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長谷川哲也先生の「オカルト・マキアート」第1巻レビュー「ふたつの転機」。

本書は日本文芸社提供の無料WEB漫画サイト「ゴラクエッグ」で
毎月配信された
「オカルト・マキアート」第1話から第9話までが収録されたものだ。
冒頭で同じ高校に通う3人の女子高生オグ(元ヤンキー),サオリン(成績優秀なお嬢様),ミサミサ(運動神経良好)が巷で噂の都市伝説について喋っていると
都市伝説の関係者が実際に現れ都市伝説の「実態」が描かれ,
女子高生3名が再登場して都市伝説に関するそれぞれの見解を述べ
再度,都市伝説の関係者が登場し「オチ」がつくというのが
基本的な構成となっている。
女子高生3名は噂話をするだけで
殺人鬼に追い回されたり変質者に監禁されたりはしない。
極端な話,女子高生3名が登場しなくともナレーションだけで済むんじゃね?
と思うのだが長谷川先生の見解は本書に載っておらず女子高生3名の
超大雑把な登場人物紹介が見開き2頁で巻末に載っているのみだ。
長谷川氏の描く「女性」についてであるが
「ナポレオン 獅子の時代」開始当初は名前のある女性キャラは
ナポレオンの母親レティッツィアしかおらず
あとはもう基本暑苦しくてゴツゴツした男ばかりで
そもそも「女性」を描くことに何ら関心がなかったように思われる。
だってナポレオンの嫁…皇后ジョゼフィーヌを描かずに済ませられんかな
とボヤかれていたくらいなのだ
「転機」が訪れたのは「ナポレオン 覇道進撃」第6巻で
プロシア王国后妃ルイーゼを描くに当たって
ライトノベル「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の「高坂桐乃」を
モデルにしたとヤングキングアワーズ誌巻末の作者近況欄で
「告白」されたときで,
正直な話,この「告白」がなければ未来永劫気付かなかったと断言する。
歳月が流れ「第2の転機」が訪れ,長谷川先生が茨城県大洗に
「聖地巡礼」し1枚目の絵馬にナポレオンを描き,2枚目の絵馬にビクトルと
タンクジャケットを装着した
「BC自由学園」の安藤と押田の計3名を描いて奉納し
長谷川先生自ら「ガルパンおじさん」であることを「告白」されたときで
何ら説明を受けなくとも安藤と押田であることが一目で分かり,
いつの間にか長谷川先生の内面で「可愛い女の子を描きたい」気持ちが
芽生えていたことに大変驚かされた。
本書の女子高生3名の描かれ方は「可愛い女の子を描きたい」気持ちの
延長線上にあり僕には不必要に思われた女子高生3名の存在が
長谷川先生にとっては必要不可欠であり
その大変な努力に対して敬意を覚える。
本書と同日発売された「ナポレオン 覇道進撃」第14巻に
ロシアの陸軍大臣兼軍人のバルクライのカラーイラストがあり
バルクライが赤面しながら
「べっべつに(大陸軍が)怖くて逃げたわけじゃないんだからね!」
と叫んでおり「萌え」こそしなかったものの大変微笑ましい。

基本本作品はホラー漫画なのだが
ゴア描写は「ナポレオン」を読み慣れていれば軽い気持ちで読める。
サイコな人間が続々登場するが
「悲惨な出来事をユーモラスに描く」という長谷川氏の天賦の才の
前にあってはニコニコ笑いながら本書を読まざるを得ない。
本作品は1話完結で
1話の長さが16頁なので気楽に繰り返し読める点も嬉しい。
減点すべき要素がひとつもないので、文句なく星5つ評価である。

「ゴラクエッグ」のゴラクは漫画ゴラクのゴラクであり,
女子高生の絵柄も漫画ゴラク向けなので萌えるか萌えんかは自己責任で。

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