バランス
バランスをとろうとすればするほどバランスは崩れる。
問題が起こるたびに「バランスをとろう」という掛け声で終ってしまう。
しかし、いつだってその掛け声は何も解決してくれない。
バランスと聞くと、一つに定まった静的なものを想像してしまう。
バランスがうまく取れている状態というのは、もっと動的なものなのだろう。
ひとはグラデーションのかかった幅を持つグレーゾン・間(あいだ)を揺蕩っているように思う。揺蕩う存在である人間に、静的であろうと動的であろうと、バランスをとろうとすることは何を意味するのだろうか。
バランスという言葉はそこらじゅうに溢れている。
公私のバランス、自他のバランス、ワークライフバランス、栄養のバランス、時間配分のバランス。
バランスとは特定の価値観なのか。
バランスとは善悪なのか。それとも好き嫌いなのか。
バランスとはいったいなんなのか。
バランスの外側に立たないとバランスは崩れてしまう。
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