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映画「リーインカーネーション」レビュー「おお…おお!因果応報とは斯くも恐ろしい…!!」

大学教授のピーター(マイケル・サラザン)は毎夜自分が全然知らない男になって素っ裸で湖で泳ぎボートで接近してきた女(マーゴット・キダ―)にオールで強打され湖底に沈む夢に魘される。
記憶にない女・記憶にない湖・記憶にない湖岸のホテル・記憶にない建造物…精神科医の診断も異常なし。

そんなある日彼はTVの歴史紀行番組で偶然夢で見たのと同じ建造物を見出す。
TV局に場所を問い合わせ,とるものも取り敢えず現地に飛ぶのであった。
ここだ…ここで「夢の中の俺」は殺されたんだ…!
彼は新聞社に赴き,過去の死亡記事の調査を開始するのであった…。

子供の頃,1度TVで観た切りで「子供の頃観た悪夢」と思い込んでいたが,昨年ニューライン社によってブルーレイ化(国内初ソフト化)され,その悪夢を再び観る機会が出来た事を先ずはニューライン社に深く感謝したい。

本作の主人公は実はマイケル・サラザンではなくマーゴット・キダーであって死んだ筈の男が姿形こそは違うものの,ちょっとした仕草や癖が生き写しで何より女癖の悪さがソックリの男が出現し娘(ジェニファー・オニール)とみるみる親密になって行くのを見せつけられる恐怖を描いた映画なのだ。
娘は死んだ夫との間に生まれた子で,その死んだ夫と生き写しの男と娘が男女の仲になって行くのを見詰める彼女の酒量が増えアル中が進行するのもむべなるかなである。
何しろ「夫」と娘との疑似近親相姦を見せつけられてんだからね。
つまり本作はマーゴット・キダーを通して「無間地獄」を描いてるのである。
マーゴット・キダーが過去に犯した「罪」が執拗に彼女を追って来て苦しめるのだ。
多分コレさあ…マイケル・サラザンとジェニファー・オニールとの間の子と「次の」夫と生き写しの男が男女の仲になるのを見せつけられる事を予感させるのが本作における「無間地獄」の恐ろしさなのよ。

手塚治虫先生の「火の鳥」の八百比丘尼の様に
マーゴット・キダーはこう叫びたいに違いないのだ。
「おお…おお!因果応報とは斯くも恐ろしい…!!」
ってね。

酷い酷い地獄が観たい方にオススメです。
世界に冠たる「ホラー・マニアックスシリーズ」レーベルの
面目躍如の一作であると断言します。

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