なぜ、人材育成はOJTのみでは不十分なのか
経営資源は、人・物・金・情報に時間・知的財産を加えて6つあると言われています。これらの経営資源のうち、扱いによって価値が増減するものは「人(材)」のみです。
人(材)の価値を高めるためには、効果的で持続的な人材育成が必要です。その手段はいくつかありますが、OJT(On the Job Training)に依存する組織も少なくないように感じます。
ところで、有名なP.F.ドラッカーは、われわれリハ専門職を医療テクノロジストに区分しています。
われわれが医療テクノロジストとしてあり続けるためには、その定義から、陳腐化する知識や技術を持続的にアップデートし続ける必要があります。そのための手段として、果たしてわれわれはOJTに依存していてもよいのでしょうか?
それが、本noteで触れる問題意識です。
中原(2014)によると、OJTとは、一般に「職場における上司と部下の間にある垂直的な発達支援関係の中で、上司が部下に対し、一定の仕事を任せ、アドバイスを行う中で行われる育成方法」と整理しています。
さらに、OJTが持つ4つの脆弱性として、①OJTの学習効果、教育のクオリティは現場マネジャーに依存してしまう。②一般に、OJTでは現場マネジャーの能力範囲を超えることを学ぶことができない。③学習が起こるタイミングが「偶然」に依存する。「教育的瞬間」がいつ訪れるかわからない。④学び多きはずの仕事経験が「単なる労働」となってしまう可能性があることを指摘しています。
上記を図式化すると、以下のようになります。
つまり、「OJTのみでは、世代が進むにつれて高められる能力は徐々に限られてしまう可能性がある」ということになります。
価値が増減する経営資源である人(材)の育成は、企業活動を永続的に行う上で必須となると考えます。
しかし、そのための人材育成はOJTのみでは不十分であり、仕事経験を振り返る機会や研修なども含めて設計することが必要です。さらに、動機づけを高めるような工夫も必要になると考えます。
人材育成は、各組織の特性に合わせたテーラーメイドの設計が必要です。したがって、最終的には人材育成の手法は内製化することが有用となるはずです。しかし、この人材育成の仕組みづくりには多くの組織が苦慮しており、それゆえに仕組みづくりに踏み切れずにいる組織も散見されます。
繰り返しとなりますが、人材育成は最終的には各組織の特性に合わせたテーラーメイドの設計が必要で、その手法は内製化することが有用となるはずです。そうであれば、各組織で構築した「OJTに依存しない人材育成の仕組み」を、他の多くの組織と惜しみなく共有しながら、まずは互いに知恵を出し合ってより良いものを作り上げていくことが得策であると感じます。それにより、業界全体の人材育成の仕組みがさらに強化されていくのではないかと考えます。
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