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あっちの世界では常識なんだが?

厳しい先生って絶対みんな経験したことあると思うんだけど、そういう人って絶対どこか抜けてるししくじった時の人間っぽさがカワイイよね。老人ホームのおじいちゃん見てる気分になる。

1,
高三の現代文の先生がわりと厳しかった。高校のくせに寝てるとマジトーンで怒鳴りつけてくるような人だった。昭和の教育事情を3パーセントに薄めたみたいな人だから体罰はなかったけど、授業と関係ない真面目な話(n回目)で15分くらい時間とったりする人だったから友達と「今日は何分かな?」とかやってた。
俺は初回授業で早速睡眠し目をつけられたんだけど、先生を見つめながらデケェ欠伸をして天然キャラっぽく
「アッすみませんw」
みたいな若干カワイイかんじで受け答えしたらその後どんなに忘れ物しても寝ても平均点下回っても二度と怒られることはなかった。むしろ可愛がられた。理不尽教師、最高。
あと多分下ネタ大好きだったなあの先生。舞姫の娼婦の解説してる時とかめちゃくちゃ活き活きしてたもん。そこらへんもシンパシーだったんだね。脳のデカさはチンパンジー。

2,
大学の教授でこんなに厳しいことはあまりないと思うんだけど、今は課題を提出しないとめっちゃ怒る教授が担任の英語発音の授業を受けてる。なんか見た目から凛々しい雰囲気。後期の初回授業が最近あったんだけど皆ビビっちゃって30分前に全員集合してた。志村どうぶつ園見るために早めにテレビに集まる小学生じゃないんだから。青空レストランも好きだけどさ。

その教授はやっぱり淡々と、でもたしかな威厳をもって授業を進めていった。しかと論理に基づき、僕らの発音スキルをいんぷる〜ぶ(ネイティブ)しようとしてくれている。その一環としてコンピュータ解析を使って発音の精度を測るセクションがあった。初回授業なので教授自らが実例を見せるということだ。

やはり英語学の教授。日本人でありながら素晴らしい発音。よくわかんねーけど。「良、可、不可」で出来を評価してくれるそのアプリは発音を「可」と評した。可ね。良じゃないんだ。そんなかんじのクラスの若干微妙な空気。ここで教授、一言

「っていうのが悪い発音で〜」

あー、そういうかんじね。フェイント。これには流石の俺も騙された。

「でも良い発音だとこうなります!!」

あ〜待って待って〜良い発音ver.もやっちゃうんだ〜絶対微妙な空気感察知したでしょ〜もう充分だよ〜native speaker of Englishばりの発音ってことにしといてよ〜

二回目。ここで「良」がきて教授の体裁は守られる。表示される結果。息を飲む俺。一瞬の静寂…

「可」

爆笑した。もう人目も憚らずに俺は爆笑した。我慢しなければいけない理性と抑えられない本能が拮抗して女みたいに高い声で笑った。笑わない方がおかしい。漫才でいったら1番最後のオチ。逆に狙ったでしょ。2連続「可」。吉本新喜劇初見くらい面白い。定番。定石。

周りの人も絶対に笑ってると思った。爆笑しながらあたりを見回した。

みんな真顔で俯いてんの

とんでもねぇことしちまった。どうやら笑っちゃいけない雰囲気だったらしい。隣の人も「ダメ!ダメだって!」みたいなかんじだったから。あーまた俺なんかやっちゃいました?笑。この程度、あっちの世界では常識なんだが?笑

俺だけが爆笑し甲高い笑い声を教室に轟かせていたことが判明しさすがに3分遅れで背筋が凍った。ちょっとこの教室いやに寒くないですか?一瞬教授に睨まれたし。今回も高三の現代文みたいに天然キャラで媚び売って誤魔化せねぇかな。そんな淡い期待を込めて帰り際に「アリガトウゴザイマシタ…」とクソちっせぇ声を絞り出して教室を後にした。

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