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音楽理論「重箱の隅」第17話「3度がないのも良くなくない!?」

こんにちは。ベーシストの村井俊夫です。

音楽理論の端っこのほうにある、ふとした事柄、でも割と大事なこと…重箱の隅を楊枝でつつくような記事を書き連ねています。

よろしくお願いいたします。

今日のお題は

「3度がないのも良くなくない!?」


コードの3度の音、例えばコードC(ド・ミ・ソ)の「ミ」は、コードのキャラクター(色味)を最も明確に伝える音です。そのため、アレンジの際には重要視されますが、時には「3度の響かないアレンジ」が功を奏するケースが多々あります。

最も頻繁に使われるのはギターの「パワーコード」でしょう。

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パワーコードはたいていの場合、歪み系の音色で演奏されますが、その音色と相まって「力強さ」、時には「恐さ」などを演出します。

コードのルートと5度だけ、つまり「色味を伴わない土台だけ」なので、土台の力強さが強調されます。さらに完全5度音程はローインターバルリミットもかなり低いところまでいけますので、重く太いサウンドにもできます。

※ローインターバルリミット…各種音程がどの程度の低い音域までサウンドするか、の目安。

通常の楽器アレンジにおいても、あえて3度を抜くことで、「余韻」や「浮遊感」を演出することがあります。

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「3度」という、良くも悪くも明確なコードキャラクターを隠すことで、その実態をおぼろげにして、解決感の薄い余韻や、霧がかかったような浮遊感をかもし出します。

曲のイントロを作る際にもアイデアのひとつとして使うことがあります。イントロは、基本的には「本編のキーとリズムを予想させるもの」ですが、3度を見せないことで「予測できない期待感」を演出することがあります。

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「コードサウンドが分かりやすく聴こえる」ということは、アレンジ意図によっては良い場合と良くない場合とがあります。3度をベールの向こうへ隠すことで得られる効果があります。「力強さ」「恐さ」「余韻」「浮遊感」「謎めき」などを表現したい時にお試しください。

重箱サンド2

おあとがよろしいようで。

お読み頂き、ありがとうございます。





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