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安原伸監督の特撮作品「ライダー神風」全8話レビュー「ライダー神風は極右思想改造人間であるッ!」

ヤクザに絡まれて瀕死の重傷を負い昏睡状態に陥った若者。
彼を助けた気違いおじさん(要するに立花藤兵衛)は
天皇陛下の有難い教えとナチズムを寝物語に聞かせた結果,
陛下の醜の御盾として戦う極右思想改造人間「ライダー神風」が誕生した。彼は今日も旧日本陸軍の軍服を着用し,左翼活動家を撲殺するのだ。
つまり…「ケンペーくん」と「仮面ライダー」の
併せ技が「ライダー神風」なのだ。

初見。
昭和63年小学館で「仮面ライダーブラック」の漫画版が連載されていて
連載を盛り上げようと「仮面ライダーグランプリ」を開催し作品を募った。

本作はそのグランプリに参加する為に作られた
初代ライダーのパロディでアイディア賞を受賞している。

ホントだって!グランプリ実行委員長は勿論石ノ森章太郎先生!

13分弱の尺に全8話が収録され,第1話に1番手間暇かけてアイキャッチ等が
設定されている気合いの入り方だが,予算と時間の都合からか,
みるみる精彩を欠いて行く様が
奇しくも特撮番組制作進行のパロディとなっている。

第1話Aパートアイキャッチ
第1話Bパートアイキャッチ

ライダー神風のメイン火力は
ライダーパンチ(鉄拳制裁)
ライダーキック(死体蹴り)
の2種で左翼活動家に馬乗りになって「君が代」が流れる中,
「ライダーパンチ!死ねッ!ライダーパンチ!死ねッ!」
と叫びながら死ぬまで殴り続けるのが基本戦術となる。 

第1話 天皇陛下を守れ(尺5分)
第2話 皇居の緑を守れ(尺2分)
第3話 ライダーの秘密(尺1分30秒)
…と尺が縮み続け以降は平均の尺が1分となって行く。

最終話「さらばライダー」で
ライダー神風はかつて自分に瀕死の重傷を負わせた
ヤクザと再戦するが
改造されたのは思想のみで肉体はそのままの神風が
ヤクザにかなう筈もなく絶命。
彼は7日後にライダーキリストとなって復活するのだった。
神風→「神」→キリスト→1度死んで復活。
という製作者の思考過程が手に取る様に分かるのだ。
オマエ…神道なんじゃねえの?
いつキリスト教に宗旨替えしたんじゃい!

本作品は昭和63年に制作され,
昭和天皇は翌年に崩御される状況で皇居での撮影は勿論不可。
収録は神戸大学の周辺で行われ構内の看板に
「昭和天皇Xデー」などと書かれ時代を感じさせる。

1度聴いたら絶対忘れられない主題歌が素晴らしい。

せまるアカ~左翼の集団~
皇居を狙う黒い影
天皇陛下を守るため
ゴーゴーレッツゴー
輝く単車
ライダージャンプ
ライダーキック
神風ライダー 神風ライダー
ライダー ライダー

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