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医師にも認知度が低い「オスラー病と患者会」

オスラー病の概要

オスラー病は、遺伝性出血性毛細血管拡張症あるいは遺伝性出血性末梢血管拡張症とも呼ばれる疾患で、全身の血管に異常(血管奇形)がおこり、その結果、出血症状があらわれる遺伝性の疾患です。

症状

全身の血管に異常が生じる遺伝性難病ですが、症状は患者により異なります。
最も一般的な症状はくり返す「鼻出血」で、80~90%の患者さんにみられます。
鼻出血の程度は毎日10回以上や毎週救急搬送される方もいます。
これにより鉄欠乏性貧血を合併することがあります。
また、異常な血管(動静脈奇形)が、肺、脳、消化管、肝臓などにあるとそれぞれの臓器の症状がでます。

原因

オスラー病の原因は遺伝子の変異です。オスラー病の原因遺伝子として、代表的な3つの遺伝子(Endoglin、ACVRL-1、SMAD4)がわかっています。

診断ガイドライン:「診断基準」

臨床医も使用する国際的な キュラソー:「Curacao」の診断基準

1,くり返す鼻血
2,皮膚や粘膜の毛細血管拡張(唇・口腔・指・鼻が特徴的で、他にも眼球結膜や耳など)
3, 肺・脳・肝臓・脊髄・消化管の「動静脈瘻(動静脈奇形)」
4、一親等以内に患者がいる(可能性が有る)

以上の4項目の内、3つ以上有ると確診、2つ以上で疑診、1つだけでは可能性が低いとされます

  • 注意事項

  • 子供の場合、症状を呈するのに時間がかかる場合もあり、2つの項目でも注意して観察します。

  • 逆にHHTの御家族で鼻血があるだけで、HHTと診断するのは間違いです。
    鼻血の量や回数の定義はありません。
    子供では、普通でもよく鼻血が出ることも考慮する必要があります。

この病気が難治性であることは事実ですが、早期に適切な診断を受けることにより、重篤な症状を回避できる可能性がある病気です。
診断基準に該当する可能性のある方は、早期に専門医を受診してください。なお、HHTと診断された方は、ご家族にもお話しをされ、ご両親やご兄弟もスクリーニング検査を早期に受けられることを推奨します。これにより重篤な症状が発症する前にコントロールできる可能性が有ります。

スクリーニング検査

  1. 臨床診断: オスラー病は特有の臨床症状(例えば、反復する鼻血や皮膚のテロンギエクタジア)に基づいて診断されることが多いです。

  2. 家族歴: 家族内で同様の症状が報告されている場合、遺伝的要因が疑われます。

  3. 遺伝子検査: 特定の遺伝子変異(主にENG, ACVRL1, またはSMAD4遺伝子)の検出を通じて診断を確定することができます。これらの遺伝子は血管の形成に関与しており、変異はオスラー病の発症に直接関連しています。

  4. 画像診断: 肺や肝臓などの内臓の血管拡張を評価するために、MRIやCTスキャンなどの画像診断技術が利用されることがあります。

オスラー病の疑いがある場合は、患者会の医療施設情報を参考にされ専門の医療機関で詳細な診断を受けることが重要です。
適切な診断を通じて、必要な治療や管理計画を立てることができます。

治療法

根治する治療法は確立されていませんが、早期に肺・脳・肝臓などのスクリーニング検査し、治療することにより重篤な症状を回避できる可能性があります。
鼻血などは対処療法のみです。

くり返す鼻血

オスラー病の鼻出血の止血法は一般的な止血法とは異なります。
多くの耳鼻科医や救急隊員は強く圧迫したり誤った処置・治療をするので患者も注意が必要です。
基本的にサージセル(医療用)や止血材料(チケア・プラスモイスト
HS-W:市販品)で軽く圧迫することが基本です。
オスラー病の鼻血は鼻の血管が非常に脆(もろ)く更に拡張して事が多いため、強い刺激、強い圧迫止血・電気焼灼術・ガーゼパッキング・レーザー止血はもろい血管を破壊しその後に新生血管が再生されるので一時的に止血できても更に憎悪し、電気焼灼やレーザー止血をくり返すことは鼻中隔穿孔(鼻中隔に穴が空く)する事があります。(生命に関わる場合を除きます)

重症例に対しては鼻粘膜皮膚置換術や鼻腔閉鎖術が行なわれると言われていますが最大限慎重に検討が必要です。

内服薬

止血剤(トラネキサム酸)、ケアは鼻腔内のワセリンなどによる保湿が効果的です。

予後

肺動静脈奇形(瘻)による奇異性塞栓症、重篤な低酸素血症や破裂、その他の臓器の動静脈奇形による重篤な症状、慢性的な鉄欠乏性貧血による心不全などといった重篤な合併症を併発しなければ、予後は比較的良好であり、普通のひとと同じ生活が送ることができると考えられます。

(1)NPO法人日本オスラー病患者会
http://www.hht.jpn.com/

(2) オスラー病(指定難病227) – 難病情報センター. https://www.nanbyou.or.jp/entry/4351.

(3) オスラー病(指定難病227) – 難病情報センター. https://www.nanbyou.or.jp/entry/4352.

(4) オスラー病について | メディカルノート. https://medicalnote.jp/diseases/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC%E7%97%85.

■患者会

NPO法人日本オスラー病患者会
理事長 村上匡寛

オスラー病患者会は、オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症:略称HHT)の患者及び家族が交流・親睦を図り、有益な情報交換・情報収集を行うための組織です。

主な活動

情報の発信や啓蒙活動を行い、HHTJAPAN(日本HHT研究会)医師と連携して、情報交換・患者や家族のサポートを行っています。

未診断者(隠れオスラー)・医師・医療関係者・行政機関・国に対するオスラー病の啓発活動を行い、医療施設の充実・治療方法の確立・患者に対するケア・早期診断等の福祉拡充が促進されることを目的としています。

連絡先

 電話: 050-3395-3927
(相談・問合せは「問合せフォーム」、「メール」 or「 公式アカウント」 よりお願いします。)

参加・支援のお願い

一人でも多くの患者・患者家族・未診断の方(隠れオスラー)・賛助会員・支援者が参加頂く事により「医師や医療関係者(看護師・薬剤師・介護職員)」への啓蒙活動・情報提供を行い「新たな治療方の確立」や海外に設置されている「オスラー病センター(各都道府県に拠点病院)設置」などを目的として事業活動を行っていますので参加・支援をお願いします。

(1) オスラー病患者会 | くり返す鼻血・止まらない鼻血・毛細血管 .... https://www.hht.jpn.com/

(2) 患者会 | オスラー病患者会. https://www.hht.jpn.com/gaiyou/

(3) NPO法人 日本オスラー病患者会 | VHO-net. https://www.vho-net.org/dantai/dantai-ni3/

(4) 特定非営利活動法人日本オスラー病患者会 | NPO法人ポータル .... https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/detail/113010537

その他詳細は、NPO法人日本オスラー病患者会ホームページをご覧ください

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