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The Drama Summer『祈りの街』

『祈りの街』

さらば街灯 はるばる来たぜ 
祈りの街
胸ポケット 切符の角が
皮膚に刺さる 薄い上着

ボストンバッグ 汗が滲む重み
待合室で読んだ ブコウスキー

誰もいない
誰もいらないところへ行って
何もしない
何も知らないところへ行って
どこでもない
どこでもないどこかを探して
ここまで来たんだよって
白い浜辺で呟いた

雨の堤防
景色が同じ 祈りの街
レンタカーの芳香剤が
爪に残る 安い香り

チャンネル 局が分からないTV
ユニットバス シャワー 水圧も弱い

誰もいない
誰もいらないところへ行って
何もしない
何も知らないところへ行って
どこでもない
どこでもないどこかを探して
知らない街 彷徨って
見つかるはずもなかったんだ

何がしたい
何がしたいかが分からなくて
ここではない
ここではないどこかを探して
野を越えて 海を越え
街を出たくなったけどきっと
みんなそうなんだよって
さすがに分かった今日だった

見慣れた街灯
旅路も終わり いつもの街
駅の雑踏
かき分け見えた 手を振る君


【解説】
数年前に何日か時間ができて、
1人で沖縄に旅行に行った時の曲。
いきなり思い立っていきなり決めた為、
目的があるわけではなかったが、
とりあえずどっかに行きたいと思って、
朝一番でセントレアから沖縄へ。
旅先で暇になったらと思って
チャールズ・ブコウスキー『死をポケットに入れて』や他の小説、
色々とサクッと読めそうな本を持っていっていた。
1番は旅に出てはしゃいでる感じと
上着が薄い=暖かい所に来てる感じ
が出たらいいなと考えて書いた。
特に「はるばる来たぜ」の「ぜ」を入れるかどうかは悩んだ。
普段なら絶対に入れない。
でもダサくらいが浮かれてる感じがしていいかなと思って入れた。
ライブの遠征の時もそうだけど、
旅行でも僕はアメリカンアパレルのボストンバックを使っていて、
かなり年季が入ってるが、
そのままリュックみたいに背負えるので気に入ってる。

2番からは
その雲行きが怪しくなってくるというか、
美ら海水族館に行こうと思って、
レンタルカーを借りたけど、
雨が降って浜辺の景色がずっと同じだし、
車内の甘い芳香剤の匂いが慣れなくて、
気分も悪くなってきた。
Bメロは県外あるあるというか、
ホテルに帰ると
テレビを付けても
チャンネルでどの局がどれかも分からず、
ただ何かを見るわけでもなく、
ぱちぱちチャンネルを変えてるだけだし、
安いホテルに泊まってるのもあるんだろうが、
ユニットバスでシャワーの水圧も弱い。
なんか段々心細くもなってくる。
2番のサビは一部が決まらなくて、
色々考えた時に
旅の歌なので、
「せんろはつづくよ、どこまでも」
のパロディというか、
飛行機バージョンとして
「のをこえ、やまこえ」
「野を越えて 海を越え」
という歌詞にして入れた。

結局今回のこの沖縄旅行を通して、
旅って今とは違う何かを求めて、
新しい自分を探しに行くけど、
結局は今の良さを再確認するというか、
今はただ
無いものばかり目がいっていただけで、
よっぽど今もあったことに気がつくことができる、
そういう機会だと思った。
ちなみに歌詞をまとめるために
最後は想像で書いて、
駅では誰も待ってはいなかった。
ただ1人で行って帰ってきただけだけど、
これくらいのフィクションは許される範囲だと思ってる。
タイトルはこの沖縄旅行が
観光というよりも
最終的には
戦争の悲惨さを残す
跡地をめぐるたびになっていて、
個人的には
何度も平和を祈った記憶が強く、
祈りの街にした。


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