかくまとめた情報なのでよかったら分配させてください、読んでください、とお願いする時代。

アフィリエイトが流行ったり、知識でマウントするオタク語りが流行ったり、知識の押し売りが横行して、みんな「タダより高いものはない」「信頼できる人の情報しか見ない」といったスタイルを取るようになりました。今や、赤の他人からの知識の分配はマイナス要因でしかないのです。ちゃんと信頼できる、関係性の見える相手からしか情報を入手しなくなったのです。

だから、分配する前に、先に関係性を築かないといけない。でも、新しい関係性を築くためには贈与交換か分配をしなきゃいけない。これって詰みじゃないですか?

誰もが配れる貴重な資源、それは

インターネット上にこれだけ知識があふれ、モノもあふれています。そんな中でも、きちんと「贈与」や「分配」が機能する、貴重な資源があります。それが「時間」だと私は思います。

「時間」は誰にも平等に、どんなに裕福な人でも貧しい人でも、1日は24時間、86400秒と決まっています。この時間を、どこにどれだけ割り振るか、それこそが最大の「贈与」「分配」になると私は思います。

与えられた時間を、誰かと直接会って話すことに使えたら、それは両者にとって時間の「贈与交換」となりますし、noteを書いてみんなのための記事を作成すれば時間の「分配」となります。会社での仕事に明け暮れていれば、会社に時間を売って給料をもらう「市場交換」をしているといえるでしょう。

自分のスキルアップのための資格勉強に時間を使えば、それは自分のための時間です。昔は、資格を取ってキャリアアップを目指そう、みたいなのが流行ってましたが、知識があまっている現代において、時間を自分のために使うのがどれくらい得策なのかわからなくなってきました。同じ勉強をするにしても、独学でひとり自宅にこもって打ち込むより、同じ目標を持つ仲間と一緒に協力しあって勉強した方が有意義な気がします。だから大学や塾はいいところで、家庭教師や通信教育はちょっと違うんじゃないかな、って思ったりします。

YouTuberをはじめて4か月の感想

こうした「時間の分配」の流れが、実際にYouTuberとして活動するようになってから、自分の中で感じられるようになりました。それまでゲームは一人でプレイするだけで、たまに良いリザルトが得られたときのスクリーンショットをSNSで共有する感じで生きていました。

ゲーム実況系のYouTuberを始めると、まず一人でゲームするのがもったいなく感じるようになります。どうせやってることは一緒ですから、垂れ流しでもYouTubeなどで共有できるようにしておいた方がお得な感じがします。まさにゼロコストのゴミの分配です。しかし、垂れ流し実況は本当に内容が薄くゴミ要素が高いので、見にきてくれる人はほとんどいません。

では誰が見に来てくれるのかというと。私はスーパーマリオメーカー2というゲームをやっているので、必ず「誰かが作ったコース」をプレイするのですが、その「誰か」が見に来てくれるのです。「私の作ったコースがプレイされている!」と思うと、見に来てくれる確率はかなり高くなります。私は自分の時間を使って、「あなたの分配してくれたゴミを受け取りますよ」という意思表示をすることで、新しい関係性が築けるわけです。

そう。自分の時間を、相手のゴミを受け取るために使うこと。これが最大の関係性構築につながるわけです。

そう考えると、「お前の苦悩を語れ」とか、まさにそうだな、と思いました。自分の苦悩というゴミを、わざわざ相手が時間を割いてまで聞いてくれるなら、うれしいですよね。

ということで、私も長らくYouTubeでは「自分の見つけた面白そうなコース」をプレイして配信していたのですが、それよりも「みんなが作った、私にプレイしてほしいコースを教えて」というコース募集形式でやった方が、断然見に来てくれる人も増えるなぁ、というのを実感しているところです。

今月の発見はそんなところです。

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