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漫画ローカル×ローカル。12話まで描くことができて。振り返りと、今の心境

漫画「ローカル×ローカル」がWebメディア『cakes』で12話まで更新することができました!

一重に、読んでくれる方がいるから、成立する話です。

ありがとうございます。

あ、初めて見る人のために、一応あらすじ▼

2017年夏。東京の出版社で働く編集者のイッテツは、突然友人のフリーランス・ヤノモトから呼び出されます。乾杯も束の間、「伊豆で働かないか?」との相談。地方なんて、「仕事がない」「閉鎖的」「刺激がない」、そんな現実を知っていた地方出身者のイッテツでしたが……。

1話はこちらから!▼

これ、僕からしたら、とんでもなく、すごいことなんです。

実はこっそり夢だった、漫画が描けているんですから。

ましてや、連載なんて・・・。

小学校の卒業文集で、「漫画家になる!」って、ストレートに書くのが恥ずかしくて。

「夢が叶わなかったら、野球で、2番バッターになっていると思います」。

と、意味不明な文章を書きました(これは以前どっかで書いた気がする)。

その時の感触って、今も覚えています。

「あぁぁ〜いま、自分に嘘ついているなぁぁァァ」、「誤魔化してるなぁ」って。

それからずっと、自分の夢というか、目標は、誰にも見せない。

そんなやつだったので、この状況は。

この環境が。

走って叫び出したいくらい、嬉しいです。

新海誠、細田守の作品で、主人公がよく走っているアニメ描写がありますが、それくらい(?)嬉しい!

そんな環境だからこそ。

自分の感覚としては、手が届きそうで、全然届かないというか。

あと一歩、いや、気持ち的には、万歩というか。

自分ではわかってるんです。

何が足りないか。

自分の心の余裕だったり、時間だったり。

具体的に届ける工夫だったり。努力だったり。

足りない・・・・。

まだ足りない!

と思ってしまう。
(実際足りないのですが)。

な〜んて。

辛気臭く書いてしまったり(笑)。

この文章をいつか振り返って時、アッハハと笑えればいいな、と思う。

だけど・・・やっぱり気を抜くと、目の前のチャンスを棒に振ってしまう気がして。

不安というモノノケが、耳元でそっと囁きます。

「お前、このままだとダメだよ?」って。

9月、10月は、心を鬼にして。

漫画に向き合います。

自分の人生は、誰も責任を取ってくれない。

親のせいにも。

友達のせいにもできない。

自分だけが、笑顔で自分の責任を取れるんだ。

漫画、これからが本番です。

ここからが本当に勝負。

自分の人生を、なるべく後悔が少ないものにしたい。

「誰のせいにもしたくない」という、歪な誠実さ(?)です。

もちろん、それは個人的な自分との約束みたいなもんでして(笑)。

自分が小学生、中学生、高校生の時、

「自分は鈍臭いんだから、目標なんて、夢なんて、見ないように生きよう」。

そう思っていた自分や、天国でわちゃわちゃやっている友達にも、婆ちゃんにも。当分、漫画の報告を続けたい。

続けたい!

というわけで!

漫画、ぜひ感想とかシェアとしてくれると、めちゃくちゃ具体的な応援になるので、今後ともよろしくお願いします。

最後に、たびたび思い返す。ドキドキする言葉があるので紹介しよう。

2008年に『乳と卵』で芥川賞をとった小説家 川上未映子の『すべて真夜中の恋人たち』に出てくる言葉のやりとり。

あらすじ
入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。

レビューは、そこら辺の書評に任せておいて。

僕は登場人物の仕事の捉え方に、なんか心が揺さぶられるんですよね。

聖:わたしが信頼するのは、すきとか、恋愛とか、愛とかーそういうところから出発するようなものじゃなくて、まずその人の仕事に対する姿勢であるってことなの。

冬子:仕事の姿勢?

聖:そう姿勢。仕事に対する姿勢よ。そこにはね、その人のぜんぶがあらわれるんだって、そんなふうにわたしは思っているところがあるのよ。

<中略>仕事ってね、 それが家事でも、スー パーのレジ打ちでも、たとえばディトレードでも肉体労働でもなんでもいいの。種類でもなければ結果を出すとか出さないとか、そういうものでもないの。結果なんて運もあるし、そんなものいくらでも変わるもの。他人なんていくらだって言いくるめることはできるし、ごまかすことだってできるしね。でも、自分にだけは嘘はつけないもの。自分の人生において仕事というものをどんなふうにとらえていて、それにたいしてどれだけ敬意を払って、そして努力しているか。あるいは、したか。わたしが信頼するのはそんなふうに自分の仕事とむきあっている人なのよ。

<中略>そして、わたしはそういう人のことだけを好きになるの。<中略>そして、そういう人に向けれらたすきという自分の気持ちを、わたしは信頼しているところがあるの。だから、すきとか愛とかーまあ愛というもののことについてあまり考えたことがないけれど、最終的に残るのはそんなふうにいつか変質したり単純に消滅したりしてしまうようなものじゃなくて、やはり信頼なのよ」
川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』P.28

マッチョな考え方だし、自分が聖のような考えを他者から押し付けられたら、絶対窮屈(ストイックすぎるw)。

でも、どこか僕はすごく納得するんだよなぁ。

聖の考えというか、この生き方が難しいのは前提の上で。

それでも、やっぱり自分になるべく嘘つくまいと決めていて、哲学を持っている人に、僕は惹かれる。

「誰のせいにもしたくない」という、無駄な(?)、勝手な(?)、自分と結ぶ歪な誠実さ(?)の話。

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