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映画「屋敷女」ノーカット完全版ブルーレイレビュー「ホラー映画の円盤は見つけ次第買う…「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)」が鉄則なのだ。」

カメラマンのサラ(アリソン・パラディ)は自動車事故を起こし,助手席に乗っていた夫は即死。お腹の子が夫の忘れ形見となった。
数か月後のクリスマスの夜,出産を間近に控えた彼女は自宅で独り物思いに耽っている。夫と愛し合った日々が突然中断された,あの自動車事故…。
彼女の思索は玄関からの呼び鈴の音に遮られた。覗き窓から外を見ると黒づくめの女(ベアトリス・ダル)が立っているが顔は良く見えない。女はドアを開ける様懇願するが,釈然としないものを感じた彼女は懇願を拒絶する。
すると女の懇願は命令に変わりドアをドンドン叩き始める。恐怖に怯える彼女は警察に通報するものの駆け付けた警官が警邏したところ女の姿は無い。きっと女は警官を恐れて退散したのだろう…彼女は安心して床に就こうとすると件(くだん)の女が室内に立っているではないか。
女は「腹の子は私が育てる」と言い出し彼女の腹をハサミで裂こうと襲い掛かって来る。だが頭のイカレた女と過ごす痛みと血に塗れた聖夜は始まったばかりなのであった…。

女(ベアトリス・ダル)の頭がイカレているのは確かだが,女の頭がイカレた理由も凶行に及ぶ動機も納得出来る物。「何も言わずに唯立っているだけのベアトリス・ダル」の驚異の存在感に震える。

「屋敷女」という訳の分からん邦題は望月峯太郎氏の漫画「座敷女」から取ったのだろうか。原題のINSIDE(内側)ではパンチが弱いと思ったのだろうが「屋敷女」は本作の内容と全く合っていないのだ。これは本作が本邦で初めて公開(2007年)されてから16年続く,このダサい上に意味不明な邦題への不満である。

16年前に公開された際は,内容の過激さ故に不完全版の公開となった。
具体的に言えばサラの壮絶な「出産場面」が余りにもアレ過ぎたのだ。
その後アンレイテッド版DVDが出て,完全な状態の本作を観て肝を潰したが
その後DVDが廃盤になって,何故かブルーレイ化しなかった為,DVDには大変なプレミアが付いていたのだが2021年になって本作のノーカット完全版がようやく劇場公開され,2022年になって内心大いに期待していた待望のブルーレイ化が実現された次第である。

ブルーレイ化…とはいえ媒体はBD-ROMではなくBD-Rで特典がゼロの上,定価5,800円でAmazonでしか売ってない上に値引き対象外とオマエ本当に円盤を売る気があんのかと販売元の首を絞めたくなるがホラー映画の円盤はアホが何か事件を起こして発禁になったり販売許諾期間が異常に短かったりと逆風が強過ぎるので見つけ次第買う…「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)」が鉄則なのだ。
今さ…貴方は5,800円が「高い」と思うだろうけど廃盤になってヤフオクやメルカリで人様のお下がりを定価の10倍払って手に入れる事を思えば本作のアンレイテッド版DVDに大変なプレミアが付いた事から「何か」を学び取るべきだと僕は愚考する次第です。

皆様も「何も言わずに唯立っているだけのベアトリス・ダル」の驚異の存在感に震える熱帯夜を過ごして欲しい。

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