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符号理論?NFL?ブロックチェーン?メディアアート?

3331アートフェア2021

先週は「3331アートフェア2021」へ。広い会場のあちこちに、アート作品とアーティストさんとギャラリーの方々がギュギュっと詰まって、とてもパワフルな空気にあふれていました。

「これ好き!」と思った作品をスナップしつつ、好きなものはなんとなく共通点が見えてきて、自分発見にもなるのが面白いですね。写真をみなおしてみると、画材の質感がわかる作品が多かったです。マットな感じの。

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 ↑村上早さんの作品

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↑尾川和さんの作品

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↑吉田花子さんの作品



符号理論/Coding Theoryの部屋

さて、様々なアートがあるなかで、「NFT×アート」をテーマにしたブース。

優美堂でお世話になっている中村政人さんの作品も展示されていると聞き、見る前に ↑このリンク先の文章を読んで予習をするも…

NFTってなに?
符号理論ってなに?
ブロックチェーンってなに?(言葉はきいたことある)
メディアアートは、みたことある…(つもり)?

ふだん興味のない情報は、わたしの横をザザーっと過ぎ去っていくのだなぁ、といわゆる「カクテルパーティー効果」と逆の様相に妙に納得。
わからないことを調べてみても、またよくわからない笑
よくわからないから、体験してみようと会場へ。

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1回目:キャプションを読みながらみてみる


ビエンナーレ最終日で、会場は大盛況。(写真は後日撮影)
表現のプロセスや意図を想像しながら、ひと通りみてみるも…私の眼はどうやら節穴。
実は、中ザワヒデキさんのカラーチャートの作品(1ピクセル×1ピクセル)がプリントされたA4の紙が一面に貼られていたのですが、その中央に描かれた小さな小さな作品を見逃していたのでした…(写真を撮り忘れていました)

2回目:会場内のスタッフさんの解説に耳を立てる


1回目、自力で見てみた結果…消化不良(笑)
なので、ほどなく2巡目の見学。会場のスタッフさんがほかのお客さんに開設しているのに聞き耳を立てて。

なるほど。そういう背景でこれらの作品が、いま、ここ、に形や音としてあるのか!と。その背景や見かたを教えてもらい、アートと私との関係性が変わったことを実感しながら見てみます。

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こちら藤幡正樹さんの作品は、テーブルの上にあるディスク(懐かしい!)の中に保管されていたデジタルデータです。今回は、あえてわかりやすい形(額装)で見せているとのこと。

そして、作品に対して購入済みの赤シールがたくさん貼ってある。作品の価格を、購入者人数で割ったものが、最終価格になるのだとか。売れれば売れるほど、単価が下がるのか…と不思議な感じです。
共同購入ってアートにもあり!?…なんとも不思議な感じです。

さらに。中村政人さんのアート作品では、白い壁にプロジェクターで一面、黄色の画像が映し出されており、その画面を動かせるようにキーボードが置かれていました。なんと57m×57mのカンバスサイズ(illustratorソフトの最大サイズ)を実寸で写しているとのこと。
スタッフさんにヒントをもらい、キーボードを動かして、カンバスの左下に行くと中村さんのサインがありました。(えー、そうだったの!?と発見)

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illustratorの進化とともにカンバスサイズも拡張している(進行形)とのことで、その一端にサインが入っている状況が、なんとなく、「まち」という広がりを持つフィールドで、きわめて具体的な活動(優美堂再生プロジェクト)をされている中村さんの生き方が、とても抽象化された形で表現されているような、そんな気がしました。

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まさにこんな写真のイメージ。拡張したまちの中の、具体的なひとつひとつの場に、人が居て、生きてたっている。

オンラインで、アクセスできる世界はものすごーーーく広がっているなかで、自分が「居たいと思う場所」はどこか?世界の中でそんな点がひとつでもあることを実感できたら、わたしは幸せかも、そんなことを思いました。


3回目:会場設営のインストーラーさんに話を聞いたあと


もうひとつ。中村さんの作品では、こちらのケースには3つのインスタントカメラ。
2回目に聞き耳を立てていた時に作品購入者のルール「決して現像しないこと」というのがあることを聞き、玉手箱を前にして「みたいけど見ない」と「自律と葛藤する自分」を想像してしまったのですが…

「カメラという光を閉じ込めた内部は宇宙である」という言葉を聞き…。なるほど、カメラを前にその宇宙に想像をめぐらし、自分と対話するような感覚かな?
茶室もよくその空間体験が宇宙空間になぞらえて語られますが、このカメラはさらに想像力を頼りに、その宇宙に想いをはせる、そんな媒体になるのかもしれません。

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こちら↑が、宇宙を包む3つのカメラ。展示の中で唯一、作品そのものに実態のある展示とのこと。

それにしても、わたしだったら、見たくなっちゃうな。自律できるかな…笑

という、話をこの会場を設営したインストーラーさんに話したところ、こちらのカメラ、すでに20年の時を経ているというさらなる知見をいただき、驚く。(キャプションに書いてあったのに)

さらなる長い時間がたった時、「中村さんがどんな風に世界を見ていたのか」という興味と想像を喚起するこのカメラは、自分にとって、とてつもない価値がある。

というようなお話でした。(ちがっていたらごめんなさい)
なるほど、カメラを媒体に、当時の中村さんと対話をするような感じなのかもしれない。

あるとき、中村さんが世界を止めて切り取った画像。実体をもたないからこそ、その小さな箱の中の宇宙で、手に取った人の思考が無限に広がるのだろうな。

会場の一番奥では、藤本由紀夫さんの作品、デュシャンの楽譜をデジタル音源に再現した「音」の作品でした。この音がBGMともなり、ちょっと不思議な空間に来たような展示空間。

NFTとは?符号理論とは?ブロックチェーンとは?という技術としての問いは、あいにくいまだにぼんやりですが(笑)、それらの新しい技術により、実体のないもの(データ)によるアートの売買が可能になり、その価値と面白さが、実際に購入者にとどいているということが体感できました。

実体のないものを見える化する技術

また、そもそもに実体のないものを、見学者が体感できるように「見える化」している展示方法にも、アーティストさんの創意工夫が表れているなーと拝見。でも、アートってもともと抽象を具象として表現することでもあるから、表現活動の表現活動ってことなのかしら。

むずかしいけど、好奇心を刺激される展示でしたので、メモメモ。

こちら、アートフェア後も展示が延長されているようです。週末のみ、来週14日まで。ぜひぜひに。


優美堂プロジェクトについて

そういえば「インストーラー」という言葉(役割)も「?」だったのでした。




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