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ハーマン・ヤウ監督/アンソニー・ウォン主演の映画「八仙飯店之人肉饅頭」レビュー「ウワー…香港のレクター博士は死ぬ程アグレッシブ(攻撃的・積極的)だなあ…(棒読み)」

僕は…ロクでもない映画のレビューを書いてるのに…
何故か女性の「スキ」が貰えるコトがある…。
世の中には奇特な女性がおられるモノだ。

なれど…
だからといって映画のチョイスのロクデナシ度を下げる訳には行かぬ…。
やはりロクデナシ映画愛好家は…ロクデナシ映画のレビューを書いて…
読んだ人をドン引きさせるからロクデナシ映画愛好家と名乗れるのだ…。
ロクデナシ映画愛好家を通すにはまず…
「好かれたい」って気持ちを谷底に投げ捨てる必要があるのだ。
「好かれたい」と思った瞬間に好き勝手出来なくなるからな。

と言うワケで…「スキ」を貰う事を全く意図しないレビューの
お題として挙げるのは…「八仙飯店之人肉饅頭」となる…。

マカオで八仙飯店という中華料理屋を営む店主と
店員ウォン(アンソニー・ウォン)が賭け麻雀をしている。
賭け麻雀に勝ったウォンは店主に金の支払いを要求するが
店主はウォンが何らかの小細工=イカサマをしたと因縁をつける。
実際イカサマをしていたにもかかわらず
ウォンは逆切れし店主一家を皆殺しにする。
「一家」の中には幼い子供も含まれていたが…
見逃すウォンではない…
最後に残った幼女に向かって…
「ひとりも逃がさねえぞ…」
と凄み…幼女が失禁するものの…構わず殺すのだ。

ウォンは非常に熱し易い性格で…
前にも一度賭け麻雀でカッとなり…
側にある灯油缶で賭け麻雀相手の頭を何度も殴打し…
灯油をかけて火達磨にして殺し…中国大陸から逃げた前科があるのだ。

「カッとなった」位で人を平気で殺す
「リアル殺人者」の恐怖を嫌と言う程堪能出来る。

一家全員を皆殺しにしても腹の虫が収まらないウォンは…。
遺体を肉切り包丁で微塵切りにして肉まんの「あん」に混ぜ込み…
汚れた手を自分のションベンで洗い…
その手で素知らぬ顔で肉まんを店頭販売する。

忽然と消えた店主一家に不審を抱いたマカオ警察は
ウォンをしょっ引くが「証拠」は既に見知らぬ客の胃袋で
消化されていることを知っている彼は素知らぬ顔だ。
業を煮やしたマカオ警察は
ウォンに自白させるべく拷問を開始するのであった…。

皆さんは…「羊たちの沈黙」って映画を御存知ですか?
「羊」の大ヒットを見た香港映画界は例によって
例の如くの「あやかりたいかやつりたい作戦」が発動し…
香港が作った実録犯罪者映画が…
この…「八仙飯店之人肉饅頭」なんですね。

つまり「八仙飯店之人肉饅頭」は…
香港版「羊たちの沈黙」と言うワケですね。

香港のレクター博士ことアンソニー・ウォンは…
女の股に割り箸の束を突っ込んで大出血させた挙句…
暴行殺人に及ぶアグレッシブぶりを披露しておりまして…

「へー香港版『羊たちの沈黙』かあ…どんなだろ…?」

…と思って迂闊に観ると心停止する凄まじさで…
特に返還前の香港は…「人権意識」が羽毛より軽く…
意識の高い人が観ると漏れなく憤死すると思います…。
「人権意識」がゼロなのに
クラリスに相当する女性キャラなんて出るワケないだろ!

本作は…「人権意識」がゼロのうえ…
「衛生観念」もゼロなバッチィ映画なのです…。

実は…前半のアンソニー・ウォンの所業よりも…
後半のマカオ警察の拷問の方が輪をかけて酷いのです…。

殴る蹴るなど基本中の基本で
店主の弟が服役中の監獄にウォンを同居させ暗黙の了解のもと
囚人たちによる彼に対する私刑が行われ看守は見て見ぬふり。
大怪我を負った彼は…「小便には消毒作用がある」と言い…
自分の小便を空き缶に入れて飲尿療法…。
それでも自白しない彼に覚せい剤を注射し
強制的に気分を高揚させ三日三晩眠らせない。
疲労困憊の極みに達した彼に更なる拷問が待ち構えている…。

香港に「人権」の「じ」の字もない事が分かっていただけると思います。

しかも…警察の描写が多分に本邦の「あぶない刑事」の影響を受けており…
上記の拷問を挟みながらコメディパートが展開されるのです…。
「謂れのない拷問捜査を受けて可哀想」なんて発想はゼロ。
自供しなければ死あるのみ。

本作品は1993年に香港で制作されている。(「羊」は1991年。)
1997年の中国返還前の香港が生んだ
香港の「自画像」とも言える本作品を受け止める自信は有りや無しや。

まあね。

貴方の為に忠告しますが…この世には「観ない方がいい映画」があり…
本作や「ムカデ人間2」はその筆頭と言えるのです…。

悪いコト言わんよ…こんなモン観ちゃダメ。

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