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音楽理論「重箱の隅」第10話「マイナーキーの正体その五」

こんにちは。ベーシストの村井俊夫です。

音楽理論の端っこのほうにある、ふとした事柄、でも割と大事なこと…重箱の隅を楊枝でつつくような記事を書き連ねています。

よろしくお願いいたします。

引き続き「マイナーキーの正体」。その五です。

前回までのあらすじ
3つのマイナースケールのダイアトニックコード、その混ざり具合で色々な表情を見せるマイナーキー。

次に注目するのは「マイナーキーダイアトニックコードの機能」です。

例えば…

CメジャーキーでのFM7(ⅣM7)とAマイナーキーでのFM7(♭ⅥM7)は同じ機能でしょうか?

答え … 違います。

Cメジャーキーでのダイアトニックコードの機能(T…トニック、D…ドミナント、SD…サブドミナント)は以下のようになります。
◇カッコ付きの機能は代理コードです。例えば(T)はT(トニック)の代理です。
◇コードによっては実質的な用途を鑑み、トライアドで表記しています。
◇※印は実際の用途に関する備考です。

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これをAナチュラルマイナーとして並べ変える、つまり「Am7 が一番エラい」という立場にすると、次のようになります。

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マイナーキーのダイアトニックコードも、メジャーキーのⅠ〜Ⅶと同じ並びの機能になります。

例えば

Am7 |FM7 |

というコード進行があった場合、

これをCメジャーキーと解釈すれば
Am7 |FM7 |
(T) |SD |

これをAマイナーキーと解釈すれば
Am7 |FM7 |
T |(T) |

になります。

同じ調号の同じFM7ですが、Cメジャーキーではサブドミナント、Aマイナーキーではトニックの代理、です。

ハーモニックマイナーとメロディックマイナーのダイアトニックコードの機能も次のようになります。

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これらのコードを使った進行を、Cメジャーキーでの機能、Aマイナーキーでの機能、に分けてみると、次のようになります。

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ちなみに、クラシックにおけるマイナーキーのベーシックダイアトニックコードは、次の顔ぶれになります。

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どうにもこうにも…マイナーキーには大量のダイアトニックコードがあります。そして、それらの機能にも多分にグレーゾーンがあり、複雑さは増すばかりです。

さて…では、それらを整理していきましょう。

次号につづきます。

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おあとがよろしいようで。

お読み頂き、ありがとうございます。


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