歌の入っていない音楽ジャンルについて
ジャンルというのはあくまで便宜上のものですので、大分類の中に小分類があったり、全てあるいは多くのジャンルを横断しているものや逆にどれにも分類しづらいものもあります。
例:「現代音楽」というのは実際は「第二次世界大戦後から1970〜80年代くらいまでに作られた芸術音楽・実験音楽」を指すことが多いのですが、「既に古いのだ。現代じゃないじゃないか。」という声もあったり。
ポピュラー音楽(劇伴などの商業音楽)と区別するために、芸術作品として作られたオーケストラ音楽を「純音楽」と呼称する時代もありましたが近年聞かなくなりました。
ジャズとクラシック以外のインスト音楽のそれぞれの違いについて、自分の認識している範囲で書かせていただきます。
アンビエント・ミュージック
主にシンセサイザーで作られた、ダウンテンポで緩急のほとんど無い音楽。シンセパッドによるドローン(持続音)が特徴。
Zen Hanami『Lágrimas De Color』
ヒーリング・ミュージック
ヨガのための音楽、またはリラクゼーションを提供する店(スパ・エステサロン等)で流すためのアンビエント・ミュージック。オリエンタルな雰囲気の曲調も多い。
「リラックス・入眠を促すこと」に特化した音楽。
映画音楽
文字通り「映画で流れる音楽」です。サウンドトラック、フィルム(スクリーン)・ミュージック、劇伴とも言います。
→「サウンドトラック」という呼称は、元々撮影用フィルムの音声を記録する部分(トラック)のことですが、ここから派生して「映画の音楽」を指すようになりました。
→「劇伴」とは、映画だけでなくドラマ、演劇の音楽も包括しています。
Michel Legrand『Summer of '42』
エレクトロニカ(通称「ニカ」)
主にシンセサイザーとサンプリングで作られた電子音楽全般を指します。
シュトックハウゼンなどの現代音楽作曲家の作品からレイ・ハラカミまで幅広いです。最近ではJazzの要素が色濃いものも多いですね。
Serph『Sanpo』
こういうの個人的に超ツボです。
The Juju Exchange『Morning Of』
↑この曲なんかは人によっては「これはJazzだ」と言うでしょう。
EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)と被っている部分も大きいのですが、感覚的には「あくまでダンス用として特化したビート重視(バスドラ4つ打ちが多い)の音楽をEDM、鑑賞用という要素が強い音楽をエレクトロニカと呼んでいます。
ニューエイジ
ジャズでもラテンでもエレクトロニカでもない、主に生楽器で演奏されるインスト音楽全般を指します。
ただ人によってはヒーリング・ミュージックのことをニューエイジと言う場合もあります。
最近、この辺りの音楽を指して「インスト」と言っている人も多いようですね。
西村由紀江のアルバム『Fascination』
この西村由紀江さんと中村由利子さんの音楽はバブル期〜90年代半ばくらいにかけてテレビ・ラジオ番組のBGMなどで使われまくった記憶があります。
中村由利子『Fantasia』
クラシカル・クロスオーバー
文字通り、クラシック曲を現代風にアレンジした音楽。
歌手だとサラ・ブライトマンや本田美奈子さんが有名ですが、インストだとすぐに浮かぶのがクライズラー&カンパニーですかね。
音楽の細分化・横断化が進んだ今、ジャンル分けというのはややこしいだけであまり意味が無い気もしますが、「友人同士で好きな音楽の話をするときに好みを伝えやすい」など便利な側面も大いにあります。