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「自動的に消滅する」NEMURENU55th

はじめに


你好!
ムラサキです。日本の皆さんはお元気ですか?note記事を集めるアンソロジー企画、NEMURENUの第55回テーマは「自動的に消滅する」でした。
自動的に消滅すると言えば、まあ所謂、某国TVドラマのスパイ大作戦。「おはようフェルプス君」から始まるドラマ冒頭の決めゼリフです。そのようなテーマではありますので、今回はミステリータッチの作品が多く寄せられたように思います。それ以外にも「消滅」関連をモチーフにした作品なども多かったですね。
自主参加の作品が多く集まりました。それにムラサキ厳選「自動的に消滅する」記事数点を加えて全15作品が集まりました。
消える、消える、消えていく。諸行無常のアンソロジーをお楽しみください!

目次


01 小説「グッモーニン、ミスター・フェルプス!」ムラサキ
02 戯曲「電気蜘蛛はモノクロームの虹の夢をみる」アイウカオ
03 小説「自動的に消滅する、を飲むと」葵
04 コラム「パブリックドメインになった世界の名画をダウンロードできる世界各国の美術館や図書館のWEBサイト」デザインch おはよう
05 小説「アリスになって遊ぶ夜」海亀湾館長
06 イラスト「ケープペンギン」キクチミロ
07 小説「ガラスの手〜Z夫人の日記より」武川蔓緒
08 小説「現場からは異常です」武川蔓緒
09 コラム「そろそろ寿司を買わないとセールが終わるぜ!」sae
10 「春の夜の夢(あるいは三兄弟滅尽)」としべえ@ぷち作家
11 小説「最優秀死神の秘密」くにん
12 漫画「怪奇!変な草」怜久井絵夢
13 小説「蜘蛛姉」照田八月
14 小説「アーンギェル Aнгел」千本松 由季
15 音楽「ちょっと消えるブルース」じょん よしぎの

解題

01 小説「グッモーニン、ミスター・フェルプス!」ムラサキ

冒頭からわたし。2万4000文字。



02 戯曲「電気蜘蛛はモノクロームの虹の夢をみる」アイウカオ

アイウカオさんの作品です。アイウカオさんは小劇団で劇作家をしておられたそうで、今回の作品は戯曲形式です。
コクーン(繭)と呼ばれる世界の閉鎖空間「ラボ」で自我に目覚めた主人公、スパイダー青年。彼はドールと呼ばれるアンドロイドを連れ出してラボから逃亡します。ドールをニナと名付けて、二人で甘い生活を送ることを夢みたスパイダーですが、目覚めたドールは人格が破綻しており、スパイダーの元から逃げ出してしまいます。ニナを追おうとするスパイダー。スパイダーを追う管理局。二つの逃亡劇の中でスパイダーとニナの秘密が明らかになっていきます。ミステリアス、そしてスリリング!


戯曲の読み方って人それぞれなんでしょうけれど、戯曲というものは舞台になる事が前提なのでどのような形で舞台化するか想像しながら読むと楽しいですよ。映像化、つまり映画化でも良いですね。
どんな俳優さんがどんな演技をするだろうか?
自分が演じるならどんな演技をしよう?
〇〇さんだったらどんな演技をさせよう?
音楽は?
セット(舞台美術)は?
照明は?
様々な人間の想像力を追加してひとつの作品になるのが戯曲。想像力を遺憾無く発揮して読者諸兄の皆様には脳内上映を御覧有れかし。

https://forms.gle/FBXrh57THwZqMmah9



03 小説「自動的に消滅する、を飲むと」葵

葵さん、当企画への参加も3回目となりました。
少年が迷い込んだ不思議な喫茶店。店主である老紳士がひとつの寓話を語ります。


「僕には双子の弟がいる。弟は今もここにいるが、君には今は僕しか見えないだろう。しかし、君がここから立ち去れば、君はきっと僕のことは忘れて、かわりに弟のことを覚えているのだ。」

刺戟的な寓話です。
人間には消したい過去と、消えて欲しくない過去があり、ともすればそれは紐付いてひとつの記憶に混濁している。ビター、スイートと綺麗な言葉で呼べるのは時間の経過と共に忘却曲線に従って色々忘れてからで、全部覚えているうちは溜まったものではないですね。
年をとると記憶が朧になっていきますが、それは人間がビタースイートな思い出に浸りながら消滅に向かうよう配慮のなされた神様の設計図かもしれません。

人間は若いうちは鋭敏な感覚と記憶によって堆積する黒歴史に悩んで、年老いては衰えゆく機能と近付く除却処分に恐れて悩む。いつまでも地獄ですねえ。ほろ苦い地獄です。




04 コラム「パブリックドメインになった世界の名画をダウンロードできる世界各国の美術館や図書館のWEBサイト」デザインch おはよう

おはよう先生の動画です。
創作物は作者の死後70年で著作権が切れて社会の共有財産になります。これをパブリックドメインと言います。数年前に「星の王子さま」の邦訳が新訳になって各出版社から一斉に販売された事がありますがこれは

日本では岩波書店が独占的な翻訳権を有していたが、原著の日本における著作権の保護期間は、サン=テグジュペリのフランスにおける消息不明期間の満了日である1945年9月20日を起算日として、没後50年による正規の保護期間が1995年12月31日に満了し、さらにサンフランシスコ平和条約に基づく戦時加算分の日数として英語版初版本の発行日である1943年4月7日から平和条約発行日の前日の1952年4月28日までの期間が加算されて、2005年1月22日に満了した。

wikipedia「星の王子さま」より

という事情によるもの。
サン・テグジュペリの母国フランスでは偉人の著作権は100年に定められていて、未だ「星の王子さま」はパブリックドメインになっていない。国によって著作権の保護期間は異なるんですね。当時の日本国内の著作権保護期間は50年でしたが、現在は70年に変わっています。

著作権の取り扱いは文章も、音楽も、映像も絵画も同じ取り扱いで世界には毎年新たなパブリックドメインが第二の生を享受しています。

美術館に所蔵されるパブリックドメインを紹介した本記事はリンクから、各美術館所蔵のパブリックドメインをダウンロードできるという大変重宝な記事です。
あの名画を壁紙に!
使い方は自由自在(一応ルールがあります)!
読者諸兄もパブリックドメインを活用しよう!

ということでこれはシカゴ美術館所蔵のジョルジュ・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」。点描技法が産まれた歴史的作品です。

パブリックドメインなので、画像を貼り付けても怒られない。


拡大しても怒られない。ちょっと解像度が低いですね。もっと点描を精細に見たかったのですが。


国立図書館データベース「相馬の古内裏」歌川国芳

これは国立図書館のパブリックドメイン。
歌川国芳の相馬の古内裏。平将門の遺児、滝夜叉姫が源氏に仇なさんと、死霊を召喚しています。



そのような名作をコラージュしても怒られない。使い方は自由自在。(一応ルールはあります)
パブリックドメイン、面白いですね!



05 小説「アリスになって遊ぶ夜」海亀湾館長

海亀湾館長さんの作品。
以前に書いた詩を小説に起こしたもの。

村上春樹のノルウェイの森って「蛍」という短編小説を長編に改めたもので、登場人物や世界観は蛍から踏襲されている。面白い短編は面白い長編になる。つまらない短編はどれだけ書いても面白い長編にはならない。

もっと言えば極短詩である俳句や川柳も、良い作品だったら面白い詩になって、それが面白い短編になって、更には面白い長編になる。「面白さ」というのは原石の状態から既に光っているものです。
本短編の原型となった詩も、公園で男女が童心に帰って遊ぶことをストーリーにしています。女が急に幼女になって、大人の女に戻る。その変わり身の早さに男はついていけない。そうした男女の違いがテーマになっており、女の変身に翻弄される男の姿が面白いですね。男と女は交わりながら常に対比の構造にあるものです。
その変身が改稿されて短編になっても面白いし、女のあらゆる側面を描いて長編になってもきっと面白い。

原型と本作のふたつを読み比べしながら楽しめます。


https://forms.gle/Ky1WiHcUe2STxYVj9





06 イラスト「ケープペンギン」キクチミロ


自動的に消滅するラインに乗った生物たちを絶滅危惧種と呼びますが、キクチミロさんは絶滅危惧種たちのイラストに解説を付けて作品に仕上げています。珍しい話も掲載されており読み応えも十分。勉強になるこお間違いなし、是非ペンギン以外の作品もご覧ください。

昔にペンギンが乱獲されて、蒸されて絞られて油にされるという話が衝撃的でした。ペンギンを圧搾して抽出した油は灯油や石鹸になったようです。ペンギンオイルが西洋文明に利用されたのは16年間。その間に500万羽のペンギンが圧搾され、ペンギンは絶滅危惧種になったのだとか。
女殺油地獄ならぬ人鳥殺油地獄ですね。



07 小説「ガラスの手〜Z夫人の日記より」武川蔓緒


https://note.com/mukawatsuruo/n/ne6492005fa66?magazine_key=me41c28afacdb

武川さんの作品です。
慣れないと少し難解に感じるかもしれないですね。

小説に使われる言葉と詩に使われる言葉は少し違います。(個人の感想です。)

小説は暗喩がない。
小説に於いて蜜柑と言ったら、それは蜜柑です。詩の中で蜜柑と言ったら、それはもう何か分からない。太陽かもしれないし、睾丸かもしれないし、初恋であるかもしれない。或いは集合無意識かもしれない。この時、蜜柑は詩の神ミューズが司る詩的言語になっていると言えます。
あくまで個人の感想です。

武川さんの言葉は詩的言語で、武川さんの小説中で「蜜柑を食べる」とあった時には、これは性的な意味かもしれず、或いは神智学かもれず、宇宙の誕生かもしれない。

前述のジョルジュ・スーラの点描が間近で見てもそれは赤青黄の三原色の点でしかないのと同じように、武川さんの作品は言葉では理解できない。感想も言葉に依る事が出来ない。
読後に目をつぶって、瞼の裏に思い浮かぶ心象をサーカスのように楽しむ。そうすると、カセットテープのドミノが、スパゲティの大食らいが、ガラスの手が幻想的に浮かび上がる。

それらの一つを心象から取り出して木箱に仕舞う。そんな読み方が良いのでは無いかと思います。



08 小説「現場からは異常です」武川蔓緒

https://note.com/mukawatsuruo/n/n874435ad55ca?magazine_key=me41c28afacdb

武川さんといえばハッシュタグに昭和の2文字が付く事が多いですね。本作は所々に大昭和的キーワードがちりばめられて、ニューウェーブなアンニュイさが漂っております。
コメント欄にも書きましたが私のおすすめは電電公社。いまの若い方は聞き覚えのない名前かと思います。電電公社がNTTに名前を変えたのは時代で言えばつくば万博の頃だったかと思います。国鉄がJRになったり、日本たばこがJTになったりと国営会社がアルファベットの略称に変わりながら民営化していきました。(うろ覚えです)社会保障が手厚くなっていくと共に政府予算が膨大化して、国営企業を民間に切り離していった、という流れだったんでしょうか?
昭和という時代は戦前の狂気の時代から戦後の荒廃期、高度経済成長期、バブル経済まで含む。形は違えど常に神話の中にいたような時代に思います。当時はアイドルはトイレに行かない神話があって、アイドル達は人間を捨て去る修行を強いられていました。(個人の感想です)
ファシズムが根強く残っているというのか、人間性を認めないあたりが某国のようです。
そうした権力構造が、最近話題になった某アイドル事務所の糜爛の背景になっているのでしょう。
暗い側面もありましたが、あれはあれで良い時代でした。
懐かしいですねえ。
時代、もまた自動的に消滅するものの一つです。




09 コラム「そろそろ寿司を買わないとセールが終わるぜ!」sae


Saeさんのゲーム紹介記事。最近のゲーム事情を知らないので、新しいゲーム事情なのか古いゲームなのか分かりませんが、ゲームがsnesやgbaで止まっている私には最先端のハイテクゲームに見えます。
シュールで面白いですねえ。
世界から消滅しようとする寿司を救うため、道端に落ちている巨大寿司を食べまくる。
とにかく喋りまくるゲームキャラに愉悦を感じます。このスピード感、癖になりますね。
Saeさんは他にもカルトなゲーム紹介記事を沢山書かれております。ホラーゲームなんだけど、主人公がアイテムを揃えると、立場が逆転してモンスターハントゲームに変わる。というゲーム紹介記事も面白かったです。
この原型は昭和を代表する名作ゲーム、パックマンですね。敵(おばけ)から逃げるしかないパックマンが、さくらんぼを食べると?オバケを食べる大怪物に変身します。攻守交替、逃げる、追うの関係が時間制限付きで完全に入れ替わる。鬼ごっことか、ケイドロとか、遊びの原型なのかもしれません。
これら変なゲームがもたらすインパクトって創作物にはとても大切な要素です。斬新なシステム、斬新な世界観が表出出来なければ、新たに創る意味が無い。私も新奇なものを生み出せる人間になりたいものです。




10 「春の夜の夢(あるいは三兄弟滅尽)」としべえ@ぷち作家

前前前回から続くとしべえさんの山猫三兄弟物語。前回は迷妄の夢世界にいた猫たちがメタフィクションの世界で猫の仮面を脱ぎ、現実に近似した姿で生活をし始め、しっかり者の長兄は南米のホテルを譲り受け、乾燥した風を感じながら自由の人生を謳歌する。
そのようなエンディングを迎えました。
本作では三兄弟のメタフィクションを追補して、中心人物である次兄のメタフィクションを描いています。当初幻想譚であった物語は、物語の主体たるジロウを現実が侵食して、メタ化します。現実世界が幻想化する物語は多くありますが、幻想小説が現実化するという物語は珍しいですね。




11 小説「最優秀死神の秘密」くにん


https://note.com/bochibochinote/n/n3b9f8fe7730a?magazine_key=me41c28afacdb

くにんさんのお話。
ショートショートなので、詳しくは本文を御覧頂くとして、本作には死神が出てきます。
死神と言えば骸骨顔と相場が決まっておりまして。
されこうべ、と言えば上述に歌川国芳の滝夜叉姫の喚んだがしゃ髑髏を紹介致しました。
西洋画にも髑髏がいっぱい出てきます。


ドクロ
ドクロ
ドクロ

これら一連の絵はヴァニタス静物画と呼ばれるモチーフ。16、17世紀のオランダで盛んに描かれたモチーフです。ヴァニタスは儚い、という意味のラテン語。死して屍拾うものなし。人生の儚さ、虚しさが静物画に込められています。

ヴァニタスを語る際、旧約聖書の『コヘレトの言葉』(『伝道の書』)1章2節の有名な言葉「ヴァニタス・ヴァニタートゥム」(「空の空」、「虚無の虚無」)がよく引用される[1]。ヴルガータ(標準ラテン語訳聖書)では該当部分は次のようになっている。
Vanitas vanitatum omnia vanitas.
コヘレトは言う。なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい。

wikipedia「ヴァニタス」より

英語にはMORTALという言葉があります。
「死を免れない、死すべき、死ぬ運命にある、死を免れぬ運命の」という意味。
それが転じて「人間」という意味にもなっています。幅の広い言葉です。

その語源がラテン語のmori。メメント・モリのmoriです。

人生を謳歌するために、人間が死にゆく存在するである事を知らねばならない。覚えておかなければならない。
読者諸兄も食卓には爛熟の果実を、書斎には髑髏を。

オマケ。
砂漠の髑髏。ナスカのチョウチラ墓地に散乱するミイラたち。

オマケ2
パリ地下のアンダーグラウンド。
パリ地下の納骨堂(骸骨保管所)として有名なカタフコンブ・ド・パリの立ち入り禁止区域にアングラ住人による地下街が出来上がっている。

立ち入り禁止区域なのでカタフコップ(カタフコンブ警察)二見つかると罰金になるとか。罰金額は約8000円。





12 漫画「怪奇!変な草」怜久井絵夢


怜久井絵夢さんの漫画。
草の世界は不思議で、我が家の庭も毎年、初めて見る草が雑草で生える。
知ってる草も育つうちに知らない草になる。
自然は神秘と怪奇でいっぱいです。
我が家の庭は紫蘇の葉が自生しており、庭が紫蘇だらけになるのですが、紫蘇もどのような原因か、葉がドーム状に丸くなる株があって、大葉に育たない。今年の紫蘇はそのような奇形腫が多く見られる。
怜久井絵夢さんの漫画では魔界的な巨大謎草が生えていて、それが忽然と消えた体験が描かれている。
世界の至る所に地獄の入口があるとか、霊道があるとか言われているので、魔素が一般の植物を変容させたのかもしれない。
我が家の悪魔紫蘇も魔素の営業かもしれない。
食べると体内に魔素が蓄積されて、そのうち魔法体質になるのではないかと思われるが、植物のアルカロイドにはソラニンのように熱耐性のある毒もあるので、霊道付近で魔界植物を見つけても食べることはオススメしない。その筋の専門家に意見を仰いで欲しいと思います。

https://forms.gle/LBWf1hwrK2W6YNeC7




13 小説「蜘蛛姉」照田八月


https://note.com/gifted_clover95/n/nb4654635cfbd?magazine_key=me41c28afacdb

照田八月さんの作品。 初参加ですね。ありがとうございます。
この時点でこの作品は未完で、まだまだ続くものに思われます。謎の多い作品で続きが気になります。
冒頭から少しずつ感じていた違和感が、広がって露見して、気が付くと読者は暗中模索、五里霧中、今まで信じていた筈の物語を失って自らがミステリーの渦中にいる事を知ります。
最初はブラコン姉さんと弟の、家族愛物語かと思っていましたが、そんな単純な図式ではないかった。面白いお話です。
タイトルが蜘蛛姉ですが、現時点では物語のイニシアチブは弟くんが握っておりタイトルと状況が噛み合っていない。という事は本作品はもう一度或いは何度も、大きな転換をする事が期待されます。
ところで昔の分類では蜘蛛には二種類おりまして。巣を作らず歩き回るタイプと、巣を作ってじっとするタイプ。歩き回るタイプの方が原始的な蜘蛛です。体力を使うので筋肉質で肉厚になります。日本のアシダカクモやタランチュラがこのタイプです。
一方、新世代の蜘蛛は巣に獲物が来るのを待つタイプなので体力温存型で、肉質は殆どありません。基本的に動きません。女郎蜘蛛、鬼蜘蛛がこちらですね。消極的な性格なので、男子人格分類学上は草食系です。肉食ですけれど。
果たして、照田さんの本作品「蜘蛛姉」の蜘蛛がどのような蜘蛛なのか楽しみな所です。




14 小説「アーンギェル Aнгел」千本松 由季


千本松さんの作品。
6万文字くらいあるのでは無いでしょうか?最近の千本松さんはロシアを舞台にしたものが多いですね。
社会主義革命前後の東欧、ソ連の勃興って陰翳が濃くて面白いですよね。
タチアナと名付けられた人工知能が、ウェブ上で暴走を始めて、帝政ロシアの皇女タチアナの人格をなぞり出す、つまりプリンセス化しながら各国のシステムに無邪気な攻撃を加えます。
彼女に対抗するためには、Web上に色男を作って彼女にあてがうしかない。
中々、アグレッシブな物語です。

最近、「アンダーグラウンド」という映画を観たんですよ。

https://filmarks.com/movies/20439

1995年のカンヌ映画祭パルム・ドール受賞作品だそうです。第一次世界大戦で戦火の中心になったセルビアは戦後、周辺のスラブ民族やクロアチア民族と協力しユーゴスラビア王国という国を建国しました。が、第二次大戦中1941年にはナチス・ドイツ、連合国の双方から攻撃され、更にドイツに再侵攻されて全面降伏。ドイツの統治下に入ります。その二年後、革命家チトーが率いる地下組織パルチザンの抵抗によってナチス・ドイツからの解放に成功。社会主義を標榜しユーゴスラビア人民連邦共和国として独立します。
しかし、内含していた民族問題はその後も燻り続け、チトー死後の1990年代には各民族の自治州がユーゴ母国に対して独立紛争を蜂起。虐殺の報復合戦が繰り返されながら、ユーゴスラビアは分解。消滅。
映画「アンダーグラウンド」は消滅する国家の複雑な歴史を背景に製作されたシニカルコメディで、ナチス・ドイツに抵抗するため、反社会勢力の一味が地下に潜伏し、戦争が終わったことも知らないまま、50年の時が経過し、ユーゴスラビア消滅に立ち会うという半世紀の物語を描いたもの。半世紀の間に各国の地下組織により、或いは軍部によって地下世界は開拓され、欧州全体を網羅する広域地下通路網と、各所に点在する巨大地下空間が生まれています。

帝政ロシア終焉と消えた皇女アナスタシアの歴史ミステリーのように、東欧、ソ連の盛衰にはロマンを感じます。

https://forms.gle/NUBdiT4HttDhpYXV6




15 音楽「ちょっと消えるブルース」じょん よしぎの


じょんよしぎのさんのブルース。
神出鬼没にちょっとそこまで、とふらりと消える。そういう浮浪雲のような生き方って憧れますねえ。
そのような調度良い存在感で生きていきたいものです。
本作は駄菓子屋時代の映像と文中に説明がありました。その駄菓子屋はもう閉業していまはデザイン事務所に代わって活躍をしているようです。映像にある賑わいの楽しそうなこと。大体いつもひとりの私とは大違い!
しかし、私も生まれてからずっと一人だった訳ではなくて、賑やかだった頃もあるのですよ。
当時は賑やかな事も当たり前のひとつではございましたが、消えましたなあ、物の見事に。
死なない人間はいない。
消えない関係はない。
終わらない時代はないし、
滅びない国はない。
全てが消えていきますね。

メメントモリ、と我が手元を見れば、いまこうして書いている文章もデシペルこそ違えど賑やかさのひとつでもあります。

森の奥で倒れた木の倒木の音はするのかしないのか。誰も聞かない音なら、その音は存在しません。その逆に誰かに聞こえたのならば、無音の音も、音として存在します。

この度は消滅、がテーマで解題も諸行無常と致しましたが、未来において消滅しようとも、いまここにある物は確かに存在する。我々が砂上の楼閣しか作れないのなら、粉骨砕身して砂上の楼閣を作るべきなのでしょう。我々が作るものは、砂漠に落とす一滴の水。そうした無常もまた良いものです。

それでは皆様、この度も賑やかに。
ご笑覧厚く御礼申し上げます。
再見!




次回テーマ投票

nemurenuのテーマは皆様からの投票によって決められております。nemurenu56回(作品提出締切8月末日)のテーマ投票を行います。
どなたでもご自由にご参加ください。
投票締切は7月16日18時。
発表は7月17日になります。



次々回テーマ候補公募

テーマ投票の礎となるテーマ案は皆様からの公募によって集めています。nemurenu57回のテーマ案を募集しています。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdiXmRP0q1GANDJPMlW1lkt9otaoVIhOTOZwgH8DLSzfSyTTA/viewform


山羊の郵便局、お手紙募集中

nemurenuの後夜祭、山羊の郵便局企画です。
今回企画に参加した作品のうち、山羊郵便のハッシュタグ「黒山羊派」「青山羊派」「白山羊派」「赤山羊派」が付いている作品にお手紙を書いて下さい!
山羊郵便のリンクは各作品の解題中に表示されています。
各作者様専用のフォームになっていますが、間違いを防ぐために手紙を送る宛名(作者様名)と作品名をご記入して下さい。

誤解の無いように記載しますが、手紙は直接作者様の元に届かず、一度郵便局(わたし)がお預かりしますので、ご注意下さい。

各ハッシュタグの説明は以下の通り。

黒山羊派…項目に従って作品の評価をお願いします。感想、助言をお願いします。批判や誹謗中傷はカットされます。

青山羊派…作品のカルト度を評価します。一般的な評価ではなく、カルトであることが尊重されます。作品の感想をお寄せ下さい。

白山羊派…褒め合う、称え合う姿勢が尊重されます。作品の感想をお願いします。

赤山羊派…批判でも、批評でも真実の言葉をお掛け下さい。どのような言葉であってもノーカットでお届けします。寄せられたご意見は公開される可能性があります。


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