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【懐中電灯】眠れぬ夜の奇妙なコメント師と次回テーマ

NEMURENU40th【懐中電灯】には多くの方がご参加下さりありがとうございました。眠れぬ夜に集まる魑魅魍魎。眠れぬ夜の奇妙なコメント師。この度もまとまりました。コメント師の皆様ありがとうございます!

NEMURENU40th【懐中電灯】解題はこちら


眠れぬ夜の奇妙なコメント師とは・・・

「偏れ!」
愛は独善。愛は独断。愛に理論も方法論もない。理屈抜き大いに語れ。愛に日和見など無い!
(批判はだめです。)

それでは今月の眠れぬ夜の奇妙なコメント師、暗夜のエンターテイナーをお楽しみください!

NEMURENUバー


阿部定寄りの貞子

コメント師プロフィール
阿部定寄りの貞子と申します。ええ、私のチャームポイントは艶々黒髪ロングでございます。逆に言えばそれしかございませんわ(涙)。
懐中電灯の記憶。
大勢で真夜中の森へ光る木の子を見に行った時、ふざけて懐中電灯を使って貞子の真似をいたしましたの。皆様ぎゃああああ〜っ!!と叫んでお逃げになりました。私一人が真夜中の森に取り残されて死ぬ程怖かったですわ。ふふっ。楽しき思ひ出です。
阿部定寄り、なんて云ってみたけど私そんなに狂っておりません。語呂が良いので使ってみただけなんです。ほらぁ(Horror)怖くないdeathよ〜(とっておきの笑顔)、こっちにいらっしゃいな。

選んだ作品
10 アルミの懐中電灯 くにん
12 眠れぬ夜の奇妙なエスキース 虎馬鹿子
19 沼津干物のアジーB


コメント
村崎懐炉氏feat.ノート氏
「沼津干物のアジーB」「空っぽの生活」「フラッシュライト」
コラボレーションがコラボレーションを生んだ名作ですね。
ノート氏の「空っぽの生活」を聴いてから、物語を読みましたの。嗚呼、なんて悲しい。淡々としていて優しい声、尚の事切ない。
ギターの音も、しゃんしゃん云う可愛いタンバリン(?)も。哀愁、という言葉が、良くお似合いです。
さて。村崎氏の作品に参りましょう。
この方。本当に不思議な作家さんだと思いますわ。読みながら微笑んでしまいました。この作品には村崎氏の魅力が余す所なく詰まっています。
ひものがヒーロー、と云う映画を撮る青年のお話。何故?ああ。地元愛ですのね!素敵ですわ!
そして干物に嵌まっていらっしゃる。沼津のひものが日本一だってこと、よおーくわかりましてよ!
えっ?ひものを割り箸で挟んで?パペットですって?ちょっと待って下さいな。ご両親に食べ物で遊んではいけない、と叱られませんでしたか?え?ちゃんと食べる?ああ、それなら……。
私も海亀湾館長様と同じく、Google mapで見ながら沼津脳内小旅行を楽しみましてよ。特に渡し舟が好きですわ。
私達読者は沼津アジーBロードムービーを楽しませて頂きました。それは心の旅でもありました。
クリエイターのハートに、クリエイターが火をつけて。その焚き火で焼いたアジーは美味しいに違いなく。切なく。悲しく。ほろ苦く。「俺を焼いてくれ」。アジーのハードボイルドな台詞が効いていましたね。
村崎氏がさりげなく文中に差し込んだアンデルセンの言葉、「涙は一番小さな海です」。胸がキュンとしてしまいましたわ。
ノートさんが村崎氏の作品を読んで、更に「フラッシュライト」と云う唄が生まれて。
まるで恋する二人の様です。ヒューヒュー♡

虎馬鹿子氏
「 眠れぬ夜の奇妙なエスキース 」

この方はきっと私なんかよりもずっと恐ろしい女の筈ですわ。何なんですの?この色気!そこはかとなく漂う狂気が文字の陰に、潜んでいます。
この方は掌編小説がお得意ですのね。
いったい、どの様なシチュエーションなのでしょう。まったく、けしからん状態なのに違いありませんわね。ふしだら極まりない(褒めておりますのよ)。
まったく濃いぃ〜恋をしていらっしゃるのね(まあ、私も、ですけれど)。


――月なんか無くなったって、あなたは、この地上でいのちがありそうだ。

 愛の告白と分かったので、つい照れる。

えっ!?愛の告白、なのですか?……凄い。私にとって彼女の作品世界はまるで謎々の様。切り取られた情事の一瞬が濃密過ぎて、こんな恋をしていたら早死にしてしまいそうだと思いました。きっと心中する様な覚悟が必要。
嗚呼、羨ましい。こんな風に愛し合ってみとう御座います。

くにん氏
「 アルミの懐中電灯 」

くにん氏の描く世界には、例えそれが地獄であろうと優しさに満ちています。
繊細且つ丁寧な描写力、心の機微を瑞々しい言葉で伝える力に憧れておりますの。
それは彼の天性の才能と慈愛から生まれるのでしょうね。
(きっと、くにん氏ならば阿部定、又は、貞子の物語でさえリライトしたなら、きっと感動する物語に昇華してくれることでしょう)。
物語は清の成長ともに進んでいきます。そこにはいつでも懐中電灯があって、清と一家を見守っていて、その灯りは希望の光でもあるのですね。
「清二等兵でありますっ!」
なんと可愛らしい。お父上の為に先読みしてヨモギをさっと渡す。可愛い過ぎて私、泣いてしまう所でしたわ。
台風の夜は、緊張感と共に臨場感があって手に汗握るドラマティックな場面でした。鬼滅の刃の炭治郎の「俺は長男だから我慢出来るけど」と云う台詞を思い出しました。清だって本当はまだ子供で、もっと甘えたかったでしょう。その健気さにまたうるうるしてしまいます。
お父さんとの再会。うわぁぁぁーん😭どうしたらこんなにも読者を感情移入させられるのでしょう。……くにんさん、恐ろしい子!

NEMURENUバーB



竿長猛

 コメント師プロフィール
CG制作作業の余韻で脳が覚醒して寝付きが悪く睡眠不足になり、そのせいで大きな口内炎ができた。
CG制作を出かける寸前までやっていて、出かけるのイヤイヤ期になっている。

 選んだ作品
04 あかりうるひと齋未
14【禍話FA】アイスの森 大家
18 田舎はこんなもん 民話ブログ

 コメント
僕はイメージ的思考と言語的思考の切り替えの関係で、文字を読むのが難しくなる事があります。
3DCG制作に言語的思考は無用で、まさに今その傾向にあって今回長文作品のほとんどを途中で挫折してしまいました。
挑みはしたんですが···

ひかりうるひと
イメージ的思考に傾いている今感想をコメントにするのも難儀で拙くて申し訳ないのですが、綺麗です。
聖剣伝説レジェンドオブマナというゲームの月夜の町ロアというマップを思い出しました。
今はどうしてもイメージで繋がってしまうので、お許しください。

アイスの森
何とも言えない怖さでした。
アイスの棒に書かれてる内容によって怖さをコントロールするって発想が凄いです。

田舎はこんなもの
何故か読めました。
するすると読めました。
こんなに変な話をこんなに読み安く書けるなんてなんなんでしょうか。
何故こんなに読みやすいのか誰か小説とか文章詳しい人に解説してもらいたいです。
面白かったです。

NEMURENUバーR



おにいさまへ・・・

コメント師プロフィール
今月は落とすかと思った千本松です。

選んだ作品
17 Ephemera / 星涙月花 りりかる
18 田舎はこんなもん 民話ブログ
19 沼津干物のアジーB

コメント
総評的に言えば「懐中電灯」というテーマが「ひかりもの」だった割には、大人しかったかな、という印象です。そつなくまとまってる、という印象です。

ムラサキさん
一番面白かったです。それで、昔、私がゲイの男と付き合ってて、その人のゲイの親友という人がKFCの店長をやっていて、妻子もいないしお金の使い道もなくて、300万するステレオを買ったというので、一体それでなにを聴いているのか、と尋ねてみたら、それはチェッカーズだと言っていた。
チェッカーズに恨みはないけれども。
ムラサキさんの作品を読むとそれを思い出します。その圧倒的な力量でもってあれでもって。
アジの干物に恨みはないけれども。

民話ブログさん
「肝試しと懐中電灯」という王道ですね。意外とそれをやってる人が他にいなかったですね。作品は非常に個性的だと思いました。

りりかるさん
いつになく大作で、りりかるさんの全く新しい面を見たような気がしました。

NEMURENUバーマゼンタ



明日の天気

コメント師プロフィール
明日は晴れるんでしょうか。洗濯物は外干しが好きなので、いつも天気が気になります。

選んだ作品
04 あかりうるひと齋未
07 紅い蝶は闇に舞う 闇夜のカラス
18 田舎はこんなもん 民話ブログ 

コメント
今回のアンソロジーのテーマは「懐中電灯」なんですね。「懐中電灯」そのものをテーマとした作品もあれば「光」と捉えた作品もあって、とても幅が広かったと思いました。集められている作品がどれも素晴らしくて選ぶのに苦労しちゃったんですけど、全部を読み終わった後で、特にあたしの中に強く残っていた作品を3点挙げさせてただきます。順番は掲載順です!

あかりうるひと(齋末さん)
 穏やかな空気感で描かれる漫画。独特の絵柄がとっても雰囲気があって好き。始めからずっと白黒で漫画が進むんだけど、「天然の電気」をとる場面で彩色がされるんですよね。その鮮やかなこと! 「光」の表現がすごく素敵でした。

紅い蝶は闇に舞う【短編小説】(闇夜のカラスさん)
 始めは普通の(っていうのもなんか変ですけど)話かと思っていたら、急展開して怖い話になる。でも、話自体が凄く上手く構成されているので違和感はないし、気持ちが引き込まれたまま離れることは無かったです。あたしは単純に人を怖がらせるだけのホラーは苦手なんですけど、この作品は読んだ後にジーンと心に残るものがあってとても好きです。

短編小説 『田舎はこんなもん』(民話ブログさん)
 話自体、最高に面白いですし、これだけ行ったり来たりする話を読者に最後まで読ませる民話ブログさんってすごいって思いました。話の筋に一貫性があると、「このあとどう展開するんだろう」っていう想像とその想像に対する答え合わせへの期待で読者を引き付けられるんですけど、カオスチックな(すみません、語彙が無くて)話だと、読者が「想像しても意味ないわ」って途中で飽きがちだと思うんです。でも、あたしは全然飽きなかった。だから、すごいって思いました!

NEMURENUバーG



亡骸三太夫

コメント師プロフィール
漢中天坑群に月兎と一緒に暮らしている。主食は煎餅。好きな芸能人は羅生門綱五郎。
関節が弱い。最近血液が緑色になる。
好きな言葉は「鯨骨生物群集」

選んだ作品
00 A-KANJI-UN y.
05 複眼 朝見水葉
18 田舎はこんなもん 民話ブログ

コメント
文机の手元灯りの白熱が円く象られた照射の中に又一庵の菓子箱があって蓋には空気孔が幾つか並んで黒点の集合円になっている。
陰翳の濃くなった机の縁には僕の手があって、手が暇を持て余して万年筆をクルクル回している、のだが。やおら矢庭に思い立ち、勢い付けて「夏」と一字を書いて再た止まり、遊んだペン先が「夏」の周りに十重二十重描き始めるのは謎の黒円。連ねて描いて、描き飽きて白紙を丸めて背中に放る。そんな白球が部屋の隅の暗陰に蟠る。

カサカサと菓子箱から音がする。
昨日、未だ夜露の乾かぬ生垣の椿の葉に蝉の抜け殻がいくつもいて、活きの良さそうなのを四つ摘んで獲ってきて桑の葉と一緒に菓子箱にて飼う。
空蝉の割れた背中に蝉声の反響されて、仏具のおりんの残響のような音がする。
そうしたものが四重奏。透けるような音のなき音の共振。

昨晩は夜通し這い回る闊達の音が聞こえていたが、今日は些か元気がない。摘んだ時に肢が幾つか取れてしまったのが不味かったのか。まだ捥げた肢が椿の葉に残っているだろうから、接着すれば良いだろうか。僕の指で斯様に細かい細工が出来るだろうか。
野生に於いて人間の常識を当て嵌める事は宜しく無い。もしかしたら消沈しているように見えて、静養に努めているだけやもしれぬ。またそぞろ元気になって、脱皮などして僕を驚かすやもしれぬ。
日に透かせば透過する生体鉱物。幻想第四次元の生。およその成分は蟹殻と同じで、ちうごく人はコレを煎じて茶にして飲み干す。食物繊維が豊富で脂肪の吸収を抑えるらしい。
いわゆるトクホだ。
キチンキトサン、北海道の毛ガニの殻を砕いて作った丸粒が小瓶に詰まってにじうまんえんだよ。健康になるよ、だってほっかいどうだもの。けがに、だもの。それなら我が家の蝉退殿はいくらかね。にじうまんえんかね。にじうまんえんなんだろう。だって成分は同じだし。
どうしよう、砕こうか。肢毟ろうか。飲もうか。にじうまんえんだもの。
でも静謐の蝉退殿は静養に努めているだけやもしれぬ。目の前で脱皮して僕を驚かす事もあるやもしれぬ。空蝉の割れた背中に蝉声の反響されて幻想第四次死者の夢跡。

見えること、見えぬこと。その二極化のコントラストが鮮やかな作品を三題選びたいのだけれど、僕自身が光輪の縁の滲みの中に生きている優柔不断の性格なので、三題などはとても選べない。此処に選ぶ三題は昼間みた雲形によって決めた。本日は、午前中の豪雨が一転して午後は好天、蒸発した湿度があおぞらに白牛のような雲をいくつも作る。その周りを積乱雲や層状の雲が囲うので、天上は山麓のふもとの牧場のようであった。

yさん「a-kanji-un」
暗闇に浮かぶ巨大な莞爾。霊異か、怪奇現象か。いやアイドルだ。阿吽のマッスルだ。風がはためいている。マッスルたちが雄々しくポーズを決める。こうした作品を作る過程の陰翳に、廃案となった作品がいくつもあって、決してこれは一枚の繪ではない。それら連なりに一票を投じる。

朝見さん。「複眼」
本小説に登場した事物を一枚絵に配置して、横尾忠則のようなコラージュにしてみるとこの物語の壮大さが分かる。
背後に巨大なマッコウクジラの死体があって、此処は断崖の下の浜辺で遠景に自殺者が投身している。投身のベクトル下には万国旗と紙テープの中、連絡船が出帆した。
中央に男と牧師と子供がいて、牧師の手にはビニール袋とその中にマグロ眼球。子どもは煮干しの解剖の中途にある。
海中にはメバルが泳いで、特攻機の残骸が沈んでいる。
それらを懐中電灯の複眼が照らしている。
世界観が美術的だ。大小の舞台美術が現れては消えて、暗転して緞帳が降りる。観客席に暗闇が落ちる。誰も喋らない。暗闇の中で余韻に浸っている。
美しい世界だった。

民話ブログさん。「田舎はこんなもん」
かつて遊んだ山村の廃墟には、置いてきぼりにされた幼児がいまも彷徨っているという。…懐中電灯人間として。

懐中電灯人間として??

B級だ。
B級を彩るオブジェクトのパレードだ。
姑獲鳥、鬼マグマ人間、懐中電灯人間。白光は赤、青、緑の3色から作ることが出来る。
だから怪人が三人いる。三人の怪人が揃う所に光が見える。まるで廃墟の核家族のようだ。静謐の山村、クリスタルレイクに来る無法の若者たちは惨殺の憂き目に遭う如く、彼らの平和な住居を乱す者は呪いを受けるのだ。
三人の怪人。そしてまた、主人公も都会人間という名前の怪人である。怪人対怪人の熾烈な戦いがここにある。B級だ。B級の厚塗りだ。素晴らしい。

NEMURENUバー紫



痴女じゃないもん

コメント師プロフィール
プロフィールはネームの通りです。

選んだ作品
13 Watcher #21 磯貝剛
17 Ephemera / 星涙月花 りりかる
18 田舎はこんなもん 民話ブログ 


コメント
Watcher #21  磯貝剛さん

語り手、いい人ですね。
あれこれ細かく勘定していますが、情に流されて行動し痛い目にあってきた人に違いない。尺に合わない行動は、大げさにいうなら災厄を招く、そして災厄を被るのは決して自分一人ではないと、知り、反省し、繰り返さないよう気をつけている。なのに、つい、やっぱり、やさしいせいで巻き込まれてるw
巻き込まれてはいるものの酷い目には合っていないので安心してwつけました。きっとこれからも、この程度には物の怪とお付き合いしていくのでしょうw
と、思ったら、Watcher主人公の「おれ」ではなくて、萩野くんだったんかーい!萩野くん、元(メンヘラ)彼女から痛い目にあってたものね。
でも、「おれ」と萩野くんは似ていますよね??だから気も合い、仲良しなのだと思うことにしました。萩野くんの方がよりいい人で、「おれ」の方がややすれている感じかと。
私はいい人=善人とは思っておらず、善人というと頭の悪い人かなと。すみません。いえ、なんというか、周りが困っているイメージでとらえております。悪人も困りますが。
「おれ」は善人でも悪人でもない、あるいは善人にも悪人にもなりきれない、いい人と思われますが、「悲しい話」や「やりきれない話」の語り手とは、そういう人であるように思います。
作者の磯貝さんはそういう話を創作されたかったとお見受けしましたし、よろしかったのではないかと思いました。
と、なんとなく他人事のように言ってしまう私は、「悲しい話」「やりきれない話」を味わう人情に欠けるのか、「悲しい話」「やりきれない話」と向き合うとなんだか照れるのか、どちらかのように思います。


Ephemera / 星涙月花 りりかるさん

小説世界へと読者を連れ去るパワーが凄い。
と、帰ってきて(読み終わって)そう思います。
文章が読みやすく分かりやすく、ストーリーが面白いせいでするすると引き込まれるのだと思いますが、結果、あら、いつの間にこんなに遠くにと。
現実がしんどすぎて、別世界への一時避難必須、ほんと、マジで、今日、生きるために!という人々はいますし、たいへんな美点と思います。
途中、ハードなバイオレンスをはしょっていらっしゃると思いますが、フルで書かれてみてはと思いました。
配慮によってはしょったのだろうと推測しています。
が、書けるようなら、書いてしまえとけしかけたい。
note内においてだけでも、実話として非道な暴力を見聞きします。普通とされる日常のあちこちにも、暴力はぬるりと横たわっています。それなのに、フィクション中でも暴力を描く意味ってあるんだろうか、もう、なくてよいではないかとも思います。生きる意味など求めるものではない、というのは正論ですが、意味のない暴力を描くことは許されないのではないか、あるいは、意味をこしらえれば描いていいってのもどうなの?と、ごちゃごちゃ考えてしまいます。
それでも、書けるようならと、言いたい私は人でなしかもですが。

海外のキリスト像はびっくりするくらい血まみれですが、あれで癒される人々がいるからあんななのだと、私は思っております。


田舎はこんなもん 民話ブログさん

けらけら笑いながら読み終え、一日くらい経ってから、ふと、笑ってよかったのだろうか、なんて。
パロディーだから、あれは笑ってもいいやつ、タイトルもあれだしと、ごちゃごちゃ考えましたが。
でもやっぱり、だって、不快感とかないだもん。
仮に、おマメっていじめよ!と騒ぎ立てる女教師が村の外からやってきたとしたら、そいつは災厄かもですね。結果、キヨシがいじめの被害者と見立てられ、そして無事大人になれなかったとしたら、その女教師のせいでしょう。余計なことをしなければ、たぶん別になんでもなかったのに。
キヨシは懐中電灯役を押し付けられているようでもありますが、サッチンを姫役にするために、懐中電灯役を引き受けているともいえるかも。
そうしてやっぱり、けらけら笑っておくことにしました。
きっと、パロディーって上手くなければ成立しないと思われましたが、上手い!あちこちで上手〜く乗せられるのは、気分がよいことでございました。

NEMURENUバー茶色



地下鉄通勤 過負荷

コメント師プロフィール
47歳の男性。呪われた地下鉄通勤を長年続ける。ふはっ。もう息が詰まりそう。車両はいつも満員ですが、私の周りには何となく人がすくない? ……ふはっ。

選んだ作品
06 ミッション 海亀湾館長
19 沼津干物のアジーB
04 あかりうるひと 齋未

コメント
魅力的な絵柄にセンス・オブ・ワンダー。養殖物ではなく天然の電気を釣りに行く、少女と青年の話。全体的にノスタルジックな雰囲気。床につく少女の枕元で、天然の電気が少しづつ輝きを失っていく……そんなラストには美しい物悲しさが漂います。こうやって色んなものがひっそりと終わっていくのだなあと、しんみりと読後の余韻に浸っていたら乗り換え駅のベンチで居眠りしてしまい、終電も終わってしまいました。ふはっ。……なんて、別にそんな私の小話は不要でしたね。失礼しました。他の作品も随時チェックしていきたいと思います。


06 ミッション 海亀湾館長
いまの姿からは想像もできませんでしょうが、子供時代の私は大変活発で利発でもあり、クラスでも人気者でありました。女子の友達も沢山おりました。なんと、バレンタインのチョコを貰ったことだってあるのです! ……ふはっ。
(どうも本当に、自分でもその頃の自分が本当に自分だったのか自信がありませんな)
そんな事はさておき、作中に出てくる幼馴染の凛ちゃん、こんな幼馴染は流石に自分の周りにはおりませんでした。スラリとしたモデルのような女子との、ちょっとした秘密。むふふ、どこかフランス映画のような味わいを、拙者は勝手に感じましたよ。いいですなあ……じんわりため息が漏れます。すると隣の席におられる妙齢の女子が衝立の向こうから私の方を見やり、心底嫌そうな顔をいたします。実際にその女子(バブル世代)の方を見返したわけではないのですが、気配でそうと知れます。ああ、つらい。ふと現実に立ち戻れば、そこはオフィス。福利厚生も行き届かない中小企業でございます。つまり、お昼休みに会社のパソコンから当作を拝読していた次第ですな。
……とまあ、こんなふうに作品世界に没頭できましたのも、的確で丁寧な描写のなせる技かと思います。なめらかで読みやすい文章が、お昼休みの私(現実が困難)をスムーズに作品世界にいざなってくれました。ふはっ! その日は少年時代の思い出に浸りながら、ぐっすり(グッドスリープ)眠れました。ありがとうございます。


19 沼津干物のアジーB ムラサキ
映画ですねえ。タイトルやスタッフロールの出し方、それからテーマソング、なんと劇中歌までありました(どれも良い歌でした)。
しかしながらそのストーリーの方は「アジー」という相棒のアジの干物のニックネームから『寄生獣』のパロディでアクションシーンなんかもふんだんに出てくる展開だろうなと思いましたら、じつはこれは自主映画を撮影する小林B青年の物語で、アジーの戦いは、いわば映画内映画? さらには干物やその流通状況や映画撮影用の照明に地元スーパーマーケットに関する蘊蓄などが随所に挟み込まれ、いや挟み込まれるというよりは本流となるかの勢いで延々と展開しそうな……はて、これはなんだろう? とは思うのですが、目で追う文字列がぐいぐいと目から頭に入りこみリフレインまでするもので、ついまたぐいぐい読み進めてしまいます。
さて、そのうちに物語は哀切を帯び始め、アジーは干物として焼かれて食べられ、またちょっとホラーな様相も垣間見せる、浜辺での焚き火。何故か流木が男友達の素足に重なるというラストシーンです。青春(モラトリアム)の終わりの寂しさを滲ませながら、エンディングテーマが流れ出す。
……ふはっ。何なんのでしょうか、この物語は。思わず「ふはっ」と息を吐くのも忘れてしまいました。そういうキャラ設定なのに。ふはっ。とにかく私が映画や漫画、文章に求めるもの、それは「ある世界に自分を連れて行ってくれる」という事なんだなと、その認識をまた改めた次第です。暗黒の地下鉄通勤、さらに暗黒且つ邪悪なる弊社での日々、そこからの束の間のエスケイプ、そしてあわよくば、そのエスケイプが私の困難な現実になにがしかの影響を与える変革の可能性……求めているのは、ふはっ、そこなんではないかと私は熱く語りたくなりましたが、語る相手が見渡しても誰もおりませんので、こちらで語らせていただいた次第であります。とても良い地下鉄タイムを過ごせました。ふはっ。ありがとうございました。謹んでお礼申し上げます。

NEMURENUバー青



ゴテンマリシティ

コメント師プロフィール
八月中に投稿しようと思っていた小説がまだ完成していなくて焦っている。
アン・タイラー『アクシデンタル・ツーリスト』をまだ読んでいる。
好きなクックドゥは「四川式麻婆豆腐」。

選んだ作品
05 複眼 朝見水葉
07 紅い蝶は闇に舞う 闇夜のカラス
17 Ephemera / 星涙月花 りりかる

毎回優れた作品が多く集まるので、苦しみながら三作を独断で選出しています。
今回はこんな風に偏ったか……と思ってもらえると私の方も気持ちが軽くなります。
例外はありますが、だいたいは小説作品にコメントを寄せることが多いです。これも「偏り」ですね。


 最初にあげたい作品は、

17 Ephemera / 星涙月花 りりかるさん

 りりかるさんの作品の中でも、これまでにないシリアスな読み味を持つ文章に、一行目で引き込まれました。一行目を読んだときの私の感想は「書き出しがすごくいい」です。四行目まで読んだ私の感想は「文体がめちゃくちゃ好みだ」です。さらに読み進んで最初の段落を読み終えた私の感想は「一行一行、全部いい」という驚きの混じったものでした。

(誰かに右手首を掴まれ引き止められた。「誰?」)

 自分の本物の記憶が夢の中で再生されているとき、突如、ルーティンにはなかった“誰かに手首をつかまれる”というイレギュラーが発生するシーンです。読んでいた私自身も何かにつかまれた気がしたほど、目の前の文章にのめり込んでいました。主人公には滾るような復讐心があり、その暗黒の精神状態へと彼女を追い込んだものが何なのか気になり、先へ先へと読むことを駆り立てられます。同時に、このソリッドな文体に私はすっかり気持ちを持っていかれてしまったのです。

 このあと、もの言わぬ謎の美青年が現れ、主人公観月真琴の二面性が明らかになっていく展開ですが、薬局での仕事ぶりから職場の人間関係までを簡潔な会話と地の文でそつなく伝え、そのうえ、薬剤師橋口の卑劣な行為が、のちの伏線になるように用意されていて周到です。次のカジノのシーンで真琴の心にしまい込まれている過去へと淀みなく繋がり、その計算された筆運びに驚嘆しました。

 幻想的な展開を持つ特異な後半は、この世ならざる美青年黒須星亮という存在を導入することで、夢というコードを現実に接続させて、浮遊感のある世界を構築しています。文学をこのようなシュールなスタイルに落とし込み、独自の幻想味を仕立てる手腕は素晴らしいと思いました。

 主人公が夢の中で演じる残酷な復讐行為。なんて悲しいセルフヒーリングでしょうか。彼女が心に負った傷の深さに胸が抉られるようでした。

05 複眼 朝見水葉さん

 小説を読むことに長けている人ならば、一読して、朝見さんの作品に秘められた普通の小説にはない特徴のようなものをうまく説明できると思うのですが、私などは、何度も読んで、あっ、と気付いたり、おっ、と声をあげたりして、しばし感動に浸ることはできても、その理由をうまく説明することができません。でも、間違いなくそれは朝見作品の魅力なのです。

 私の下手なたとえで申し上げるなら、普通の小説が、一つ事柄を説明するのに十の言葉を費やさなければならないとしたら、朝見さんの場合は二か三くらい。それだけ削ぎ落としても、ばしっと決めてしまえる言葉選びのセンスと文脈づくりの巧さがあるように思います。

 今回の『複眼』の冒頭部分に、(久我は、日曜のミサを終えると司に手を引かれて僕の家へとやって来る。)とあります。私はこの箇所を読み、そのあと、久我が神父で、司が小学一年生とわかってからしばらく混乱しました。〈神父が子供に手を引かれる……とは?〉。けれども、再読しているうちに、司が久我に懐いていて、自分の家に久我を連れて行こうとしているからではないかと気が付きました。大人の手を子供が楽しそうに引っ張って歩いている、そんな微笑ましい様子が頭に浮かんだのです。あっ、となりました。元はと言えば私の読解不足による勘違いが引き起こしたことですが、このとき初めて先の一文に込められていた意味が鮮やかに理解できたのです。

 司が久我に懐いている、と私が思ったのは、あとの方で出てきますが、司たちの乗る船の到着を、島にいる久我がランドセルを背負って出迎えるシーンを読んだときです。最初の出会いをこのように描くだけで、冒頭のあの一文に繋がり、豊かな時間の経過を想像させることを可能にしています。

 書いてあることと、書かれていないこと。私は朝見作品を読むときに、いつもこのことを意識します。ともすれば、書かれていないことの方に惹かれてしまうこともあります。たとえば「僕」が司を引き取ることになった事情が気になるところですが、テキスト内ではっきりと明かされてはいません。それは「書かれていないこと」の中に含まれています。しかし、書かれていないからといって、書いていないわけではないのです。朝見さんが配置した言葉の端々に、文章のいたるところに、うっかり自分が見落とした文節の狭間に、その気配は漂っているのです。言うなれば、編集された映画の、切り取られたフィルムの、その前後の映像のように。

 思わぬ発見は、朝見作品を読む醍醐味です。まだまだたくさんの謎がこの小説には埋もれているでしょう。楽しくてなりません。また読もうと思います。

07 紅い蝶は闇に舞う 闇夜のカラスさん

 明確なストーリーを持つ娯楽小説ですが、そのレベルは高く、前半部分だけを見ても、のちに伏線となる事柄が抜かりなく提示されていて、かなり緻密に作り込まれているという印象を受けました。ボーイ・ミーツ・ガールものの小説と思って安心して読んでも違和感がないような流れですが、その裏で緊張感を着実に高めています。手練れの筆致です。物語が大きく展開した後半になっても、小説を面白くさせるアイディアが容赦なく投入されています。一月前に殺された紅から翠に届くLINEもそのひとつですが、紅からは毎回一通だけ、と抑制を効かせているのが心憎いです。その後に何通も続く翠の返信を並べるだけで緊張感を演出できます。上手いです。そして、何と言っても懐中電灯の使い方には目を瞠りました。点灯させたまま床の上に置いて、長く引き延ばされた明かり溜まりを舞台に、クライマックスのシーンを描写するところは、非常に映画的だと思いました。暗闇を上手に操ったという言い方もできると思います。

 ホラー初挑戦とのことですが、こんなにも面白い作品をお書きになるなら、また闇夜のカラスさんのホラーを読みたいと思う読者は多いのではないでしょうか。私もそのひとりです。ぜひ!

NEMURENUバーオレンジ

穿った意見が12000文字!
コメント師の皆さま、今月もありがとうございました!

娯楽の殿堂、眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー【懐中電灯】はこちら!


NEMURENU41thテーマの決定!

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー第41集。2021年10月号のテーマが決定致しました!さて、我々の運命を翻弄するキーワードは!?


下へ。


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NEMURENU41th テーマは

41回テーマ

「うどん」

今月は「うどん」です!

うどん的な色々を募集します。

久々の食べ物ネタですね。
うどん小説、うどんイラスト、うどんフォト・・・
ジャンルはなんでもOKです!
締切は9月30日頃!

当月もはじまりますよ!
よろしくお願い致します!


眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーまとめ

今までのアンソロジーまとまっています!

#NEMURENU #小説 #懐中電灯 #うどん