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エッセイ

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講話 黒田杏子『一行の自己表現』―生前の姿を彷彿とさせる講話録

     この本の上梓の経緯は、本に添えられている送り状である栞に、夫、黒田勝雄氏名で次のように述べられている。     ※ ご挨拶 この度、妻黒田杏子が生前お世話になり、親しくさせていただいた三菱商事株式会社顧問古川洽次様のご尽力で、同社MC経営塾での講演をまとめた『一行の自己表現』が刊行の運びとなり、杏子八十六回目の誕生日となる日に世に送り出されました。 三菱商事様と古川洽次様のご好意により、ここに本書をご寄贈申し上げます。心から感謝いたしますとともに、皆様の

『爆心地ランナー』志賀 泉 著 

 著者は巻末の著者略歴にあるように、第20回太宰治賞を受賞して文壇デビューした新進気鋭の作家である。  東日本大震災と原発事故による放射線被害を現地で体験したとき、高校生だったという。本書はその被災の体験が背景になっている。  短編の「爆心地ランナー」と中編の「こんなやみよののはらのなかを」の二編が収録されている。  震災後、純文学界ではさまざまな角度から長、短編小説、詩、短歌、俳句が創作され、文芸誌を賑わせた。多くは社会学的、哲学的な大問題として向き合い、それを独創的な視点

講演録 石牟礼道子俳句についてー畏怖する魂の渚

第40回神奈川現代俳句協会俳句大会 講演録 2023年11月24日   石牟礼道子俳句についてー畏怖する魂の渚   武良竜彦 0 ご挨拶 はじめに  〇 高野ムツオの『語り継ぐいのちの俳句』をめぐって   こんにちは。先月の横浜俳話会俳句大会に参加され方は、この会で二度目のことになりますね。横浜俳話会では俳句表現とは何かということの、基本的な考え方について、私が子供達に対して行った授業の再現という形で、比較的楽しくお話させていただきました。 今回は私のライフワークの

横浜俳話会俳句大会講演録 「俳句創作の「身・魂・言」レッスンのために」

                     2023年10月29日                俳句創作の「身・魂・言」レッスンのために       ―シュタイナーの人智学(アントロポゾフィー)から                         武良 竜彦                                  Ⅰ 第一部 創造性には身体と魂のどんな力が必要か 1 まず、身体の体操から こんにちは。武良竜彦です。 ずっと椅子に座ったままでお疲れにな

1 中村節也氏、今年(2023年)のイーハトーブ賞に決定!  2 東京新聞2024年8月15日号に中村氏のインタビュー掲載    3 中村節也氏のレクイエム

中村節也氏、今年(2023年)のイーハトーブ賞に決定! 8月4日花巻市長公表 第33回イーハトーブ賞に中村節也氏の「宮沢賢治歌曲全集」CDの編曲と過去の研究、著作「宮沢賢治の宇宙音感」そしてコンサートなどの普及活動により、中村節也氏とオペラ歌手の福井敬氏に決定と発表。 中村氏の賢治研究については、このブログにて紹介しています。 この機会にそのブログを再読していただき、ご受賞の喜びを、みなさんで分ち合いましょう。 https://note.com/muratatu/n/n

哀悼―私はいつも間に合わない 黒田杏子・齋藤慎爾追悼特集に寄せて

哀悼―私はいつも間に合わない  武良 竜彦 一 わたくしごと  現代俳句界に影響を与え牽引してきた黒田杏子氏と齋藤愼爾氏の相次いでの訃報に接して、深い喪失感の中にいる。  お二人は、私のライフワークとする石牟礼道子論の完成を励まし続けてくださった恩師である。お二人は私が現代俳句評論賞を拝受した石牟礼道子俳句論を書く以前から、私のライフワークが石牟礼道子文学であることを知っていた方である。  社会批評的な視座を含む石牟礼文学論を書くことを想定して、彼女の作品の研究をしてい

新聞スクラップ 水俣病

丸木夫妻の「水俣」、再び世に 母子像の絵、修復経て考証館に展示 朝日新聞 2023年5月1日朝刊  「原爆の図」で知られる画家の丸木位里(いり)、俊(とし)夫妻が水俣病を描いた絵が、熊本県水俣市にある。広く人の目に触れることなく、一時は行き場も失ったが、修復を終えて再び公開されている。水俣病は1日、公式確認から67年となる。  作品の名は「水俣母子像」。ユージン・スミスさんの写真で有名な、胎児性患者の上村智子さんが母親に抱きかかえられて入浴している姿をイメージしたものとされ

黒田杏子氏、齋藤愼爾氏、ご逝去 謹んでお悔み申し上げます

俳人の黒田杏子さん死去、代表句「白葱のひかりの棒をいま刻む」                  朝日新聞 3月13日 夕刊    俳人でエッセイストの黒田杏子(くろだ・ももこ)さんが13日、脳内出血のため死去した。84歳だった。葬儀は近親者で営んだ。喪主は夫勝雄さん。  大学時代に山口青邨に師事。卒業後は広告会社の博報堂に入社して「広告」編集長などを務め、60歳の定年まで在職した。一方で、俳人としては1982年に第1句集「木の椅子」で現代俳句女流賞と俳人協会新人賞を受賞。90

中村節也編曲『宮澤賢治歌曲全集』

 中村節也氏のライフワークである宮澤賢治研究の成果の一つである、宮澤賢治の全歌曲の、中村節也氏の全編曲による歌曲集が上梓された。  児童歌唱であったり、曲だけの演奏で聴いたことがある賢治の歌曲が、ピアノ伴奏によるテノール歌唱で、全歌曲が収録されている。  まるでクラシックのシューベルト歌曲集を聴いているような、格調の高い歌曲集になっている。  かつ、賢治のイーハトーヴ ワールドに包み込まれるような気持ちさせてくれるCDである。  私宛のメールで述べられていた、中村節也氏のこ

2023年1月2日 高野ムツオ 新春俳句バトルの審査員で出演 (NHK Eテレ 午後4時5分)

武良コメント  着物は局が用意したもので、自分の着慣れたものではなかったそうです。  少し瘦せたようですが、声はしっかり出ていて、咽頭癌の術後の影響を克服しつつあるようで、安堵しました。  元気で益々のご活躍を。

映画『水俣曼荼羅』(原一男監督)を巡って

【あらすじ】公式ホームページより転載    日本四大公害病の一つとして知られる水俣病。1956年に公式確認され、今なお補償をめぐる裁判が続いている。ついに国の患者認定の医学的根拠が覆られたが、根本的解決には程遠い。そんな患者たちの戦いを原一男監督は20 年間、まなざしを注いできた。これは、さながら密教の曼荼羅のように、水俣で生きる人々の人生と物語を顕した壮大な叙事詩である。川上裁判により初めて国が患者認定制度の基準としてきた末梢神経説が否定され、脳の中枢神経説が新たに採

映画『MINAMATAーミナマター』をめぐって

映画 『MINAMATA』 2020年製作/115分/G/アメリカ 原題:Minamata 【映画の内容紹介文】  ジョニー・デップが製作・主演を務め、水俣病の存在を世界に知らしめた写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子・スミスの写真集  「MINAMATA」を題材に描いた伝記ドラマ。1971年、ニューヨーク。かつてアメリカを代表する写真家と称えられたユージン・スミスは、現在は酒に溺れる日々を送っていた。そんなある日、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市のチッ

水銀に関する水俣条約推進ネットワーク ビデオメッセージの紹介

転載紹介 水銀に関する水俣条約推進ネットワーク  胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんと松永幸一郎さんが、全世界に向けて水銀被害撲滅を訴えるビデオメッセージ「A message from Minamata」を発信しました! 「水銀に関する水俣条約」は、8月16日で発効から3年を経過します。これに合わせて、水俣条約第1回締約国会議(COP1)に参加した坂本しのぶさん、昨年秋の第3回締約国会議(COP3)に参加した松永幸一郎さんが、改めて訴えたものです。 すでに国連環境計画(UN