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映画「レーザーブラスト」超・特別版ブルーレイレビュー「3種類の「本編」」。

地球の荒野で2つの種族のエイリアンの戦いがあり,
奇妙な首飾りをした右腕にサイコガンを装着した悪鬼の様な形相のエイリアンは
トカゲ型エイリアンの光線銃の前に敗れ,消し炭と化した。
トカゲ型エイリアンが敵の銃を回収しようとした時,米国連邦政府のセスナが割り込んで来た。
連邦政府はエイリアンが密かに地球を訪れている事を知っていたのだ。
宇宙船による撤退を余儀なくされたトカゲ型エイリアンは上司エイリアンから,
こっぴどく説教され敵の銃の回収を厳命され地球へと引き返す。

その頃,地球のひとりの若者が放置されていた銃と首飾りを手に入れていた。
若者は親からは疎まれ,ガールフレンドの祖父からは邪険にされ,
いじめっ子達にはからかわれ,保安官には睨まれている。
そんな何者でもない何の値打ちも無いように思えた若者が
首飾りをかけると地球人でも銃が撃てる様になり,自分を取り巻く環境を引っくり返す好機を得たのだ。

だが,この銃には元の持ち主である悪鬼の様な形相のエイリアンの無念が籠っており,
銃を繰り返し使う内に若者の形相が悪鬼に転じ始めるのであった…。

本作は本邦で劇場公開されず1982年4月20日に
「SFエイリアン・スペース 燃える大都市の怪」
と改題されテレビ東京でTV放映された。
だがそれは悪鬼型エイリアンとトカゲ型エイリアンの登場場面がことごとくカットされた代物で
到底納得出来ぬ特撮雑誌「宇宙船」誌がテレビ東京に取材した所,
(ストップモーションが)「ひどくチャチに見えたから」との回答を得て,そのコメントを同誌に掲載した。
またキネマ旬報誌の「TVムービー評」に
「『SFエイリアン・スペース』を観た」
と言う感想が掲載されたのだがTV放映では全カットされたデヴィッド・アレンの特撮を褒めていた為,
実際には「SF~」を観ていない癖に感想を書いている事がバレ,
現在であれば「炎上」間違い無しの事態へと発展し,キネマ旬報誌の釈明へと至った。

本商品の特典には,その
「SFエイリアン・スペース 燃える大都市の怪」(70分)
がSD画質ながら吹替で,一度も字幕に変わる事無く丸ごと収録されている。
OPとEDはTV放映当時のテロップを可能な限り再現した力作だ。

また本作のLDへの収録内容は「SFレーザーブラスト」名義だが
画角が撮影当時のフルフレームに近い事もあって,
資料的価値を鑑み本商品にSD画質で字幕焼き付けで丸ごと収録されている。

肝心の本編映像は1080PHDリマスターを更に国内でレストアした2022年verとなっており,
画質に問題は無くハッキリクッキリ画質で本編を堪能出来る。
勿論字幕でも吹替でも視聴可能となっている。

つまり本商品には
1.SFエイリアン・スペース 燃える大都市の怪(70分)
2.SFレーザーブラスト(82分)
3.レーザーブラスト(82分)(HDリマスター版)
という3つの『本編』が収録されているのである。

また非常に奇妙な話だが1番尺の短い「SFエイリアン・スペース」にだけ存在して,
「SFレーザーブラスト」にも「レーザーブラスト」にも存在しない場面があるのだ。
政府のエージェント・トニーがシェリルの祖父と込み入った話をしている場面と,
シェリルが家に帰って来る場面とがそれで,
何故こんな場面が存在するのかは分からんが特典映像の「削除されたシーン」に別途収録されている。

音声解説は製作のチャールズ・バンドと弟で音楽担当のリチャード・バンドによるもので,
「水着の女の子を映してると尺稼ぎがバレなくていいね」とか
「エイリアンの癖にセスナにビビッて宇宙船で逃げるから,
あとで上司エイリアンに,こっぴどく叱られて銃を回収する為に地球に再度来る羽目になるんだよ」とか
「(先行して公開されていた)『スターウォーズ』の立て看板を
『レーザーブラスト』で木端微塵にする場面で思わず快哉を上げた」とか
大変愉快な内容なので皆さんにも楽しんで頂けたらと思う。

ブックレットは神武団四郎氏とスティングレイ代表岩本克也氏による力作で,
本レビューを執筆する上で大いに参考になった。

サントラCDには全25トラック46分45秒収録されている。
ポスターの意匠は秘密。

あとね!本作の見所は皆が皆トカゲ型エイリアンの動きって言ってるけど,爆破に次ぐ爆破場面も凄いから!
音声解説でも,そう言ってるから!

本商品の評価となるが,これ程充実した特典は後にも先にも,登場する事は無いと断言してしまおう。
自信を持って5つ星評価する次第である。

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