2020.2.15 映画『侍の名のもとに〜野球日本代表 侍ジャパンの800日』を観てきた話

今日は、『週刊むらみん』では初めて野球の話を。映画を観てきたのでその感想です。ちなみに、この note では、野球詳しくない!という人にもなるべく面白いと思ってもらえるような話を書こうと思ってます。
早めに言っておきますが、この映画は 2週間限定上映!来週には上映終了してしまうので、気になった人はお早めに。

2000年代の野球界では、オリンピックやワールド・ベースボール・クラシック (WBC) といった国際大会が開かれるたびに監督決定と選手招集を行っていたのだけれど、2013年のWBC以降は常設化された日本代表チーム「侍ジャパン」。2017年の WBC 敗退後に日本代表トップチームの監督となった稲葉篤紀を中心に、2019年11月の野球世界大会「プレミア12」の優勝までを追う作品。「800日」とタイトルに有るけど,物語の中心はこのプレミア12の選手選考プロセス、そして大会期間とその準備期間に置かれています。

印象に残ったシーンをいくつかピックアップしようかと思います。

青年監督を支える歴戦のコーチ陣

指導者ライセンスなどが整備されているサッカーと異なり、野球界、特にプロ以上の指導者は指導者スキル、采配スキルよりもネームバリューが重視される傾向にあります。今回の映画で中心となる稲葉篤紀監督も、現役時代に日本代表でもキャプテンシーを発揮した人望こそあれ、監督実務の経験のない中でのトップチーム監督就任でした。

監督としての圧倒的経験不足を少ない実戦機会で補ってゆく過程もすごいのですが、その稲葉監督の周囲を固めるコーチ陣がとても頼もしい!こういったプロ野球チームのドキュメンタリーは、選手の素顔を見るのも良いのですが、首脳陣が何を考えているかを垣間見ることでも普段の観戦に深みが増します。
個人的に印象的だったのが三塁コーチャーを務めた清水雅治。三塁コーチャーはサインプレーや走塁判断など、重要なプレーに大きく関わる「もうひとりの監督」とも言われる役割ですが、清水の落ち着き払った佇まいに安心感があり印象的でした。

その他のコーチも本当に頼もしい。今回の映画では招集選手の最終選考会議のディスカッションの様子が収録されている (すごい!) のですが、ここでのコーチ陣の頭を悩ます姿が、個人的には一番の見どころです。

恒星・松田宣浩

ここ最近の日本代表で欠かせない光景といえば、松田宣浩 (通称: マッチ) が中心で煩くしている光景です。よく知らない人はこの動画 (たった30秒) を観てもらえば魅力が伝わるはず。

何がすごいって、この松田は今回の侍ジャパンに招集された選手の中で最年長。2013年以降2年おきに行われている国際大会 (WBC、 プレミア12) に欠かさず出場しているのは、もちろんこの元気の良さだけでなく実力も伴ってなのですが、最年長でこの熱さでチームを引っ張れるの、ほんとすごい。

今回の映画に出てくる松田の姿は、野球ファンの知っている松田そのものなのですが、どちらかといえば「マッチは隅々までマッチだな」と再確認できる良さがあります。あのマッチの元気の良さを分けてもらえるだけでこの映画を観る価値があった。そんな気すらします。

あの「ジョーカー」選手への首脳陣の惚れ込み

今回の選手選考で大いに話題になった選手がいます。福岡ソフトバンクホークスの周東佑京。事前にメディアでは話題にはなっていたのですが、「本当に選出するのか!」と驚いた野球ファンは多かった選手です。

劇中でも「大出世」という言葉が出てきますが、どれくらいすごいかといえば、年俸5,000万円は下らない選手がほとんどで、1億円を超える選手もザラにいる今回の招集選手の中で、周東の当時の推定年俸はなんと600万円。何も知らなければ誤植かと疑ってしまうような、まさに「桁が違う」わけですが、この選手が本当に窮地を救うのですから、何があるかわからないものです。

前述したように、この映画の四分の一は選手選考に苦悩する首脳陣の姿なのですが、とにかく稲葉監督のみならず他のコーチ陣も周東の脚に惚れ込み、頭を悩ませるのです。劇中でも触れられるのですが、2020年の東京オリンピックでは登録可能な選手枠がプレミア12の28人から4人減って24人になります。大会前は「プレミア12で登録されても五輪では外れる」という見方が大勢でしたが、今回の大会を承けて、更に首脳陣が苦悩するのか…ということも考えながら侍ジャパンの東京五輪への道を追うと、更に面白くなるのではないでしょうか。

もう一度いいます 観れるのはあと1週間!

なんの回し者でもないのですが、野球を知っている人はもちろん、知らない人もその人間模様にきっと思うことろが出てくるであろう良作。調べてみると結構いろんな映画館で上映されているので、気になった方はぜひ足を運んでみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?