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うんこを出せ!ゴミを売れ!あっと驚く江戸の健康生活

酷いタイトルですね。今日は菅野俊輔監修『図説 世界があっと驚く 江戸の元祖エコ生活』という本から江戸の健康生活について紹介します。

江戸庶民の家

江戸時代の庶民は長屋に住んでた、みたいな話はぼんやりと聞いたことがありましたが、本書にはその長屋の見取り図がありました。

江戸の裏店

見取り図の左端と右端が大通りに面した部分で、そこには表店(おもてだな)というお店(見世)がありました。こういう雰囲気は時代劇とかでも見たことがありますね。

そして、表店と表店の間に裏店(うらだな)という居住スペースがあったそうです。ここには三坪とか五坪の狭い部屋がいっぱい並んでいますが、この1部屋に1家族が住んでいたそうです。1人じゃなくて1家族。6畳1間に1家4人暮らし。人口密度ヤバい。高層住宅ないのに平屋だけで100万人も住もうとするからだよ。馬鹿な。

6畳の家具の配置も書いてありました。布団も食卓も重ねて片付けて生活スペースを確保していたようです。

江戸の部屋

でもね、まぁ無理ですよね。この部屋は、食事して寝るだけの場所で、日中はとにかく外に出歩いていたようです。

トイレ(雪隠)や井戸は中央の共同スペースにあって、お風呂は銭湯に行ったということで、部屋にあるものは本当に少数。食料の備蓄とかは基本的には全くなくて、それでも困らないくらい毎日行商人がその辺をいっぱいうろうろしていたようです。江戸の町はすぐ火事で燃えるから、備蓄する価値が低いんですね。Alwaysハイパーインフレじゃん。

江戸と健康

健康の定義はWHOによると、肉体的健康・精神的健康・社会的健康の3つを兼ね備えた状態ということですが、江戸の庶民はこれを満たしていた、非常に健康な集団だったようです。まぁ、医療とかないから、健康じゃないと死ぬんだよね。普通に。

肉体的健康:運動/睡眠/食事

運動はばっちり。何をするにしても自分で歩かないといけないし、便利な機械もほとんどないから男女ともに毎日が力仕事だ。

睡眠もばっちり。電灯はないし、ろうそくとかも高価だから、基本的には暗くなったら寝て、太陽が昇ったら起きる。十分な睡眠が確保される。

問題は食事だ。一汁一菜が基本で、おなかいっぱい食べられれば満足、という感じだったらしいが、農業も近郊でやっていて、海でも魚がとれて、そんなに食料に困窮する感じではなかったらしい。白米が一番人気だが、ちょっと高価なのでアワやムギ、大根、いも、豆などを混ぜてかさ増しして食べていたらしい。

江戸中期には、酢、味噌、しょう油、砂糖などの調味料が出回るようになり、塩だけの生活からかなり味付けの幅が広がったらしい。「豆腐百珍」という料理本が出版されて大人気だったとか。

漢方の考え方も浸透していて、旬のものを食べよう、きゅうりは身体を冷やす、芋は冬に食べろ、など食生活の知恵も健康に一躍買っていたようだ。そんな感じでみんな食事も健康的だった。

社会的健康:群れ

江戸の庶民は、まだまだ弱者の集まり。長屋に集団で住んでいたのも群れることで外敵から身を守っていたから。泥棒とかが来ても、こんだけの人口密度で人がいれば誰かが見てる。スイミーと一緒だ。

その分、プライベートはかなり少なめだったようで、ちょっと群れに適合できない人もいたらしい。でも、そういう人は死んでいくだけなので関係ない。まだまだ人間は弱い存在だったんだ。

精神的健康:認知

これは本書からは直接は読み取れなかった。でも、やっぱり質素な生活だとつらいので、いろんなお祭り、イベントがあったらしい。ひな祭り、端午の節句、七夕のような年中行事、神社でのお祭り、お花見やホタル狩り、きのこ狩りなど季節イベント、とにかく非日常を求めて頻繁に遊んでいたようだ。暇なときは読書も大人気だったらしい。意外とインテリだな。

江戸の仕事

江戸の庶民が健康なのは分かった。じゃあ江戸の庶民は何の仕事をしていたんだ? 江戸ではリサイクルが盛んで、どんなものでも再利用していたという。紙くずを拾って古紙問屋に持っていく人、カマドや七輪から出た灰を買って集める人、古着や桶や傘も壊れたら修理するし、下駄や瀬戸物も修理するし、とにかく廃品回収と修理屋さんが山ほどいたらしい。

モノが少なくて貴重だったから、リサイクルする方がコスト安になって、おかげでいっぱい仕事があったんだろうか。中でも貴重な資源として売買されていたのが、うんこだ。近郊で大量の農作物を作って江戸に供給し続けるためにも、肥料は重要。特にふだんからご馳走を食べている裕福な商家や武家のうんこは人気が高く、業者や農民が先を争うように買い求めたらしい。そのため、うんこ価格が急騰し、幕府が市場介入することもあったとか。

は? うんこやぞ?

裏店では大家さんが農家と契約して、住民のうんことお金や野菜を交換してもらったとか。都会のうんこは慢性的に不足していて、盛り場に仮設トイレを設置してうんこを集めたり、みんな必死だったようです。現代人は貴重なうんこをゴミだと思って捨ててますが、本当にもったいないですね。

それでも出るゴミ

江戸のリサイクルはとても有名な話ですが、やっぱりそんな江戸でも、どうしても捨てる以外に道のないゴミはあったそうです。人口百万人もいればゴミの量だって増える一方で、それなりの環境問題を抱えていたらしい。知らんかった。

江戸初期ならその辺の空き地にゴミを埋めていたけど、空き地がなくなると人々は水路にゴミを捨て始めたそうで、船の運航にも支障が出たとか。仕方なく幕府がゴミ集積所を作ってゴミを回収し、海に埋め立てていったらしい。

でも、やっぱり基本はリサイクル。まずはゴミが売れないかを考える。たとえば農家が稲から白米を取り出した後に残るモミガラやワラ。これも何かに使えないかと試行錯誤して、土壁に混ぜたり屋根吹きにしたり、草履や米俵にしたり、蓑を作ったり鍋つかみにしたり、たわしを作ったり、とにかく再利用した。どうしても再利用できなければ捨てるけど、それはなるべく減らした。そういう努力は見習うべきかもしれない。

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