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映画「ガイアナ人民寺院の悲劇」レビュー「信者と共に集団自殺を図る教祖は「私が死ぬとオマエ達は不幸せになる」「だからオマエ達も一緒に死ね」と子を道連れに無理心中を図る親と同じ論理を展開するのだ。」

1978年11月南米ガイアナでジム・ジョーンズを教祖とする
新興宗教団体900余名が集団服毒自殺を図り,世界的に報道された。
一体ジム・ジョーンズとは如何なる人物で
ガイアナで新興宗教団体は如何なる生活を送っていたのだろうか。
本作は「ウィークエンダー」で言う処の
「再現フィルム」の形式で真相に迫って行く。

本商品は永らく廃盤状態が続いていたのだが,
奇跡的に物流が回復して,再販を開始し,
こうして正規ルートで購入出来た次第である。
画面比4:3のスタンダードサイズで2001年リリース。
画質は悪いが,そんな事は僕の好奇心の妨げにはならない。

僕の母親は様々な宗教団体を転々とし,
僕達幼い兄妹を連れて学校を休ませて
新潟の総本山に泊まり込みで「修行」に行く事も稀ではなく,
会社で上司から叱責されると,直ぐ無理心中を図る「弱い人間」だった。
僕達兄妹は必死で母親を慰め…無理心中を思い留まらせるのが常だった。

そんな事もあり無理心中を図る人間の性根を,
是非ともこの目で確かめたかったのだ。

観た結果は一言で言えば
TVの子供向け特撮番組の悪の秘密結社の首領そのもので
「自分が死ぬ時は結社も滅ぶべし」
という一蓮托生の思想の持ち主である事が確かめられ,
満足はしたものの,後味は非常に悪く
「嫌なものを観た」が正直な感想となる。

嫌がる子供に毒物を飲ませる親が
「子供を幸せにした」と信じて疑わない「地獄」が淡々と描かれ,
僕は「子供の頃」を思い出してひきつけを起こしたと告白する。

教祖は信者の「親」であり親が「一緒に死のう」と言ったら
喜んで死ぬのが「子」の道であると描かれ
そのまま「子」を道連れにして死ぬ「親」の引き写しとなっているのだ。

子供は死にたくなんてねえんだよ!

特典映像に同時発売の
「女囚ファイル ナチ女収容所」のトレーラーが収録されており,
本作が制作された第1の動機が「興味本位」である事は疑い様も無い。

だが興味本位でありながら,可能な限り事実に則して描かれており,
「事実を知りたい」という要望に応えている事もまた確かである。

映像ソフトはいとも簡単に廃盤になる。
関心がおありの方は普通に購入出来る内に
買っておく事をお勧めする次第である。

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