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映画「デモンズ1&2」レビュー「メガテンやウィザードリィの洗礼を受けたTVゲーム世代なら文句なしに楽しめると思います!」

デモンズ1
駅構内で顔半分が金属の男から映画の招待状を貰ったヒロインのシェリルは女友達にも声を掛け,招待されるがままにメトロポール映画館へと向かう。
映画館で上映中の映画は若者数名が予言者ノストラダムスの棺を
調べたところ「デモンズ」なる悪を成し,疫病を蔓延させる集団の存在の
到来を予言し,棺に納められていた銀の悪魔の仮面を被ると
デモンズの一員と化す,との注意書きを信じなかった若者のひとりが
ふざけて仮面を被り,望み通り悪鬼と化し仲間を次々と殺害する内容だった。
映画に登場した仮面はロビーに展示されていて映画の小道具の展示と
思われたが,ふざけて仮面を被った女が映画と同様に悪鬼と化し,
他の観衆に襲い掛かって来た。
悪鬼の毒爪・毒牙で裂かれると裂かれた者も悪鬼と化すのだ。
上映中の映画に何らかの健やかならざる作用がある事は疑い様も無く,
観客は外に出ようとするが映画館は異界と連結でもしたのか,
複雑怪奇な迷宮と化し,外に出る事が出来ない。
シェリルは映画館で知り合ったジョージとパーティを組んで
迷宮からの脱出を試みるのであった…。

初見。僕はファミコンブーム直撃世代故に
本作をメガテン+ウィザードリィ型のRPGの先駆的作品と受け取った。
現実と異界が連結して複雑怪奇な迷宮と化し
,脱出するにはダンジョンマスター(多分顔半分が金属の男)を
発見して叩くしかないだろう。
ワードナがそうであった様に,ダンジョンマスターは迷宮内に
ワザワザヒントを残すものと相場が決まっている。
ロビーに,これ見よがしに展示してあったバイクと日本刀。
コレがラスボス=ダンジョンマスター=顔半分が金属の男に到達するのに
絶対必要な装備なのだ。
そう見当を付けていたら,その通りの展開になって,
監督の意図を先読み出来た優越感でドヤ顔となった。
僕はこの映画,実にTVゲーム的で気に入ったよ!
迷宮脱出後の展開も実に僕好み。
異界と連結した「新しい世界」に
早くも適応した家族連れの頼もしさに思わず拳を握り締めていた。
全然怖くなく,寧ろ血沸き肉躍る展開。
家族揃ってTVゲームに興じた昔を懐かしんだ。
映画館のモギリのお姉ちゃんの
奇妙な凹凸のある容姿に何処かで見覚えがあると思ったらアンタ,
「サスペリアPART2」でトカゲを虫ピンで留めて
親父にぶたれてたニコレッタ・エルミじゃん!
相変わらず奇妙な面構えだなあ。

1980年代後半にTVゲームに魂奪われて迷宮をマッピングした
メガテン・ウィズ好きなら夢中になる事確実と太鼓判を押してしまおう!
ダンジョンマスターの用意したイベントの意図を見抜き,
コズミックキューブから脱出し,自由を手にするのだ!
TVゲームを知らん人には意味不明のレビューかもね!

「映画しか知らん人」には僕のレビュー,訳分らんでしょうね。

映画好きは映画だけ観ていれば,それでいいなんて,僕はちっとも思わない。
映画の感想に広がりが無いから読んでて詰まらねえんだよね。
他の趣味から感想を引用する程度の「芸」を見せて欲しいって話。

デモンズ2
悪鬼達を「壁」の向こうに追い遣り封じた人類であったが,
愚かな若者達が「壁」を越えて廃墟となった
悪鬼達との戦いの跡で封印を解き彼等を復活させてしまう…。
…って粗筋の子供に大人気の
TV番組「デモンズ」を高層マンションの一室で観ていたサリーは,
ブラウン管を越えてやって来た悪鬼に襲われ悪鬼と化してしまう。
折からの停電でマンションは出口の無い迷宮と化し,悪鬼の血液が酸の様に
マンションを侵し,マンション内に悪鬼が蔓延するのであった。
ヒーローのジョージと彼の恋人で妊婦のヒロインのアンナは
悪鬼が下から上に移動する習性を見て取って,屋上を目指すのであった…。

初見。「1」と異なりマンションが異界と連結した訳ではなく,
停電とデモンズの蔓延という災害をマンションの各所で人々が一致協力して乗り越えて行く様を描いた,
「タワーリングインフェルノ」の様なパニック映画の体裁となっている。
勿論妊婦のハンナが極限状況の中で太古の人間の様に医者無しで出産して,
ジョージとチューして抱き合い人間賛歌を謳う,お約束も忘れていない。
今回のラスボスはマンションで最初に悪鬼となったサリーなのだが
別に悪鬼達の「真祖」って訳でもなく,やや拍子抜け。
「1」が定石に囚われない自由奔放な出来なのに対し,
「2」は定石を尊び人間賛歌を謳う分,好みが割れるかもね。
人間が悪鬼に変わる特撮は一見の価値があり,パペットの動きも悪くない。
「良く出来ている」のだが,何処かで観た様な場面が多く特にクローゼットに隠れて震える,お馴染みのアレは「またか」と思った事は確か。
「1」の世界観を尊び,壊さない様に慎重に「2」を創った努力は認めるが,
僕はもっと冒険して欲しかった。
でもね!子供を情け容赦なく悪鬼にした所は花丸!

デモンズは1も2も初見だったが
退屈せず楽しめたので星5つ進呈する次第である。

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