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Photo by
okanokura
今度こそ!
「あなたとお友達になりたいです」
「えっ、でも今、仕事中ですので少し考えさせてください」
青年は意中の歯科受付の女性に会計の際に声をかけた。
帰り際彼女は何度も、にこやかにお辞儀をしてくれた。
しかし一週間後、彼女は歯医者を辞めた。えー! なんで!
青年は半年後、意中のコンビニ店員の別の女性に、やっとの思いで同じ様に声をかけた。
彼女は露骨に困惑の顔で
「仕事中ですので困ります」
一週間後、コンビニが潰れた。えー! なにも潰れなくても!
「かわいそう」
近所のおばさんが笑いながら慰める。
新宿サブナード地下街のカフェ、通路に向いているカウンターで横顔が綺麗な女性がお茶していた。
青年は、束の間の目の保養のつもりだった。
ところが、彼女の横顔は見られなくなった。
なんと、彼女は微笑みながら、彼を目で追っていた。今度こそ!春なのだから。
でも、彼女に声を掛けることはなかった。
実は彼はそのとき、腹痛を催していたのだ。
もし声掛けして、彼にとって良い状況になったとしても、良いストレスの衝撃でパンツをプチ汚してしまう恐れがあったから。
泣く泣く彼女のアイコンタクトをスルーしてしまった。
願わくば、もう一回青年に、今度こそ! を。
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