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映画「KKKをぶっ飛ばせ!」レビュー

1971年テネシー州で無実の罪で収監された黒人の若者ブランドンが脱獄し, 兄クラレンスと姉アンジェラに連絡して,郊外の牧場の廃屋に匿って貰う。 久しぶりで,きょうだい水入らずでブランドンの今後について廃屋で話込んで眠りに就くと,女の悲鳴が聞こえる。
ブランドンが声のする方に向かうと,KKKが黒人の女を十字架に架けて火炙りにしようとしているではないか。
思わず黒人女の命を助けると,KKK達が追って来てブランドンを拷問にかけようとする。
KKK団員の「怪人イカレジジイ」は「黒人は白人の飢えを満たす為に神に創造された…」とか世迷言を宣い始める。
コイツ等俺達を殺して喰う気なのだ!
ブランドンはイカレジジイを何とか撃退すると既に兄クラレンスは肉を喰われて半死半生で,姉アンジェラは凌辱されていた。
兄と姉を救うものの兄は手遅れで 「奴等(KKK)をぶっ飛ばせ!」 を言い残して息を引き取る。
やってやる。
奴等を皆殺しにしてやる!
姉と弟は銃を手に取り秘密結社に立ち向かうのであった…。

KKKのメンバーは12人で「個性」が設定されてるのは 白頭巾を脱ぐ「幹部禿げ頭」「怪人大口叩き」「怪人凌辱魔」「怪人イカレジジイ」の4人で, 残りの8人が白頭巾を被ったままの「戦闘員」という構成。
ライダーが幾ら戦闘員を倒したところで,戦闘員の個性など皆無であるのと同様に, KKKの戦闘員も個性ゼロの集団で倒しても爽快感に乏しいんだよね。 特に終盤は銃撃戦メインとなるので 「ガンシューティングゲームの的」 レベルの存在となる。

やはり組織のイカレた理念をトクトクと語り,ブランドンが両目を抉って倒す最初の怪人イカレジジイが一番印象に残り, 次いで大口を叩いてアンジェラにタマを潰されて泣き喚く怪人大口叩きの存在感が突出している。
幹部禿げ頭は姉と弟が力を合わせないと倒せない強敵という熱い設定。

とは言え敵12人の内8人が無個性で「ただ撃たれて終わり」なのは 「何が何でも皆殺しにして復讐すべし」を旨とする映画に於いて相当マイナス要因なのは確か。
兄を喰われ姉を凌辱された主人公ブランドンの動機付けは満点なので殊更に残念だ。

姉アンジェラにも少ないながら見せ場がしっかりある。
怪人大口叩きに「この黒人クソ女(BLACK BITCH)が!」と大口を叩かれた際, 涼しい顔で斧で大口叩きの股間をカチ割り,睾丸を掴み出して握り潰し
「そのクソ女にタマを潰された気分はどう?」
と返す場面は痺れたねえ。

敵方が個性が乏しく,殺し方も銃撃,斧とレパートリーに乏しいので,どうしても減点せざるを得ないが, 特撮ファンとして観れば,見所は大いにあり,姉のカッコ良さにも痺れる,とお伝えしてレビューを閉じたい。


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