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音楽理論「重箱の隅」第20話「アボイドノートの誤解」

こんにちは。ベーシストの村井俊夫です。

音楽理論の端っこのほうにある、ふとした事柄、でも割と大事なこと…重箱の隅を楊枝でつつくような記事を書き連ねています。

よろしくお願いいたします。

今日のお題は

「アボイドノートの誤解」です。


「アボイドノート」とは「アベイラブルノートスケール内でテンションとして使えない音」、つまりコードに乗せるには不協和度が高すぎる音、です。不協和度が高すぎる音程とは、コードトーンとの音程が「短9度」や「増4度(減5度)」になってしまうケースです。例としてCメジャーキーでのⅠM7(CM7)(Ionian Scale)とⅡm7(Dm7)(Dorian Scale)を見てみましょう。下部構成音(コードトーン)と上部構成音(テンションおよびアボイドノート)との音程関係をチェックします。

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基本的にはこのような基準でテンションとアボイドノートが振り分けられますが、機能を補強する「ドミナント7thコードの♭9th」やサウンド的に慣用されるようになった「メジャー7thコードやドミナント7thコードの#11th」のような例外も多くあります。諸々のアベイラブルノートスケールでの「コードトーン、テンション、アボイドノート」は次の一覧表のようになります(拡大してご覧ください)。

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※「Care Note」とは「過度な不協和は作らないが、それを加えることでコードクオリティー(立場)が変わってしまう音」です。

さて、本題はここからですが…。

「アボイドノート」という呼び名、これが誤解を招いてしまうことがあります。アボイド(avoid)つまり「避ける」という意味合いから「そうか~その音は使っちゃダメなのか~」という誤解です。

アボイドノートは、あくまで「そのコードのハーモニー(縦の響き)として機能させたいならば加えないで」ということであって、何かしらの「横の動き」を伴うのであれば、それが伴奏であれメロディーであれ、大いに使いうるもの、といえます。

音楽は、和声も旋律もリズムも、すべて「安定と不安定の行き来」「協和と不協和の行き来」で作られています。アボイドノートはそれらの「不安定」や「不協和」のエッセンスとして使うことができます。それがあることにより、その前後にある「安定」「協和」が映えることになります。

例えば伴奏の例です。

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各コードにアボイドノートが関わる動きを付けてみました。それらが解決する時に動きのコントラストが付きます。

次は旋律の例です。非和声音の分類ごとに挙げてみます。

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アボイドノートは「避ける音」ではなく「工夫して使う音」、というお話でした。

重箱プリン誤解

おあとがよろしいようで。

お読み頂き、ありがとうございます。





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