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剣道とバンド

#部活の思い出  というハッシュタグを見つけたので
中学生・高校生のときの部活について振り返ろうと思います。
中学は剣道部、高校は1年生の9月まで軽音楽部に所属していました。

私にとって部活動とは、一言で言うと「つらい」ものでした。


1.中学・剣道

自分が剣道部に入るなんて、思っていなかった。
入学前は、ずっと演劇部に入りたかった。
友達にも、先生にも「演劇部に入る」と公言していた。
その理由は、憧れの先輩がいたから。その先輩と同じ部活に入りたくて、友達を誘い体験入部にいった。

体験入部してみると、内容自体は楽しいものの、部活の雰囲気がどこか自分に合っていないような…。
それよりも、なぜか隣で活動している剣道部に心惹かれていた。

そして、剣道部の体験入部。
竹刀が当たったときの音が爽快で、先輩も優しく、「なんかいいかも」って
思った。

それでも、最初から入ると決めていた演劇部が捨てきれず…
結局、入部締め切りの最終日まで悩んだ末、剣道部に入部した。

入部後は、初めての剣道に悪戦苦闘。
初心者が私を含めて3人いたので、追いていかれたくないという思いと、練習がつらいという思いで、部活が近づくにつれて気が重くなっていた。

この気の重さは、2年生の中頃まで続いていた。
(この時期に前向きに練習できていればもっと上達したかも…)

練習が厳しい以上に、その厳しさを共有する仲間がいなかったのが一番辛かった。
というのも、同級生3人が、ほとんど部活に顔を出さなくなっていたのだ。
なので、練習も大会もいつも私以外先輩。
練習についていけなかったり、練習試合で先輩にすぐ負けたりで、いつも面の中で泣いた。

それでも2年生の中頃、部長を任されてから、部活への向き合い方が
変わった。

私が1年生のときと同じような状況にある後輩に同じような思いをさせたくない。
部長になったからには、今まで休んできたやつには負けたくない。
部活全体の士気をあげて、もっと強くなりたい。

前向きになったのが遅いと自分でも思いつつ、今までの分を取り戻そうと、出来ることはなんでも挑戦してみた。

しかし、結果はついてこなかった。
3年間の中で残した実績は、地区大会3位のみ。
(それも1回勝てば3位というもの)
「この試合に勝てば次の大会に進める、負けたら引退」という大会では、
延長戦の末、一本取られて負け。
実績はないものの、私個人では格上の相手に磨いた胴で勝てることが多くなって、成長を感じた。

3年間を振り返って、厳しい練習を乗り越えて精神が強くなったかなと考えると、そうでもなかった。
負けず嫌いで負けるとすぐ泣くという元々の性格はどうにもならなかった。
上級生になっても、後輩にあっけなく負けると泣いていた。

3年間のうち半分、部活に対してマイナスの気持ちを持っていた私が、なぜ最後まで剣道を続けられたのか。
自分でも確信するものはない。
しかし、
たまに来る同級生と「辛かったね~」と話し合いながら帰ることや、
たまに先生に褒められること、
そして何よりも、入部前から感じていた「なんか剣道かっこいい」という思い。
これらが私の背中を押していたと思う。

剣道は、他のスポーツと違い、「ゴールしたら〇点」というものがない。3人の審判のうち、2人以上が旗を上げたら一本。
だからこそ、どうしたら旗が上がるような良い打ちが出来るか、
手の使い方、足の踏み込み、発声、タイミング、打った後の振り返りなど様々な部分を磨いていく。
また、1対1の心理戦に近い部分もある。
相手が面を打ってきたら面返し胴をしたり、相手に面を打つと思わせて相手の胴が空いた隙に胴を打ったりなど。

このように、試合に向けて自分自身のあらゆる面を磨いていき、相手を攻略するといったところに、剣道の難しさと魅力があった。

最初は辛い、辞めたいと思い続けていた剣道も、最後は大好きになっていた。
高校でもさらに強くなるため続けようとも考えたが、
私はそれ以上にやりたいことがあった。

それが、バンドでギターを演奏することだ。


2.高校・バンド

高校でバンドを始めたいと思ったきっかけは、中学2年生のときに邦ロックにハマったこと。
また、中学の先輩が高校でバンドを始め、その様子をよくSNSで見ていたのも、バンドを始めたいと思ったきっかけの1つだ。

週に何度か仲間と集まり、練習をする。そして文化祭や学外のライブに出る。自分の好きなバンドの曲をコピー出来たらいいな。

そんな夢を膨らませながら、高校に入学・軽音楽部に入部した。

しかし、入部後から「思ってたのと違う」の連続だった。

まず、入部後集まって上級生に言われたのは
「〇月〇日までにバンドのメンバーを決めて報告して」

まだ喋ったこともない同級生とバンドを構成するためには、音楽の嗜好に関係なく、やりたい楽器を基に組み合わせるという方法しかなかった。

そしてなんとか組めたバンド。ギター担当。
最初から予想外の展開ではあったが、これでバンド高校生活が始まると思った。

文化祭に向けて、遅れ気味の練習が始まった。
曲は勝手に決まっていた。
特にやりたい曲ではなかったが、ギター初心者の私は自分なりに練習した。

夏休み。
初めてスタジオで合わせてみた。
傍から見たら拙い演奏だとは思うが、楽器が重なってちゃんとした曲になっていることが嬉しかった。
その後も、メンバーの1人が少々強引に舵を切り、ハプニングがありながらも、練習が続いた。

文化祭。
同級生や他校の友達がいる中で、初ライブをした。
特にミスすることもなく、友達から好評を得た。

文化祭前から、私はこれでバンドをやめようと思っていた。
入部直後から感じていた「なにか違う」という気持ち、バンドの練習をしているときの違和感がずっとあったからだ。
1回ライブも出来たことだし、もうバンドは十分だと思った。

しかし、この思いは文化祭で揺らいだ。
後夜祭で上級生バンドが演奏しているのを見て、3年生になったらこの舞台に立ちたいなと思った。
沢山の観客、盛り上がる会場、トリを飾るバンド。
とても格好良く、輝いていた。

だが、友達の文化祭に行って、ハッとした
友達の学校は専門分野を学ぶ学校だった。
その学校にいる生徒、友達は皆充実していて輝いて見えた。

なぜ輝いて見えるのか。帰り道に考えた。
それは、自分が志したことを実現させているから。そしてその分野が大好きだから、だと思った。

自分はどうだろうかと考えた。

本当にバンド活動を楽しんでいるのだろうか。
私が充実していると感じているのは、
バンド活動ではなく、バンド活動をしている自分。
ギター演奏ではなく、ギター演奏をする自分。
私が後夜祭に出たいと感じているのは、後夜祭に出て格好良く見られる自分になりたいから。

私は音楽を、楽しめていないと思った。
自分が心の底から楽しいと思えていないことを、長々と続けていたら、
高校生活を損すると思った。

だから、バンドを辞めた

辞めて2年後、私以外で続いていたそのバンドは、後夜祭の舞台に立った。

演奏曲は、私の好きなバンドの曲。

後夜祭終了後、友達が「めっちゃかっこよかったね!」「超うまかった!」と、私に話しかけてきた。

私は、軽く受け流すことしか出来なかった。
悔しかった。
私も、好きなバンドの曲を演奏するのが夢だったのに。

他のメンバーは、3年間の集大成をここで作り上げた。
あのときの文化祭では1曲で精一杯だったのに、5曲ほど演奏するまでに成長していた。
一方の私は、バンドを辞めた後、新しい居場所が欲しくて、ボランティアなどをやってみたものの、上手くいかず。
学業成績は良かったものの、皆よりもたくさんある時間を、無駄にした。
3年間を通して、打ち込んだことも、やり遂げたことも、何もなかった。

だからといって、あのままバンドを続けていても後悔していただろう。
一番の失敗は、思い描いた高校生活から外れたときに一度自分と向き合って軌道修正をしなかったことだ。

今からその失敗を悔やんでいても、高校生活が変わることはない。


今も、ギターとアンプはクローゼットの奥にしまわれたままだ。

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