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手指衛生の必要性とその方法

リハ専門職を目指す学生が当院で実習を開始する初日、私が必ず学生に対して説明するものの一つに手指衛生があります。学生にアルバイトの経験を尋ねると、多くの学生は飲食店でアルバイトをした経験があると答えます。しかし、手指衛生について具体的に教育を受けた学生は、想像以上に少ないのが現状です。

病院で実習を行う際、なぜ手指衛生について教育を受ける必要があるのでしょうか?そう尋ねるとほぼ全ての学生が、「自身が媒体となって感染を拡大することを予防するため」と答えます。しかし、①どのように手を洗うのか?、②いつ手を洗うのか?、について答えられる学生は殆どいません。そこで、この2つについて簡単にまとめておきます。

注1:以下に示す図の出典:サラヤ株式会社:できていますか?せいけつ手洗い.<https://family.saraya.com/tearai/index.html>,(参照2020-3-11)

①どのように手を洗うのか?

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上の写真は、サラヤ株式会社のホームページにある「できていますか?せいけつ手洗い」に掲載されている写真です。私たちがきれいに手を洗っても、手のひらのくぼみや指の股、爪の生え際や手首などに洗い残しが多いことがわかります。つまり手を洗うときは、これらの洗い残しが多い箇所をしっかり洗うような洗い方をすることが重要となります。

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上の図は、サラヤ株式会社のホームページにある「手洗い手順(石けん液)」です。よく見ると、洗い残しが多いとされる箇所をしっかりと洗える手順で構成されていることがわかります。これに加え、蛇口から流れる水道を手動で止める場合は、水を流したまま手を拭くようにします。そして、拭き終わったペーパータオルで水を止めるようにして、直接、蛇口やレバーを触らないようにします。

②いつ手を洗うのか?

いつ手を洗うのか?という問題に対しては、なぜ手を洗うのか?を考える必要があります。その理由は、冒頭でほぼ全ての学生が答えたように、「自身が媒体となって感染を拡大することを予防するため」です。では、いつ手指衛生を行えば感染の拡大を予防できるのでしょうか?

注2:以下に示す図の出典:サラヤ株式会社:手指衛生5つのタイミング.<https://med.saraya.com/who/fivemoments.html>,(参照2020-3-11)

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上の図は、サラヤ株式会社の医療従事者向けサイトにある「手指衛生の5つのタイミング」です。この5つのタイミングで手指衛生を行うことができれば、手を洗う目的を果たすことができます。ただでさえたくさんのことを覚えなくてはならない学生にとって、手指衛生のタイミングを効率的に覚えたいと思うのは当然のことです。そこで、私はいつも学生に「これだけは覚えよう!」と強調するのは、⑴患者に触れる前と、⑸患者周辺の物品に触れた後、です。

その理由は、それ以外のタイミングは「自然に手を洗いたくなるから」です。⑶体液に暴露された可能性がある場合、これは対象者の喀痰や尿などが手についたときです。このような状況の時、手を洗うのを忘れることはありません。⑷患者に触れた後、これも何となく習慣化しているはずです。では、⑵清潔/無菌操作の前、これは我々にはその機会がありません。したがって、⑴患者に触れる前と、⑸患者周辺の物品に触れた後、に手を洗うことを忘れないようにしましょう。

日頃から上記の手洗い手順で丁寧に手を洗っていると、目に見えないはずの汚れが目に見えるような気がしてきます。そして、他人の手の洗い方を見て、不十分な手順がすぐにわかるようになります。感染症が流行し、社会問題となっている今だからこそ、多くの人が正しい手の洗い方を身につけることが有効であると思います。

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