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【今更シリーズ】投げない、掘らないボーリングって知ってます?

今更シリーズ2つ目。
「投げない、掘らないボーリング」について。

工場を見学された方たちにはよく聞かれます。

「あれ、社名に入ってるボーリングって結局なんですか?」

そこ、気になりますよね…。
実は村田ボーリング技研㈱のボーリングは
投げないし、掘りません。

投げる方のボウリングでもないし
地質調査とかのボーリングでもない

じゃあ、村田ボーリング技研の"ボーリング”は
一体何なのか。

ということで。
今回の今更シーリーズは
「投げない、掘らないボーリング」について。

あいことばは「今更でも伝えたい」
Let's 今更!!



(1)ボーリングとは何か

そもそも、この世の中には
いくつかのボーリングが存在しているのを
ご存知でしょうか?

私も間違えて覚えていたのですが…

球を投げて遊ぶやつ

皆が大好きなこれは"ボウリング"
実は…投げるのは”ボウリング”であって、
”ボーリング”ではありません。

”ウ”なのか”ー”なのかで
全然違う言葉になるなんて、日本語ムズカシイネ。

日本人さえも泣かせてくる日本語

本題の”ボーリング”ですが、
辞書で調べたところ
おおもとの意味はこんな感じ。

円筒状の穴を穿つ(うがつ)こと
またドリルで開けられた穴を大きくする過程のこと

goo辞書より

日本語、漢字に弱い私は
”穿つ”から調べちゃいました(笑)
穿つは「穴をあける」「掘る」といった意味。


ちなみにちなみに。
穿った見方」という言葉が世間一般でよく聞かれますが、
本来の意味は「疑って掛かるような見方をする」ではなく、
「物事を深く掘り下げ,本質を的確に捉える」
「隠れた真相を見抜く」というところから
物事の本質を捉えた見方をする」が本来の意味だそう。
(文化庁「文化庁広報誌ぶんかる」より)

知らなかった…また一つ学びました

さてはて。
話を"ボーリング"に戻して…。

「円筒状の穴を穿つ(うがつ)こと」という意味から
ボーリングには2つの意味があります。

1つ目が機械加工の用語としての"ボーリング"

2つ目がトンネルや井戸など主に地中に円筒状の穴を
掘削する作業を指す用語としての"ボーリング"

恐らく皆さんがよく聞くボーリングは
2つ目の地質調査などで見かけるボーリングだと思うのですが、
村田ボーリング技研㈱は
この1つ目の「機械加工の用語としてのボーリング」が
関係している会社。

今日はムラタの歴史と絡めながら、
この機械加工用語のボーリングについて
お話していきますね!


(2)なぜ社名に「ボーリング」が?


村田ボーリング技研㈱は
「機械加工の用語としてのボーリング」が関係している会社

と書きましたが、
機械加工の用語としてのボーリングって何よ
って感じですよね(笑)

機械加工の用語としてのボーリング。
ここを掘り下げていくために
今から74年前の1950年にタイムスリップしていきましょう。


①駅南村田鉄工所

1950年

戦後間もない静岡で
村田鉄工所」という会社が生まれました。

そう、この「村田鉄工所」こそ
私たち村田ボーリング技研の前身。

最初から「村田ボーリング技研」という会社名ではなく、
「村田鉄工所」という会社名でスタートしました。

当時の駅南村田鉄工所の様子

村田鉄工所は各種エンジンのボーリング(再生)を目的に
村田亀之助が創業した会社。

亀之助さん

歴史も深く語りたいところですが、
一旦ここは「ボーリング」に着目して。

そうなんです。
村田鉄工所のメイン事業は
エンジンボーリングの修理

エンジンボーリングの修理の様子

「エンジンボーリング」とは
簡単に言えば、”エンジン修理”のことで
エンジン修理は
ボーリング作業”と”ホーニング作業”という
2つの作業から成り立っています。


②ボーリングとは

「機械加工の用語としてのボーリング」というのは
機械加工でシリンダー内壁を
徐々に拡大しながら削り取る作業のことを指します。

こちらが実際に使っていたボーリングマシーン。

このボーリングマシーンを使って、
シリンダー(円筒状の部品)の内側を削り取る。

それこそ、
「穴を掘る(実際には削り取ってる)」というところでは
地質調査のボーリングと感覚は一緒。

②ホーニングとは

①のボーリング完了後に、
専用砥石でシリンダー内壁を磨き仕上げする工程
ホーニング」と呼びます。

ボーリングだけやったら完成ではなく、
このホーニングもやって、
エンジン修理は完成となります。


③ボーリング事業の撤退

では、今もボーリング事業をやってるということですか?

いやいや、これがまたややこしいのですが
現在ボーリング事業に関しては
取り扱っていないんです。

というのも
昔のエンジンは質が悪かった」ということもあり、
このエンジン修理の需要も高かった。

でも現在は技術の向上に伴い、
エンジンの質も格段に向上。
それと共にエンジン修理の需要がかなり減ってきています。

昔の車ってフォルムがかわいいですよね
もう一回この車で営業してほしいな

そんな時代の流れで
村田ボーリング技研でも
数年前エンジンボーリング事業を撤退することに。

現在は「溶射」加工や溶射に伴う切削加工、
研削加工をメインで取り扱う会社になっています。

面白いなぁと思うのが、
エンジンボーリング事業は撤退したけど、
現在のメイン事業である「溶射」は
実は今でもエンジンにも施されていたりするところ。

普通の自家用車には溶射を施す必要もないのですが、
何時間も凄まじいスピードで走り続ける
レースカーなどはやっぱりエンジンに負荷もかかりやすく、
今でもエンジンに溶射を施していたり。

ここだけの話…
とある有名なレースで優勝をした車のエンジンには
ムラタの溶射が施されているんです!

こんな感じで、
エンジンボーリングという事業こそ撤退したものの
実は今でも「エンジン」とは切っても切り離せない関係にある
村田ボーリング技研なのです。


(3)なぜ社名はそのままなのか?


じゃあ、なんで社名にボーリングが残ったままなの?

うん。
そこも気になりますよね。

「ボーリング」が社名に残っている理由は
ちゃんとあるんです!!


①社名を覚えてもらいやすい

社名を覚えてもらいやすい

めちゃめちゃ重要。

日本には大企業から中小企業まで
全ての会社を含めると
約350万社ほど企業が存在すると言われています。

その350万社ある企業の中から
我が社を見つけてもらうためには
社名ってすごく大切だと思っていて。

たしかにやたら社名長いし、
何やってる会社かもよく分からないし、
逆に覚えてもらいやすい…可能性が高い。

他社とも被りにくいので検索するときにはありがたい

ただ長すぎるが故に
間違って覚えて頂けることもしばしば。
気が付けば「村田ボーリング」と略されることもしばしば。
それはそれで良いのかもしれません。(笑)


②モノづくりへの思い

事業内容は変わってもモノづくりへの思い、
持てる最大限の技術を提供する姿勢は今も昔も変わらないから。

1950年創業の我が社は
2024年で74年目を迎える中小企業です。

この74年間の中で
ボーリング事業が撤退したように
事業内容が変わり、
もちろん組織風土も変わってきました。

それでも変わらないのは
私たちの「モノづくりに対する思い」や
持てる最大限の技術を提供する」という姿勢。

たしかに
私たちの技術は
一般のお客様に見える技術ではありません。

でも私たちの技術は
確かに日本のモノづくりを支え、
そして日本の豊かな生活を支えている。

私たちはモノづくりを通じて幸せを届ける

この思いは昔から変わっていないからこそ
あえて社名も変えていません。


③とある社長さんの話

私が就活をしていた頃、
とある会社の社長さんから
こんな話を聞きました。

社名ってすごく大切なんだ。
社名にはその会社や創業者の思いがこもってる。
何のために存在するのかを現わしているからね。
だから、「何か質問はないですか?」と言われたら
社名の由来について聞いてみるといいよ。

その話を聞いてからは
「何か質問はないですか」の時には
社名の由来を聞くようにしていました。

会社の数だけ会社名もあって、
きっとそこにはHPにも載っていないような
その会社ならではの思いやヒストリーが
隠れているはず。

学生の皆さんもよかったら…
この術をご活用ください…!!(笑)

ちなみにこの話をしてくれた社長さんにも
社名の由来を聞いたのは覚えていて…
ただどんな由来だったのかまでは
ちょっと覚えていないのですが…(笑)

でもその時、社長さんがアツく語っていたのを
今でもイメージとして覚えています。

それぐらい会社への思いがあるのは
凄く素敵なことですよね。


(4)今日の一言

「投げない・掘らないボーリング」について
なんとなく…ご納得いただけたでしょうか…?

書いている本人が一番よく分からなくなっているのは
ここだけの秘密ですが…(笑)
色んなストーリー、ヒストリーが
詰まっていることだけは
ご理解いただけたのではないでしょうか。

写真はここ最近のナカノヒトの様子
高畑勲展すごいよかった…

自社の技術や歴史について書くnoteは
自分の勉強になって、とっても楽しいし、とっても良い。
ということに
ここ最近気が付いたナカノヒトでした。

またね~!!