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「サスペリア 4Kレストア版 アルティメットコレクション初回限定生産商品豪華BOX仕様」レビュー「アリダ・ヴァリは気違い医者の情婦兼助手でありタナー先生でありカツオでありシスター・ジルであり「カルロの母親」でもあったッ!」

もういい加減ね。
金がないのに円盤を買う悪癖を 直さないとイカンですね。

なれど。

市場から消えつつある円盤を救助するのが オタクの仕事なのです。
月曜ロードショー版吹替で視聴したのだけれど 発色は抑え気味。
既存ソフトがキチガイみたいな発色してたので
Amazonレビューでは叩かれてるけど
サスペリアPART2のUDH+BD-BOXの時も思ったけど
海外では初期のブルーレイみたく
血は真っ赤っ赤で空は何処までも青く海は紺碧が光にキラキラ輝いて…。
…みたいなのに批判的なんじゃないかなあ。
だって僕たちの住む世界ってそんなに綺麗じゃない。
って事は若きアルジェントの目にも そう映っていた筈で
海外ソフトハウスでは「本当の世界の形」を
自然に描写する方向で4K化の舵を切っていると思う。
その手掛かりとして
「オマエの血はなに色だァァァ」
って叫んでる。
僕達の体内を流れる血液って鉄分を含有してるから
絶対に「鮮やかな赤」とならない。
赤黒い「深紅」になる筈なんだ。
そういう潮流を理解しない連中が何時までもさあ
「血は鮮やかであるべしッ」と攻撃してる訳。
もっと「自然な発色」を 評価すべきだと思うのですよ。
僕は本ソフトの落ち着いた発色が ごく自然で好きです。

タナー先生(アリダ・ヴァリ)はカツオであり
魔女軍団の幹部だからシスター・ジルであり
映画「顔のない眼」で気違い博士の情婦兼
うら若き女性を誘拐して顔の皮を剥ぐ鬼畜助手であり,
ルチオ・フルチ監督の映画「地獄の門」で
蛆虫シャワーを降らされたカルロ・デ・メイヨの 母親だから
「カルロの母親」でもあったんだよ!(なんだってー!)

地獄の門の最初のブルーレイの特典でカルロ・デ・メイヨが
「自分の母親」について語ってるけど,
その際のアリダ・ヴァリの肩書が「女優」ではなく
「カルロの母親=Carlo's mother」となっていて
HIGH RISING PRODUCTIONの
余りにも「分かっている」編集ぶりに震えるよ。

それにアリダ・ヴァリの最初の夫で カルロの父親でもある
オスカル・デ・メイヨはジャズ・ピアニスト。
アルジェントはどう思って タナー先生役をオファーしたのかしらん。

ジェシカ・ハーパーの コケたら複雑骨折しそうな痩身に驚き,
ブランク夫人(ジョーン・ベネット)に ”bitch American girl”と罵られても
露程も動じない豪胆ぶりに痺れますねえ。
ジェシカ・ハーパーは微塵も儚げでも可憐でもない。
エレナ・マルコスの後釜に座るに相応しい肚の座った女なのだ。

本作の脚本はアルジェントとダリア・ニコロディが 書いてるけど
ニコロディはハーパーの為に 脚本を書いた訳ではなく
「私が主役でないなら端役でいい」
と冒頭の空港でハーパーの隣を歩く観光客役を演じ
マリオ・バーヴァ監督から「ザ・ショック」の 「主役」でのオファーに
感激して脚本を全く読まずにオファーを快諾。
長女アーシアを生んで体調が万全でないにもかかわらず大熱演を披露し
「マリオは素晴らしい人よ!」と
「ザ・ショック」のブルーレイの特典映像でも 称賛の声を惜しまなかった。

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