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「サスペリア 4Kレストア版」レビュー「『アルジェントの魔術』に疑義を抱き『世界の実相』を明らかにせんとする所業を断じて許さないッ!」

本日「サスペリア HDリマスター パーフェクト・コレクション」(2016)が
届き・視聴し,先に視聴した「サスペリア 4Kレストア版」(2019)と併せて
所見を述べたいと思う。

まず「パーフェクト・コレクション」が「4Kレストア版」と比べて
「世界の解像度」が極めて低く細部が黒潰れしている為に,
「世界」が黒ずみ・色褪せ・褪色し,「世界」がセピア色に見える。
OP/EDのテロップの解像度も低く
文字がギザギザに見える所謂ジャギー現象が発生している。

「4Kレストア版」では「世界の解像度」が上がった結果,
細部の黒潰れ問題が解消し
「世界」が本来の色彩を発し始め,「世界」がとても綺麗に見える。

また「パーフェクト・コレクション」も「4Kレストア版」も
翻訳者は字幕翻訳界の良心・落合寿和氏が担当されておられるが
「パーフェクト・コレクション」に比べ
「4Kレストア版」の「翻訳の解像度」が格段に跳ね上がっている。

ミリウス教授からのスージー・バニヨンへの「講義」
パーフェクト・コレクション
「現代人が(魔女・魔法を)信じないのは当然ですが」
「魔法は常に存在します」
「ラテン語にはソレを伝える表現がある程です」
「魔法は何処にでもあって」
「何時の時代にも世界中に広がっています」

4Kレストア版
「現代人が信じないのは当然ですが」
「魔法は常に存在します」
「ラテン語ではこのコトを…
「クオダム・ウビクエ」「クオダム・センヘル」
「クオダム・アド・オムニブス」「クレディトゥム・エスト」
と言い…
『魔法は何処にでもあって…何時の時代にも世界中に広がっている』
という意味を持っているのです」

パーフェクト・コレクションと4Kレストア版のミリウス教授の講義…。
どちらがより誠実で,より学究的で,より精確であるかの解説は不要だろう。

ところで…アルジェントの創作意図を
「エレナ・マルコスの力の及ぶ範囲では色彩感覚が狂い,
気違いみてえな色彩設計となる」
と僕は解釈したい。

何故ならマルコスの力の及ばないスージーとミリウスの会見の場に於いては色彩感覚が狂わず,気違いみてえな色彩設計とならず
「世界」が至ってマトモに描写されているからである。

「マトモじゃない世界」と「マトモな世界」を切り分けているものは
「エレナ・マルコスの通力圏内か否か」であって,
コレはアルジェントが創作に当たって
明確に意図してると考えるのが妥当であると愚考する。

故に「エレナ・マルコスの通力圏内」に於いては
「赤」や「緑」や「白」等々の原色がハレーションを起こし
人物描写の「鼻」の輪郭の把握もままならないのは
アルジェントの「作為」だと僕は解釈する。

従って「4Kレストア版」が
アルジェントの「作為」に,
アルジェントの「魔術」にッ!
疑問を抱き「エレナ・マルコスの通力圏内」の「世界」を
「正しい色彩設計」で把握しようとする行為は「愚行」であると断定するッ!

「4Kレストア版」では「赤」「緑」「白」等々の原色が
一切ハレーションを起こさず「世界」を「正しく」認識しているのだ。

「正しさ」など…「解析」など…「分析」などクソだッ!

「4Kレストア版」が「世界の解像度」を跳ね上げ,
本来の発色を実現した事は無限に称賛する。
「4Kレストア版」が「字幕翻訳の解像度」を跳ね上げ,
アルジェントの創作意図をより精確に伝えんとする努力も無限に称賛する。

なれどッ!

「アルジェントの魔術」に疑義を抱き
「マルコスを中心に「世界」が歪んで見える」との
アルジェントの創作意図を侵害し,
世界を「正しく」認識せんとする所業は断じて許すことは出来ないッ!

ブラン副校長
(4Kレストア版を)「消さねばならないッ!」「殺さねばならないッ!」
「病苦で苦しませッ!」「災いを追い払わねばならないッ!」
「死を!死を!!死をッ!!!」

暗転

よく身内に
「アンタは何で「同じもの」を幾つも買うの?」
と呆れられるが,
そんなの決まってるッ!
「真実を追求する」為だッ!
「真実を追求する」為にはッ!
金を湯水の様に使い…「同じもの」を幾つも購入して
比較検討思索熟慮する絶対の必要があるのだッ!

世界中何処の誰にも…僕の「真実を追求」の邪魔はさせん。
絶対にだッ!

「パーフェクト・コレクション」は
「アルジェントの魔術」に最大の敬意を払い,
「エレナ・マルコスの通力圏内」で
原色がことごとくハレーションを起こしていて無限に好感が持てるのだ。

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