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歌詞を書くことについて⑤完結編

⑤ 完結編

・個人的に思ういい曲とはなにか
・歌詞のオリジナリティとは
・歌詞を書くことについて


僕は歌詞を書くのも読むのも好きで、
今でも英語の歌詞を翻訳してみたり、
知らない誰かの歌詞カードを読んでは
「こういう意味なのかな?」
と空想に浸る事も多い。
振り返ると中学生の時、
寝る前に
国語便覧(作家のディスクガイドみたいな本)をよく読んでて、
「こんな本なのかなあ。
こういうことを言いたいのかなあ。」
と夜な夜な空想に耽っていた
変な子供だった。
友達の家に行っては
みんながジャンプを読んでいる中、
四字熟語の漫画の本を読んでいて、
友達のお母さんに
「友哉くん、すごいね。」と褒められた。
そんなスタンスのくせに勉強は出来ず、
成績は全然良くない。
そこだけは今でも不思議に思う。

今回は歌詞の話が続いたが、
そもそも僕が思ういい曲とは
「聴き手が生活の中でふと聴こえてくる曲」
だと思っていて、
例えば君が
恋をした時に、
失恋した時に、
両親の有り難みを感じた時に、
友達を亡くした時に、
広小路通りを歩いていた時に、
そんな時、
もし僕が書いた曲が
ふと君に聴こえてくたのであれば、
音楽を作っていて
こんなに嬉しい事はない。
君の為に僕はあの辛い経験し、
この曲を書いたんだとすら本当に思える。
そういう生活の中に
生きている曲が作りたくて、
そのためにとにかく
山ほど歌詞を書いてきた。

さて色々書いてきたけど、
ここに書かれている
歌詞を書くことについては
一つの方法論であって、
おそらく歌詞を書くことについての
基礎の話だとは思う。
「お前に言われんでも知ってるわ!」
という声すら聞こえてきそう。
大体がみんな意識はしてないけど、
やっていることの言語化みたいな話で、
HOW TO本ってそうだと思うけど、
偉そうにここまで振って話しておいて、
新たな発見なんて何にもないだろう。
そしてこの最後のまとめも
力尽きてるというか、
最終日の今日になり、
勢いだけでただ書いている。
自分でも書きながら驚いてるが、
日を分けたくせに今日が一番中身がない!
50曲近く歌詞解説してオチがこれ!
なんでこんなこと始めたんだよ!
と実際、後悔すらしているし、
ついにこうやって講師のキャラから
降りた自分にも情けなく思う。
そもそも本音で言うが、
流石に年齢的にもいつまで
バンドをやってるか分からないので、
ちょっとでも誰かに残せるものがあるなら、
という気持ちで書いていた部分もあった。
気の利いた人間ならこんなことはしない。
果たしてこれでよかったのか、
今となってはよくも分からない。
でももしこうやって
僕が言語化したことで
君の基礎が整理されたのであれば幸いである。
基礎が分かれば変化球が投げられる。
ストレート(基礎)が分からないと
今、自分の投げた球が
早いのか遅いのか、
変化球なのかさえ気がつけないから。

さて最後に元も子もないことを言うが、
できたら
今まで書いてきたことを
全て踏まえた上で
全てを無視して
君の歌詞を書いてほしい。
歌詞を書くことについて
一番大切なことは
君が書いたその歌詞の中に君がいて、
君がその歌詞を最高の歌詞だ
と思えるものだと思う。
結局、
歌詞のオリジナリティとは君自身です。
君と同じような価値観で、
同じような経験をしている人はいても
同じ価値観で
同じ経験をしている人間は1人もいない。
だから正直、
オリジナリティなんか
出そうと思わなくても間違いなく、
自然と出てくる。
そこに気がつけるか、
変な大衆性に縛られてないか、
誰かに何かを言われることを恐れてないか。
多分そこだけの差だと思う。
であとこれを読んだ以上は
約束してほしいことがある。
だからと言って
君にはオリジナリティのある
個性的な歌詞を書きたい
と思っててはほしくない。
それを目的としてしまうと
作詞が個性的な歌詞を書く為の行為になってしまって、
それはおそらく君がするべき作詞じゃない。
これが個性的な歌詞だったらいいな
というくらいの気持ちで気楽にいてほしい。
もちろん
バンドのステージが上がり、
大人が周りが付いてきて、
ビジネスが関わってきて、
自分の音楽に責任が伴ってきて、
世間が求める歌詞を考える必要が出てきて、
自分1人の判断では
どうにもできないこともあるだろう。
僕にはそんな経験はないから
こんな気楽なことが言えるのも知ってる。
そういう人たちもたくさん見てきたし、
そのしんどさも話だけなら聞いてる。
無責任なことを言うが、
それならそれでその環境を楽しんでほしい。
バンドを仕事にしたのであれば、
「僕(私)にこの制服が似合わないから着たくない」
と言っていても仕方ない。
せっかくなら
その制服を似合うように着こなしてほしい。
そもそもそんな環境にいれることが
どれだけ幸せなことか。
こっちは
今週末に大須演芸場のライブがあるけど、
昨日も夜中まで
1人物販の缶バッチの袋詰めをして、
さっきもカタログのラミネートをキンコーズでしてきた。
今から当日スタッフに指示できるように
ハックフィンで借りてきた
カメラの使い方を勉強するつもりでいる。
もうやってることが
歌詞すら音楽すら関係ない。
本当にDIYにも程がある。
半分愚痴になってきたがそんな風にも思う。

そういえば
一番最初に
「テーマを決める」ということを話したが、
これはバンドをやっていく上においても
同じように必要だと思ってて、
僕自身のバンドのテーマは
「自分が生きてることを
誰かに面白がってもらえるようなバンドになること」
だった。
だから村上友哉という人間が
昭和、平成、令和に暮らしていて、
この時代の中、
生活の中でこんな事を感じ、
こんな人と出会い、
こうやって生きていた
という事を細々とでも曲にして書き残したい。
その為に恋人や友達、家族をネタに
様々な曲を作ってきた。
こんなことをしていったって
金にはならないが、
そんな純粋な気持ちで今もやってる。
ここがブレたことは一度もない。
君自身のバンドのテーマってなんなんだろうか?
歌詞を書く前に
割とそこから始めてみるのも
いいのかもしれない。
いち音楽のリスナーとして、
これから君が書く歌詞を楽しみにしてます。


そして
いつかどこかのライブハウスのステージの上から、
CD、LP、カセットテープ、
サブスク、YouTubeの中から
歌詞を書くことについて
次は君が俺に教えてくれ。




xoxo

村上友哉(明日、照らす/さよならパリス)
2024年6月12日 19:29

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