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「デジタル庁」行政デジタル化の内容と成功のカギ

行政のデジタル化へ向けての「デジタル庁」が注目されています。ITで縦割り行政を打破できるか?という事と同時に、どうして「日本は行政デジタル化に失敗したのか?」と、どうすれば「行政デジタル化に成功するのか?」という点を考える必要があります。
結論から言えば、
①同じことを何度も聞かない
② ITの公共調達は、専門知識のない公務員相手に「低品質なものを巨額で売る」という事が多いので、目利きのできる公務員を養成する。
事が必要です。

デジタル庁構想のカギ①
同じことを何度も聞かない

民間の場合は、何度も同じ内容を聞きません。しかし、官公庁・自治体の場合は、毎回、同じ内容を聞いてしまいます。
個人情報2000個問題と言われるデータの取り扱いが地域によってバラバラで活用できないという課題の解決も含めて、進めていかないといけません。

フリクションレスとは?

「フリクションレス」という言葉がキーワードになります。手間を減らすという意味です。いちいち、IDとパスワードを入れなければならないシステムは民間では衰退しています。特に、たくさんのIDとそれぞれのパスワードを普通の人は覚えられません。
「役所だから、不便でもいい」は、もはや成り立ちません。
オープンIDという技術で、多くの民間企業のように、IDとパスワードを民間システムと共有すれば、利便性はあがるのですが、役所が認めるかどうかは難しいかもしれません。

スタディログと個人情報

大きなカギとして注目されるのは、文部科学省が開発しようとしている学習履歴(スタディ・ログ)システムです。民間が使っているものを使えば、簡単で高機能で安価なことは文科省の担当者もわかっておられたのですが、個人情報を補完しないために、どこまで機能を制限するのか?
「民間並みの機能」と「個人情報を補完しないこと」という真逆の課題を解決しなければならないという課題が生じそうです。

デジタル庁構想のカギ②
目利きができるか?

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公務員がITに関する発注をする場合、専門知識がないので、低レベルなものを巨額で買わされていることが多いです。これまでも、恐ろしい事例、とんでもない事例、言ってはならない事例をたくさん見てきました。
例えば、原価が月3000円のシステムでも、前例主義で大手ベンダーから買わなくてはいけないため、200万円で同じものを購入してしまった事例も見てしまいました。
「もともと定価が存在しないこと」「難しくて公務員がわからないこと」を良い事に、役所に低レベルなものを高額で買わせた事を自慢する人もいるぐらいです。
民間企業でIT製品やサービスの調達を担うマネージャーは、ITベンダーとの交渉でコストを最適化させなければならないため、専門知識がある上に値切ります。しかし、公務員はそういう事をしません。また、技術の進化が激しいため、最新のものがどんどん出てくる業界ですが、前例主義によって古くて高くて悪いものを買ってしまいがちです。
・公共のIT調達は「高かろう、悪かろう」
・民間のIT調達は「安かろう、良かろう」
というのが常識ですが、この現状を打破する目利きが必要です。
この目利きをする公務員を、特定の民間ベンダーから出向で受け入れるというのが、最悪のシナリオだと思います。なぜなら、どうしても出向元に有利なように動かしてしまうからです。
どうしても、IT調達担当を民間から採用する場合は、一方通行にして、関連民間企業には戻れないようにした方がいいです。
しっかりと目利きができるプロパーの公務員を養成をして、適正価格にしたり、公平な発注をできるようにすれば、民間並みの「安かろう、良かろう」の行政デジタル化ができる事を確信しています。

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