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七つの幸運ep.刻ノ宮蓮珠「退屈だった彼ら彼女らの、成長の瞬間」①

1.

 それだけで成立する瞬間など、ありえない。

 どんな物事にもそれがそうなるに至った経緯、過程がある。

 現象には時間が流れ、概念には歴史が宿る。

 文脈と物語で、世界は出来上がっている。

 必然や運命など、突き詰めれば積み重ねに過ぎない。

「真実はね、瞬間のなかにしか存在しないんだ。連続性は、嘘を生む。ほら、僕に見せてみてよ。この瞬間、それこそがきみの真実だよ」

 そんななか、世の流動性を敬遠する少年が、ここにひとり。

 真実映す透過鏡。

 瞬く間刻む蓮の珠。

 退屈変化の生き証人。

【断片】を切り取る写真家──刻ノ宮蓮珠。

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