【炭酸水(Sparkling)】眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー201907まとめ

Noteユーザー様の新旧作品を一つのテーマで綴るアンソロジー。眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー第14弾【炭酸水】がまとまりました。

炭酸水。何と胸躍る液体でしょうか。
炭酸水。ソーダ、サイダー、トニックウォーター、ラムネ。炭酸を含んだあまたの飲み物。そしてビール、各種のカクテル。
季節は夏です。これほど夏を端的に表す飲み物はございません。
昨今は炭酸水のお湯につかったり、髪の毛を洗ったりします。
天ぷら粉を溶くのは炭酸水を使うと良いらしいですよ。カラッとするんですって。
炭酸水が私たちの喉を、生活を潤します。

今月のアンソロジーのテーマは炭酸水です。
noteユーザー様の個性が光る珠玉の20篇。
夏の木陰で涼みながら、午睡の合間に、はたまた寝付けない短夜のお供に。
どうぞ、今宵も眠れぬ夜のアンソロジーをお楽しみ下さい。

CONTENTS
01 音楽 「ないものねだり」Mary Ann pianoplayer
02 イラスト 「6月のビール」奥千春
03 エッセイ 「飲み干したジンジャーエール」KOKAGE
04 短編小説 「そこまで寂しいわけじゃないし」千本松由季
05 小説 「異常な博士の偏狭」 zaderan
06 日記 「アイスとサイダーとコンドーム」ふわふわ
07 写真「ソーダを一日3種類飲んだらメルヘンワールドへ溺れた記録」じょう
08 嘘 「夜の仕組み」 夢蒟蒻
09 小説 「炭酸水」 クマキヒロシ
10 イラスト 「ラムネのミラージュ」toukokuu
11 小説 「常夏の炭酸水」 アセアンそよかぜ
12 コラム「インドネシアポップスおすすめ5選」Yuki Lee
13 短編小説「駅前広場のスケッチ」くにん
14 漫画「日々の漫画 番外編 異世界に行くって話」辛島ぬう
15 小説「幕を下ろすな。」ウネリテンパ
16 写真「古民家で過ごした夏とクリームソーダ」tsunekawa/クリームソーダ職人
17 短編小説「夏蜜柑ポップ」ムラサキ
18 詩「ぶどう酒びんの夢」fuyuno coat
19 漫画「君のそんな馬鹿なとこが好き。」池田ルイ

アンソロジーはこちらです。

解題

01 音楽 「ないものねだり」Mary Ann pianoplayer

Cofy&Mary Ann(https://coffymusic.jimdo.com/coffy-and-mary-ann)のMary Annさんが本アンソロジーに参加してくれました。
嬉しいですねえ。メリアンさんのピアノ、そして歌声は伸びやかで、ハッピーで、兎に角とても良いのです。
https://note.mu/maryann/n/n740400851f22?creator_urlname=maryann
↑この記事をご覧ください。如何にcofyさん、メリアンさんが愛されていることか。地底の住人たる私からすればこのような人の繋がりは眩しいばかりです。
さて、メリアンさんの曲は「ちぐはぐ」な恋人を描いたポップ曲です。ちぐはく、あべこべ、陰と陽。…交感神経と副交感神経?性善説と性悪説?失礼、ちょっとズレました。

あべこべなのに仲良しの二人・・・。
このフレーズに何か覚えがあります。
混濁した記憶から取り出した言葉は「さくらんぼの詩」という謎の暗号…。
「ナンだっけソレ?」と画像検索するも・・・コレじゃない。はて何を思い出そうしていたのか。記憶力が低下しておりますので、こうなると容易でございません。

あ、コレだ。と突然のシンパシー。
(著作権保護のためモザイクをかけました。)

「小さな恋のものがたり」。
チッチとサリーです。
ちなみに「さくらんぼの詩」はコレ↓でした。

当時、小さかった頃の私は男女の営みも画像の判別もできずに、この二つを同一視していたものと思われます。或いは「チッチとサリー」と「チェリー(さくらんぼ)」が錯乱したのかもしれません。
「さくらんぼの詩」って「クリームソーダ」味もあったんですね。
さて、「私の記憶力が危ない」という話でした。

Cofy & Mary Annさんの曲は桜桃の如く「甘酸っぱい」のです。思わず忘れていた幼少の頃の記憶が泡となって噴出するほど。

夕暮の街角と人々とソーダ水。美しいイメージです。
炭酸水の気泡が窓の外の人々に重なります。
気泡が人々を煌めかせます。
誰もが皆、輝いているんですね。
街を歩く人々が。
良い曲です。

02 イラスト 「6月のビール」奥千春
奥さんのイラスト。「6月のビール」は梅雨間のビール。
外を見ればまた、雨。サミダレ。逍遥するには難がありますが、雨の穿つ窓外の景色はまるで大きな水槽を見ているかのように楽しいものです。
そして手の中にビール。爽快です。
世の中には雨が好き、雨の日にも楽しみを見出す事が出来る御方がいます。
奥さんのイラストを見倣って、私も雨を楽しむ余裕のある人間になりたいものです。

03 エッセイ 「飲み干したジンジャーエール」KOKAGE
KOKAGEさんのエッセイです。
完璧な処世術などありません。人生は苦あり楽あり。負の連鎖の止まらぬ時もありましょう。
卯の花を腐す雨のような時期に、心まで腐らせてはいけません。

KOKAGEさんはどうやらお辛いことがあったご様子。それをジンジャーエールで飲み下そう、というエッセイです。

嫌な気持ちを打ち消さなければ事態は好転しないものです。
そんな気分転換にジンジャーエールをどうぞ。
子どもの頃に初めて飲んだジンジャーエールは甘いカナダドライでしたが、大人になって初めて飲んだジンジャーエールはウィルキンソンの辛口です。辛さに痺れましたね。
生姜汁とはまた違った辛さですね。

子どもの頃のジンジャーエールも大人の頃のジンジャーエールも、生活の一断片。泡沫に消える一過性です。時間が経てば懐かしい思い出に変わるものです。

04 短編小説 「そこまで寂しいわけじゃないし」千本松由季
千本松さんの小説です。BLです。炭酸にまつわる様々なイメージが登場します。
地層の中の二酸化炭素、海底の泡、ジントニック。
この小説を読みながら私は布団と地層の相関性について考えておりました。
布団もまた地層からなっています。そして地層の合間に古代のロマンが隠れています。
いや、隠れているのは我々自身でしょうね。我々は地層の中で誰かに発掘されるのを待っているのです。
小説中主人公の誠のように、子供のように拗ねて膝を抱える「自分」、を見つけてくれる者を待っているのです。この気持ちに気付いてくれよ、と。古代の生き物が化石となって数万年。いつか発掘される日を待っているように。

本日、千本松さんのアカウントに本小説の続編が発表されておりました。宜しければ是非そちらも。


05 小説 「異常な博士の偏狭」 zaderan
「過去に不正を働いた研究者たちの末路」を専門に取材する雑誌記者。なんとも胸躍る設定です。
そこに登場するマッドサイエンティスト。
その研究は「コーラを飲むとマウスはゲップで空を飛べる」というもの。
そんな馬鹿な、と笑いつつもこれは「小説」です。何が起こるかわかりません。
「飛ぶのか、いやまさかね」と読者は緊張しながら次の言葉を読み進めます。
この緊迫感は小説ならではですね。
そういえばタイトルの原題となっている「博士の異常な愛情」は発狂したアメリカ軍人がソ連に核攻撃を仕掛けようとする話(スタンリー・キューブリック監督作品)ですが、これもまた一寸先の読めない映画でした。
「そんな馬鹿な」が起こるかもしれないのが小説。
ドラマツルギーは自由の産物です。
「飛ぶのか飛ばないのか」皆さんはどんな結末を想像しますか?結果は本話をご覧下さい。

06 日記 「アイスとサイダーとコンドーム」ふわふわ
この記事は2018年12月24日の記事です。およそ半年前ですね。クリスマスです。
表現が大変面白い小説(日記)です。
「ソレをする時にアレがない」
代名詞だけで話が進行していく。表現が曖昧で本当は意味が分からない筈なのに何故か意味が通じてしまう。極限の単純化。
日本の文化は引き算と言われますが、この暗に含めた表現で意味を表そうとするのは、引き算の文化の真骨頂ですね。削ぐことで本質を浮き彫りにさせるレトリックです。
女性はアイスクリームで男はサイダーという対比も面白いです。全く異なる対比でありながら、どちらも甘味であるところがメルヘンで良いなあと思います。
ちなみにアイスとサイダーという、この対峙はですね、重なるとクリームソーダという化合物になるのです。

07 写真「ソーダを一日3種類飲んだらメルヘンワールドへ溺れた記録」じょう
写真は時として言葉を発します。
マガジンに収録したじょうさんのクリームソーダの写真を再び開こうとした時に「あれ、この記事は」写真だけでしたっけ??何か文章が付いていたような。と記憶野が混乱を始めました。混乱が始まると脳髄から虫が鳴くような音が聞こえます。聞こえますよね?
「機知機知機知」とした音が。

さて、「私の記憶力が危ない」という話でした。記憶以外にも危ない所があるかもしれません。
ま、それはともかく。

ところがじょうさんの記事は写真だけなのです。
私が読んだと思っていた喫茶店のレビュー的なコラムはじょうさんの写真が語った声なき言葉でございました。
曰く、クリームソーダが綺麗ですね。
曰く、赤いチェリーが映えますね。
曰く、(大人の)お子様ランチが素敵ですね。
曰く、なんと素敵なお店でしょう。
良い写真は熱弁を振るうものです。
クリームソーダの声が聞こえます。聞こえますよね?
甘酸っぱくも芳しい「秋波秋波」とした音が。


08 嘘 「夜の仕組み」 夢蒟蒻
水に重曹とクエン酸を溶かすと炭酸水になります。

「重曹とクエン酸から炭酸水を作る方法」はネットに散見されますので探してみて下さい。
同時に「重曹とクエン酸を使って水回りをキレイにする方法」、「炭酸水で洗髪する方法」、「発泡入浴剤を作る方法」も見つかります。
炭酸水素ナトリウムとクエン酸の中和反応には冒険心がありますね。
子供の頃に行った科学実験を思い出します。

そんな科学ロマンはさておき、夢蒟蒻さんのお話に文学ロマンを感じてみてはいかがでしょうか。
一本のペットボトルから吹き出したコカコーラ。漆黒の闇。とめどなく噴出する炭酸水は何処まで広がるのでしょうか。

神話に浸りながら私は自家製発泡入浴剤を作ってみようかと思っております。気分は子供の王国です。バブルです。


09 小説 「炭酸水」 クマキヒロシ

幼少期に思いを馳せるお話をもう一つ。
クマキヒロシさんの小説です。
これは○○○くんじゃないか…とはクマキさんのコメントから。
人間の空想力は無限です。空想ならどんな事でもあり得るのです。
まだ見ぬ世界を見てみたいとは誰もが思う願望です。それが例えば、かつて自分がいた場所、もう戻れぬ場所であったとしても。

某筋では神格化しているAロメロ監督の第一作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は社会派ゾンビホラーSFの名作ですが
(※名作です)
ゾンビ発生の因果律が「宇宙から謎の怪光線が照射された」とパンフレット上で説明される言葉のみなのです。

つまり、世界観を構築する設定の根幹が「空洞」なのです。何故か分からないけれど突然死体がゾンビになって生き返ってしまうので、人々はとりあえず対応していくだけ。
このような物語設定は潔いですね。

物語って雑味を廃するときっとこういうものです。
クマキさんの小説も同様に、何故そうなったのか分からないけれど「事態に対する対応」が問われる物語です。
「自分だったらどうしよう」と設定に身を委ねて読み勧めるとより一層楽しめます。


10 イラスト 「ラムネのミラージュ」toukokuu
上述の通り、物事を再構成して単純化する試み、が好きです。

「わかる人にはわかる画像」の、ようなね。

そしてtoukokuuさんのこの「ラムネ」
まさにこれはラムネです。誰が見てもラムネ。瓶を水滴が伝い、気泡が弾ける煌めきの。
前出のふゆふゆさんの小説にも通じますが、省略を重ねて単純化したミニマルに、私は粋を感じるのです。
果実のようなものです。さくらんぼのような。
ミニマル(果肉)の中に本質(種子)があります。

私も矢鱈コメントが長くなるという悪癖を持っておりますので、余計にミニマリズムに憧れるのです。


11 小説 「常夏の炭酸水」 アセアンそよかぜ

アセアンそよかぜさんの小説です。折しも我々の生きるリアルは平成から令和と改元を果たしました。名前が運気を宿すように元号も我々の将来を左右する言霊となりえます。果たして我々の行く末は。
この卜占を我々は30年前にも経験しております。即ち昭和から平成に改元された時に。
アセアンそよかぜさんの小説は日本から離れたクアラルンプールが舞台となっております。クアラルンプールと平成と炭酸水からなる三題噺です。お楽しみ下さい。

ところでこのお話には続きがあります。

幸野つみさんの企画で「ノート」をテーマに幸野つみさん、アセアンそよかぜさん、喜多 漠路@ちょんぱんきんたんさんの三者が小説の競作をしております。本アンソロジーもそうですが、このような企画が成り立つって素晴らしいですね。中々無いことだと思います。ハッシュタグ「Noteで良かったこと」を実感しております。

アジアに深い造詣があるアセアンさんの小説全二話が我々を異国情緒に誘います。

12 コラム「インドネシアポップスおすすめ5選」Yuki Lee アジアのポップスを聴き倒す会

アジアつながりで、もう一つ。
炭酸水と云えば「ポップ」ですが、こちらはインドネシアのポップを紹介するという珍しい記事です。インドネシアのポップとはまた珍妙な、と思って聞いてみた所・・・「良い」。非常にしっくり来ます。
いまや世界はインターネットによって光の速さでつながっております。もはや文化に差などありません。日本でもアメリカでもインドネシアでも、上質のポップがあります。

特に気に入ったのが。

インドネシアポップなのに日本語歌詞!
事情はYuki Leeさんの記事をご覧ください。
紹介された他の曲もすごく「ポップ」です。
桜桃のように甘酸っぱい曲が揃っています!

端的に感想を述べましょう。
「良い、凄く。」

(この記事には第二弾もあります。インドネシアポップにご興味を持たれた方はYuki LEEさんのアカウントへどうぞ。)

文化は炭酸水の泡の如く、次々と生まれて参ります。これからも沢山の素晴らしい文化が紹介される事を楽しみにしております。

13 短編小説「駅前広場のスケッチ」くにん

カラフルで甘酸っぱいインドネシアポップの後にはくにんさんのシティポップな小説をどうぞ。

もしもあなたがこの街を味気ないと思うのなら、それは町が色褪せたのではなく、あなたが老眼になったのです。

老眼鏡をかけましょう。

気を取り直して、再び街を眺めてみれば、街は今でも色彩豊かに輝いております。子供の頃に見た街の煌めきそのものです。

と、いうメッセージですね。(少し異なるかもしれませんが)

ところで私があこがれた地元(バブル期)の「街(シティ)」は今ではすっかりシャッター街に変わってしまいました。平日でも日曜日でもシャッターの閉じた店と空きテナントのゴースト商店街です。それでも輝いていた余韻が残っておりまして、今でも歩くとわくわくします。

この度のアンソロジーで私はポップとは何かを考え続けておりました。
私がポップの対極いることはうっすら自覚しております。(うっすら、ね)
だからこそ考えずにはおれません。

「ポップ」とは何か。

「ポップ」とは恐らく「信じる心」です。
この街の明るさを、人間の善性を疑ってはいけない。
これには強い意志と覚悟を要します。
本当に?
と疑う気持ちが奥底からもたげます。

街はもう、人々はもう、と。

しかし、疑ってはいけません。
それが「ポップ」です。
強い意志を持った時に輝くのはあなた自身。
即ちあなたが「ポップ」になるのです。

14 漫画「日々の漫画 番外編 異世界に行くって話」辛島ぬう

辛島ぬうさんの漫画です。
これは何なのでしょう。
私はこれを語る言葉を持たない!
良いのか悪いのか分からぬまま、ただ作品の内蔵する不可思議なエネルギーに圧倒され、気が付いたらマガジンに登録してしまっておりました。
途中、炭酸水が登場しますが、全く偶然です。この炭酸水が出なかったとしても私はこの作品をマガジンに登録していたことでしょう。
この私の脳髄が起こした混乱を皆様と分かち合いたいと思います。
「俺がいる」という台詞が語られます。
超自我。
これが正にポップなのです。

15 小説「幕を下ろすな。」ウネリテンパ

ウネリテンパさんの青春小説です。極めて自伝的、と解釈しております。
若い頃からスマートだったんでしょうねえ。やり取りが洗練されております。
人間には陰の気質の方と陽の気質の方がおります。
陰の気質を現代語で云えば「陰キャ」と呼ばれる存在です。
私も自らを「陰キャ」と自負するところではあります。世間様の日陰に生きておりますが、問題は其処ではありません。
陰陽二元論によれば、万物は陰と陽から成り立ちます。
光と影は寒暖の差を生み風が生じます。結露すれば水となります。光重なって火となります。風と水から草木が生えて、火と風からは土ができます。
大切なのは陰陽のバランス。相身互いの相生。

出会った二人が「異なっている」からこそ良い、ということもあるのです。
小説中の二人は性質が真逆なようにも思われますが、とてもお似合いに思われます。このような出会いも青春です。

16 写真「古民家で過ごした夏とクリームソーダ」tsunekawa/クリームソーダ職人

古民家とクリームソーダ。何と煌めいた組み合わせなのでしょうか。いま此処に、皆様の記事の解題を偉そうに書いている私は実は詩人であったりするのですが、詩とは言葉です。
言葉の羅列が詩です。羅列された言葉は相互に関係性を築きます。相生相克、それぞれの関係性が化学反応を起こして「詩性」を帯びます。
そのような意味で「古民家とクリームソーダ」は詩です。或いはクリームソーダそのものが詩です。一見対極のようで「ちぐはぐ」しているのに、並置してみるとこれ以上ないくらいしっくりくるもの。このような言葉群の中に詩が生まれます。
写真の中に散りばめられた女子高生的な人、クリームソーダ、農道、古民家、そして夏。すべてが美しい詩を作っております。
ノスタルジックなのに新しい。素晴らしい試みだと思います。

17 短編小説「夏蜜柑ポップ」ムラサキ
私です。
炭酸水のテーマに乗せられてポップの対極にいる私がポップを書きましたよ。
そしてこの小説は冒頭MaryAnnさんへのファンアートであったりもします。
今回のアンソロジーでは「炭酸水で毛を洗う話」など、ナナメに走る選択肢もございましたが、やはりテーマには真正面に取り組みたい。
幸運なことにMaryAnnさんがポップな曲をアンソロジーに提供してくれたので、なんとしても私もポップになるのだ!とがんばってポップなものに挑戦しました。冒頭の「ないものねだり」を小説の最後にリンクを貼ってありますので、読後の余韻が収まらぬ間にもう一度曲を聴いてみて下さい。相生となっている事を祈っております。

18 詩「ぶどう酒びんの夢」fuyuno coat

冬野コオトさんです。最近辛いことがあった様子。アンソロジーどころではない本人に代わりまして私が勝手に冬野作品の中からテーマに合致するものを選んで参りました。
ぶどう酒のびんには何が入るのがお似合いでしょう。
冒険やロマン、それに私やあなたが入っても良いかもしれません。
私たちは溶け合って、瓶の中の気泡になりましょう。
つまり私もあなたもポップということですね。
目を閉じて開ければ、世界は煌めく気泡に満たされています。

19 漫画「君のそんな馬鹿なとこが好き。」池田ルイ

長らくお付き合いを頂きました本アンソロジーも最後の作品です。池田ルイさんの漫画です。毎度テーマを曲解して作品を拾ってくる訳ですが、本漫画の何処が炭酸水なんだ、と思われる方もいらっしゃいますか?いや、いない。toukokuuさんの青と緑のモザイクがラムネなら、この漫画もこれ以上ないくらい「炭酸水」です。ここまでお付き合い下さる皆様になら、きっとそれは通じる筈。

我々の呼気に含まれる水分が小さな泡となって空へ。空には積乱雲ができています。夏が来ますよ、皆さん。

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