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デジタル・トランスフォーメーションって何?

 デジタル・トランスフォーメーションは、DXと略されます。DTではなくDXと略すのは、英語でTransをXと略すことによります。海外で販売されている電話機では、”TRANSFER”のボタンが”XFER”と表示されているものもあります。

 DXは、”企業や団体がデジタル技術を活用して経営や事業における変革を実現する取り組み”をいいます。つまりDXとは、デジタル技術を表す”Digital”と、変革を意味する”Transformation”を掛け合わせているのです。

 ここで、用語を整理します。ITはInformation Technology、ICTはInformation and Communication Technology、AIは人工知能(Artificial Intelligence)、IoTはInternet of Things、ARは拡張現実(Augmented Reality)、VRは仮想現実(Virtual Reality)、APIはApplication Programming Interface、RPAはRobotic Process Automationです。また、仮想デスクトップのシステムをVDI(Virtual Desktop Infrastructure)、SaaSはSoftware as a Serviceです。

 さて、ITとDXは異なります。ITは業務の効率化や単純なコスト削減などを目指すのに対し、DXはビジネスのフロントからやり方を変えて新たな事業を開始することや、既存事業でも変革によって大きな売上拡大につなげるという、前向きで攻撃的な取り組みが多いとされています。

図解まるわかりDXのしくみ

 特定のシステムや技術が分かりにくい場合は、システムを3階層で考えるとよいようです。具体的には、①デバイス、②ネットワーク、③サーバー/クラウドの3つです。

 DXを目指す取り組みにおいては、①デジタイゼーション、②デジタライゼーション、③DXの3段階に分けて捉えます。デジタイゼーションやデジタライゼーションは、DXの実現に至る前段階の過程です。

図解まるわかりDXのしくみ

 経産省は、2025年までに企業がDXを推進することを求めています。これは、いわゆる団塊の世代が75歳以上となり、現在稼働しているレガシーシステムを維持してきたエンジニアたちが一気に第一線から去ることを想定しているためです。これを、”2025年の崖”といいます。

 DXを推進するには、CDO(Chief Digital Officer)とCIO(Chief Information Officer)を選出するのが有効です。CDOは、デジタル戦略の策定並びに推進するDXの責任者です。CIOは、IT戦略の策定並びに推進するITやシステムの導入・運用の責任者です。
 CDOを選出することで、DXに向けての戦略策定や実行などの行動を起こすことを内外に示すことになります。また、CDOとCIOの兼務は困難です。それは、CIOにはIT戦略策定だけでなく、既存のシステムを維持する役割もあり、特に既存のシステムを維持する役割の負担が高いためです。

 DXは、新ビジネスとして語られたり、既存ビジネスの変革として語られることもあるため、混乱しやすい特徴があります。これに対しては、新ビジネスと既存ビジネス、新システムと既存システムの2軸で捉えると整理が可能です。既存ビジネス×既存システムでは、DXとして認知することは難しい一方、「新」があればDXとなり得るのです。

図解まるわかりDXのしくみ

 顧客接点や各種データ取得は、フロントエンドの技術によります。フロントエンドの技術は、ソフトウェアとデバイス(ハードウェア)に分かれます。
 ソフトウェアはAiやRPA、Webアプリなどがそれにあたり、デバイス(ハードウェア)はスマホやPC、ロボット、ドローン、IoTセンサー、カメラ、GPS、ビーコン、RFID、ARやVRのゴーグルなどがそれにあたります。

 AIの代表的な技術として、機械学習とディープラーニングがあります。これらは一見似ているように感じますが違います。
 機械学習は、AIがサンプルデータを反復して解析し、データを整理するルールや判断基準などをモデルとして構築します。そして、処理が必要なデータに対して構築されたモデルを適用して処理します。一方、ディープラーニングは、膨大でさまざまなデータから自律的に特徴を学習する人間の脳に近い形で処理を実行します。

 RPAの導入効果は、4つの効果の組み合わせから生まれます。4つの効果とは、①効率化(正確性)や生産性を高める”RPAが持つ特性による効果”、②反復やスケジューリングといった”ロボットファイルの設計ノウハウによる効果”、③”システム構成や連携するシステム全体としての効果”、④”業務の見える化や分析によって業務を改善する効果”です。

 DXの実現には、デザイン思考の活用が増えています。デザイン思考とは、デザイナーなどの仕事の進め方をベースにした考え方で、5つのステップで構成されています。①共感(本当に求めているものは何か)、②定義(どのような状態を目指すのか)、③創造(そのようにしたらそこにたどり着けるのか)、④試作(実際にどんなものか)、⑤検証(ユーザーと検証)の5つです。

 以上、DXのしくみを概観しました。医療機関においても、DXの推進は喫緊の課題です。まずは組織化を図り、デザイン思考に即して推進することが必要だと感じます。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

文献
西村泰洋(2021)「図解まるわかりDXのしくみ」株式会社 翔泳社

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