『NEEDY GIRL OVERDOSE』を作中登場作品・オマージュ作品から読み解く

※本記事は『NEEDY GIRL OVERDOSE』の重大なネタバレを含みます。未プレイの方は読まないことをお勧めします。ご注意ください。

※『シックス・センス』、『ファイトクラブ』、『さよならを教えて』『serial experiments lain』、『トワイライトシンドローム』、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『攻殻機動隊』、『パプリカ』のネタバレも含みます。

※あくまで個人の考察です。まだ全ルートクリアしてないので、実際は違うかもしれません。ご注意ください

Do You Love Me? 好き好き大好き クリア後に気づくピの正体

 steamでセールされたので、購入した『NEEDY GIRL OVERDOSE』。
 このゲームのDo You Love Me? 好き好き大好きエンドを見て私はあることに気づいた。
 あれ?これ…


 ピってこの世に存在しないのでは?

 ピってあめちゃん自身なのでは?

と。


そもそも 『NEEDY GIRL OVERDOSE』とは?


 
このゲームはプレイヤーがピ(プロデューサー、彼氏)としてメンヘラ気質のあめちゃんを大人気youtuberとしてプロデュースするゲームである。
 薬物描写…
 ネットの辛辣なコメント…など
 インディーズゲームならではの過激な描写が魅力的だ。

Do You Love Me? 好き好き大好きエンド

 このエンドではあめちゃんは遊園地で生放送を行う。
 ・メリーゴーランドに乗っている描写
 ・魔法のけむりを吸っている描写
 ・観覧車に乗っている描写
 大きく以上の3つの描写があるのだが…
 ピと一緒にいると彼女は言っているが…
 明らかにおかしい…
 カメラの画角が明らかに自撮りであるし…
 何より…観覧車で…

 ―――ピの影が無いのだ…

 このエンドを見て私はそれまで作中で出てきた作品・オマージュされていた作品を思い出し…腑に落ちた。
 実は、それらに伏線が張られていたのだ。
 

作中登場作品・作中オマージュ作品について

 このゲームの中には、実在のゲーム・映画・本・アニメ・漫画が登場したり、あめちゃんのセリフのオマージュ元になったりしている。
 今回はその作中に出てくる作品・オマージュされている作品に的を絞って考察していこうと思う。

 ※注意:自分の記憶からなので記憶違いがある可能性があります…

作中に出てくる・オマージュされてる作品:映画編

①『シックス・センス』
 ※検索方法が悪いのかもしれないが、調べても誰もツイッターとかでつぶやいてないので、レア度が高いイベントなのかもしれない。
 1周目どう進めるかよくわからず、ストレスを減らすためにあめちゃんに映画を執拗に何回も見てもらってたら出た。
 あめちゃんがピにホラー映画『シックス・センス』のオチを教えようとするイベントだ。
 『シックス・センス』はM.ナイトシャマランの傑作ホラー映画で、どんでん返しで有名な映画だ。ジョジョの第何部かでネタバレされたことでも有名である。ブルースウィリスがまだ髪が生えていた時代の映画でもある。
(ブルースウィリスが失語症で俳優業引退したときは仕方ないとはいえファンだったので運命を呪い悲しかった)

 余談はさておき。
 『シックス・センス』のオチは小児精神科医である主人公が実は幽霊だったというものだ。
 筆者が初めてこの映画を見たのは小学校低学年のときで、かなり衝撃をうけたものだ。
 主人公が実はこの世のものでない…
 そんな作品それまで見てこなかったからである。
 この映画では、主人公が幽霊である数々の伏線が張られているが、今回は本作に関係しているある1つの伏線について話す。

 ・ずっと独り言を話している
  精神科医の主人公はもう1人の主人公である幽霊の見える少年以外とは
  会話をしていない。会話をしているようなシーンでもよく見ると会話は
  成立していない。
 
 これはピにも言えることではないだろうか。
 あめちゃんはメッセージアプリでピに連絡を取っているが、ピの姿は映らない。ピはあめちゃんと会話をしている時もあるが、基本はスタンプで会話をしている。ピはあめちゃん以外とはコミュニケーションを取っている場面はない。

『シックス・センス』を出してピの非実在性の伏線を張っていたのではないだろうか? 

余談…
 ピが送っているスタンプは猫なのだが、このキャラクターはこのゲームの操作解説役でもある。
 この猫の元ネタはおそらく「お前を消す方法」のカイル君なのだが、カイル君はサポートAI、つまり人工知能であり、仮想現実のキャラクターだ。
 
②『ファイトクラブ』
 『ファイトクラブ』はあめちゃんのSNSの書き込みの中で男の映画として出てくる(確か)。
 これも『シックス・センス』同様どんでん返しで有名な映画だ。主人公の相棒として登場した男は実は主人公自身で…
 つまり、主人公は2重人格かつ自分の都合の良い幻覚を見ていたのだ。
 作中では明確に描かれてないが、主人公は相棒に話しているシーンは実はたった1人で、自分に対して会話をしていたわけだ。
 この作品が出てくるのは、あめちゃんがピというもう一人の人物を頭の中で作り出し、一緒に配信を続けていたということを示唆しているのではないだろうか?
  このことは、
 ・ピがメッセージアプリでメッセージをあめちゃんに送るとき、必ずパソ 
   コンから送っている点
 ・あめちゃんが基本、カメラに写っている点
 (パソコンの内カメラをずっとつけているだけなのだろう。そう考えると、あめちゃんが『今、自撮りしています』とスタンプを送っているのにPC画面のあめちゃんが自撮りしている様子がないことも説明できる。なんせずっと自分のことを撮影しているわけなのだから。)
 
 この2つの点からも読み取れる。
 それだったらえっちなことって…つまり…

作中に出てくる・オマージュされてる作品:アニメ・漫画

①『攻殻機動隊』
 あめちゃんのセリフでパロディが登場する。
 『攻殻機動隊』も主人公である草薙素子が意識を相手の仮想世界というかコンピューター世界に飛ばすシーンがあり、あめちゃんの今の現実を表しているのかもしれない…

②『パプリカ』
 ゲームのエンドの一つである『Utopian parody 夢が犯されていく』
 これは『パプリカ』という今敏監督のアニメ映画のキャッチコピーだ。
 『パプリカ』は一言で言うと夢と現実の境界が曖昧になっていく話だ。
 どこまでか夢か?
 現実か?
 『パプリカ』はその曖昧さを描く。
 これはこの作品のピがあめちゃんの妄想であることを示唆してるのだろう。
 『Utopian parody 夢が犯されていく』エンドは最終日に登録者が100万人に達していない場合起こるのだが、最後に天ちゃんのアカウントからブロックをされてしまう場面で終わる。
 しかし、考えてみてほしい…
 あめちゃんのアカウントからはブロックされていないのだ。
 つまり、あめちゃんが天ちゃんのアカウントから自分自身のアカウントをブロックしたということである。
 現在現実のtwitter上でもあめちゃん(鍵アカ)と天ちゃんの公式アカウントが存在する。
 そして…
 ――――あめちゃんをフォローしているのは、天ちゃんただ一人である…

作中に出てくる・オマージュされてる作品:ゲーム編

①『トワイライトシンドローム』
  この作品に関して筆者はゲーム実況動画でしか見たことがないにわかであり、詳しくないので記述に誤りがあったら申し訳ない。
 作中では、あめちゃんがゲーム実況をする際出てくる。
 このゲームの「prank」という隠しシナリオが本作と関係しているのだと考えられる。このゲームは主人公ミカ、ユカリ、チサトという女子高生三人組が学校での怖い噂を追求していくという内容だ。詳細は省くが、  
 「prank」は、最後3人が仲良く話している場面で終わると思いきや…
 ユカリ、チサトが血まみれになる場面に切り替わり
 実は…2人とも亡くなっていたという描写で終わる。
 これもピの非実在性を表すために入れたのだと思われる。
 
②『ジーコサッカー』
 これはゲーム内容というより『SM調教師瞳』というアダルトゲームがスーパーファミコンソフト『ジーコサッカー』のカセットに混ざっているというネタが関係してそうだ。
 その昔、とある会社が在庫があふれていた『ジーコサッカー』のカセットを再利用し中身に『SM調教師瞳』というゲームを入れて任天堂に許可を得ず売っていたことがあった。
 現在中古市場で出回っている『ジーコサッカー』の中には低確率で『SM調教師瞳』が入っているらしい。
 詳しくは、芸人のカミナリさんの動画を見てみてほしい。 
 ――――外側と中身が違う…

 これは今作であめちゃんのもう一つの姿である天ちゃんにも言えることだが、ピが実は存在しなくてピの中は実はあめちゃんであることを示唆していたのかもしれない。(考えすぎか…)
 
③『serial experiments lain』
 ※この作品は筆者はアニメしか触れていないので、ゲームの内容には触れません…
 作中のあめちゃんのセリフでオマージュしている部分がある。
 そもそも、あめちゃんの本名はレインだ。
 このアニメは非常に説明しづらい…
 簡単に言ってしまえば、現実と仮想現実の境界が曖昧な世界が舞台で主人公である岩倉玲音は人間の集合的無意識であり、最終的に彼女が現実世界を書き換えていくという話だ。(自分で言ってもよくわからん)
 仮想現実と現実が関係しあう様子はインターネットそのものであり、かなり先進的な内容であったことは確かだ。
 『NEEDY GIRL OVERDOSE』では仮想現実(天ちゃんとピ)と現実(あめちゃん)の境界が曖昧になっていき、天ちゃんの姿で最終的にピとデート配信をするまで壊れてしまったととれるので、『serial experiments lain』をオマージュしていたのはそのラストへの布石なのかもしれない。

余談
【にゃるら氏のnoteの記事】
一口エッセイ:好き?好き?大好き? (原題: Do You Love Me?)
 https://note.com/nyalra2/n/nb696ce9e6494

 ちなみに、このゲームのシナリオライターであるにゃるら氏の記事によると、筆者が今回見たエンドの1つである『Do You Love Me? 好き好き大好き好き?好き?大好き?』はレインという精神科医が書いた同名の本が元ネタらしい。
 そもそも『serial experiments lain』のレインって名前はこの作者から取られたらしい。
 彼氏と彼女の対話の詩があるらしく、彼氏に対して狂気にも似た愛の言葉を繰り返す彼女に対して彼氏が返す言葉はただのオウム返しである…
 そういや、作中で主人公がメッセージを送る際は基本あめちゃんの話す内容を受け答えをする形だった…自分からメッセージを送ることは無かったような気がする…(記憶違いだったらすいません…)

④『さよならを教えて』
 
このゲームを語るうえで絶対避けられない作品だ。
 なんせ…自分が気付いただけでも
  ・最初に出てくる警告文
  ・ゲーム内で出てくるMVの歌詞・映像にも反映されている
  ・ゲーム内で実況しているゲームとしても出てくる
  ・主人公が狂気に満ちていく様子を表すチャイムまで再現している
  ・作中に「あめちゃんだけが精神病棟に隔離されているっていうオチは  
   ないよね?」という趣旨のセリフがある。
 以上の4点でオマージュがあった。
 他にもセリフで天使が良く出てくるのもこのゲームが影響しているのだろう。
 『さよならを教えて』はアダルトゲームであり、自分が教育実習生と思い込んでいる精神病患者が主人公のゲームだ。
 彼は天使を凌辱する悪夢を毎日のように見ている。
 天使は自分の学校の生徒(と思い込んでいる)ヒロインの一人だ。
 ゲームの時間は常に夕方で…夕焼け空…
 チャイムの音がどんどんどんどん不協和音になる様子があり
 主人公がさらに狂っていく様子が克明に描かれている。

 主人公は妄想と現実の区別がつかない人間であるため、1人を除きメインヒロインの生徒たちは存在しない。存在している1人に関しても妄想で自分の都合の良い風に解釈している。
 
 この作品を出すことで、ピはあめちゃんにとって自分の作り出した都合の良い妄想上の産物だったことを示しているのだろうか。

終わりに

 他にも…自分が気付いただけでも…『仮面ライダー龍騎』、『最終兵器彼女』、『デ・ジ・キャラット』、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『ナポレオン(長谷川哲也)』のネタがあったが、この作品の根幹的な内容と関係しているかはよくわからない。

(ハルヒネタはハルヒみたく自分の理想(ピ、天ちゃん)を現実に反映しているということなのかもしれない)

 とにかく、今回オマージュ元や作中で出てくる作品は気になったことをまとめてみると小ネタの内、
 そのほとんどが現実と非現実(インターネット、夢、妄想、幽霊etc)の境界が曖昧になっている作品が多いことがわかった。
 まとめてみて、自分なりの考察ができ、色々腑に落ちた…
 最後に、
 今回の記事は、あくまで自分の中での考察なので全部が全部事実であるとは信じないでほしい。
 

余談


 そういや…
 作中であめちゃんが薬物を摂取した際画面が歪んでいたのはあめちゃん視点だったからなのか…
 ってか、
  そもそもゲームの起動画面のユーザー名がraincandyやないかい…
 本当よくできたゲームである…

 
 

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