ラグビー#19|ワールドカップ3位!イングランドのラグビーとは!?
ワールドカップも、ついに明日の決勝で終了
数々の名試合が繰り広げられた、今年のワールドカップ
今朝、アルゼンチンとの3位決定戦が行われました
結果は激戦の末、26-23でイングランドの勝利
3位という結果で、イングランドのワールドカップは幕を閉じました
前評判は、あまり良くなかったイングランド
それもそのはず、今年のシックスネイションズは4位、ワールドカップ前のテストマッチも1勝3敗と、直近の試合に全然勝てていませんでした
しかしワールドカップに入ると、自分達の強みを出したイングランド
南アフリカには惜しくも敗れましたが、結果として3位まで昇り詰めました
本番で、結果を出したイングランドラグビー
今日は、僕が考えるイングランドラグビーについて書いていきます!
イングランドのラグビーは面白い?つまらない?
「イングランドのラグビーって、キックばっかり蹴って面白くない」
よく聞くフレーズです笑
これはラグビーの好みのスタイルや価値観、考え方で大きく左右される部分で、本当に人によって違います
もちろん面白くないという考えは、間違いではないと思います
むしろ面白くないと思う人とって、それは正解です
ちなみにですが、僕の答えは
「めちゃくちゃ面白い」
です
もう一回言うと
「めちゃくちゃ面白い」
んです
では、イングランドラグビーの一体どこが面白いのでしょうか?
トライの少ないイングランドが勝つ理由
まず、この数字を見てみましょう
今回のワールドカップでの、ベスト8のチームの1試合平均トライ数です
イングランドは、8チーム中なんと6位
1試合平均で、3トライしか取れていません
1位のオールブラックスと比べると、なんと5トライの差
すごい差ですね
(オールブラックスが凄すぎる…)
1試合平均3トライでも、3位まで進むことができた
PGやDGを重ねて、勝つことができたからですよね
ここで、ラグビーの勝敗について
ラグビーは、トライを多く取った方が勝ちではありません
相手より1点でも多く得点を取った方が勝ちです
イングランドの強みは、相手より多くトライを取ることではありません
80分通して、相手より1点でも多く得点を上回ることに重点を置いているのです
じゃあなぜ、イングランドの得点源であるPGやDGを狙えるのでしょうか?
ここで1つのキーワード、「テリトリー」の考え方が出てきます
イングランドの「陣取り合戦」
「ラグビーは陣取り合戦だぞ!」
まだ幼いラグビースクールの頃から、コーチ達によく言われていました
それもその通りで、ラグビーは相手の陣地(敵陣)にいる方が、とても有利にゲームを進めることができるからです
では、どのようにして敵陣に行くのか
どうやってテリトリーを取っていくのか
ラグビーの試合中、ボールを前に運ぶ手段は持って走るかキックをするかしかありません
要は、「ラン」と「キック」ですね
イングランドは、この陣取り合戦に勝つために「キック」を強みとしています
ではなぜ、キックを強みとしているのか
1つ目は、精度の高いキッカーがいること
特に9番と10番は、全員素晴らしいキッカーです
狙ったところへボールを落とし、蹴り方でボールの回転も操ることができます
2つ目は、キックで前に進む戦術を理解していること
イングランドには、ボールを持って前に進むことができる良いランナーもたくさんいます
しかし「ラン」を強みとして置いていないのは、「ラン」が得意なチームをそこで上回ろうとはしていないから
上の平均トライ数を見て貰えば分かるとおり、「ラン」を強みとして得点(トライ)を取ってくる、強いチームがいます
例えばオールブラックスやフランスに対して、彼らと同じスタイルの戦術で試合に挑んでも、イングランドが勝つことは難しいと思います
イングランドは、自分達が相手を上回れる部分の戦術を理解した上で、キックを使っているのです
そんなイングランド
ワールドカップ7試合の、テリトリーの平均は51%
ダントツ上回っていると言うわけではありませんが、要所でしっかりとテリトリーを取れていました
そしてここで大事なのが、取ったテリトリーを得点に換算していくこと
ラグビーがいくら陣取り合戦と言ってテリトリーで上回ったとしても、得点を取らないと勝つことはできません
イングランドは取ったテリトリーを、「トライ」ではなく「PG・DG」を使って得点に換算していきます
順番としては、このような感じです
テリトリー→敵陣でラグビー→ペナルティをもらったらPG(隙あらばDG)
いくらロングPGが得意なエリオットデイリーでも、自陣10mが限度
それより自陣からは、PGを狙うことができません
よって、テリトリー1stな考えになる
そのテリトリーを取るために、イングランドはキックを使う
イングランドの戦術は、このような感じの流れです
では、ただキックを蹴ればテリトリーは取れるのでしょうか?
ここでもう1つ重要なポイント「モメンタム」の考えが出てきます
「モメンタム」と「ノーモメンタム」
ラグビーの解説などで聞くこともある、「モメンタム」と言う言葉
要は、「勢い」のことです
アタックでモメンタムがある状態は、簡単に言うと「ボールが前に動いている状態」
アタックで、ゲインラインが切れている状態のことです
逆にノーモメンタムの状態は、フェーズを重ねてもゲインが切れず、前に出れない状態
ノーモメンタムの状態の時は、DFの方が有利に働きやすいです
(ex.アタックが前に出られない分、ジャッカルも入りやすい など…)
前に進めない状態でフェーズを重ねるようなポゼッションの使い方をしても、アタックしている自分達が疲弊し、ターンオーバーや反則のリスクも上がる
このようなノーモメンタムの状態の時に、キックが有効になってきます
イングランドは、この見極めがとても速い
イングランドがエリア中盤で使う「コンテストキック」は、このような役割が特に表れます
単純に数字で表してみましょう
中盤でのゲイン率が、自分達が求める数字を下回っていたとします
(ここでは、わかりやすく50%とします)
50%を下回っているようなノーモメンタムの状態であれば、50/50の確率でリゲインできるコンテストキックの方が前に出れるかもしれません
キックの精度が高く、コンテスト能力が高い選手がいて、チェイスラインも整備されて考え尽くされているイングランド代表なら、50%より高い確率でリゲインできる可能性がある
これが有効に働きリゲインできると、テリトリーはもちろんのこと、ポゼッションも上げることができます
ノーモメンタムの状態でも、こうやってイングランドはボールを前に運んでいくのです
敵陣に入っても大体22mラインまでぐらいは、このノーモメンタムの時のキッキングプランが通用します
ただ敵陣でコンテストキックを使うとマークされてしまう可能性があるので、イングランドは相手が取りにくいグラバーキックを使用します
相手がもしキャッチしたとしても、ハイプレッシャーをかけることで相手は苦し紛れのキックを蹴ることになる
その相手のキックがタッチに出ればマイボールのラインアウト、出なければカウンターのチャンスです
自分達の新しいポゼッションから、モメンタムを作り出すチャンスが生まれます
もしイングランドが蹴ったグラバーキックがタッチに出てしまい、相手ボールのラインアウトになったしても、敵陣深いため相手がまず取る手段はExit(脱出)です
Exitは基本キックを使っての脱出を考えますので、タッチに出ればマイボールのラインアウト、出なければカウンターのチャンス
これもまた、自分達の新しいポゼッションからモメンタムを作り出すチャンスが生まれています
キックを有効に使えば、ポゼッションも上げることができる
これこそ、イングランドの必殺技
ワールドカップでのイングランドの平均ポゼッションは54%
イングランドは1試合平均36回もキックを使っていましたが、このようにポゼッションでも相手を上回ることができるキックの使い方をしていたのです
このような戦術を使い、テリトリーを取ってポゼッションを取る
相手より1点でも上回り、80分間を戦い抜いている
えっ・・・
イングランドラグビー、面白くないですか???笑
2027年に向けて、更なる進化を
ベテランのベン・ヤングスとコートニーロウズが代表引退を表明
2人とも好きな選手だったので少し寂しいですが、また若い選手がどんどん活躍していくのが楽しみです
そんなイングランドですが、今回のファイナリストであるオールブラックスや南アフリカに勝つためには、更なる進化が必要なんだろうなと感じています
2019年は2位、2023は3位
次回のワールドカップでは、優勝を目指して頑張ってほしいです
今回は、僕が考えるイングランドラグビーを書いてみました
アタックフォーカスで書きましたが、ディフェンスがイングランドの強みだったりもします
また違うイングランドラグビーの考え方がありましたら、ぜひ教えてください!
イングランドラグビー、実は面白いんじゃない!??
と思ってくれる人が1人でも増えたら、とても嬉しいです!
それでは、決勝も楽しみましょう!
ありがとうございました!
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