七つの前屈ep型固芽道利「理論順守の最適解?~揺らせ、脳~」
1.
正解と正義は異なるが、それらはどちらも正しい。
この世には、二種類の人間がいる。
正しい人間と、正しくない人間。
だが、正しさなどというものは時代や環境、文化によって異なる──千人殺した英雄もいれば、一人を殺し損ねた罪人もいる──そのため、だれがどちらに属する人間かなど、だれにもわからない。
親にも、教師にも。裁判官にも、弁護士にも。
神にも仏にも、死神にも悪魔にも。
刑事にも。
「愚かさも賢さも、強さも弱さも、愛も幸福も、法の前では平等だ。それが絶対の真理、それだけが必然の摂理だ」
そんななか、正しさも間違いもすべてが平等だと割り切る男が、ここにひとり。
刑事捜査のエキスパート。
無慈悲で聡明な法の番人。
空欄知らずの模範解答。
「考えればどうなるかがわかってしまっている未来を生きるのは、もう疲れた」
『聡明』に縛られた刑事──型固芽道利。
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