新生児と共に過ごす WFH, 本当にあって良かったモノとか,やってよかったコトとか, 思い出とか

Facebook や職場などでは報告していたが、先日、我が家に第一子となる長男が誕生した。幸いなことに母子ともに健康だ。

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今のところの子育ては、なんとか、というか、比較的スムーズに諸々が進んでいるのではないかと思っている。実際に子供と生活してみて思った「あってよかった」ものを、忘れないうちに書いておく。

状況

とにかく夫婦が置かれている状況は千差万別だ。新生児の子育て体験談もすべて N=1 な事例だということを念頭に置いて読むべきなのは言わずもがな。大学受験の合格体験記みたいなものだ。

私たちアラサー夫妻は東京23区にある2LDKのマンションに住む。4月の COVID-19 に係る緊急事態宣言が出た頃に、お互いの仕事は WFH (Work from Home) が原則となった。(私は四半期に1度程度、妻は月末の繁忙期に出社する感じ)。通常の法令に則り、妻は6月中旬から産前産後休暇に入った。

私も妻も実家は関東圏 (東京から在来線で1時間程度) にあるが、妻が都内の特定の産院での出産を希望したり、出産後も私との子育てスキルの乖離を最小限にしたいという狙いもあり、里帰りでは出産せず、また出産後も実家ではなく都内の自宅で生活することとした。

 妻のお父様は定年を迎えたこともあり、産後は週に1度、我が家に足を運んで頂き、その日の夕食と作り置きの副菜を何品か料理していただく、というサポートをしてもらっている。それ以外の食事の用意は基本的に私の仕事だ。 (調理の時間が週に2~3時間浮くだけで本当に楽!ありがたい。)

産後ケア

何より良かったのが、自治体が行っている産後ケア。詳しくは各自がお住まいの自治体が用意している案内を参照してほしいが、例えば私の職場がある台東区だとこういう感じ (実際の私の居住区とは違う)。

お産直後の母親は心身ともにズタボロの状態での退院となる。産院によってポリシーは異なるが、私達のお世話になった院では出産当日から母子同室での入院生活となり、昼夜を問わず3時間毎に授乳が必要なため、その度に目を覚ます。我が子供の通った産道は出口が裂けて出血も止まらず、身体を動かせば動かすほど, その傷は悪化する。正直な話、退院直後の妻は食事のために食卓でも椅子に座れず、立ったまま食事を摂ったほどだ。

里帰りをすれば、妻はひたすら寝て、義父母に新生児の世話をお願いすることも出来たかもしれない。それをしなかった私達にとって救世主だったのが、退院後に2日間を自宅で過ごした後に数泊お世話になった宿泊型産後ケア。自治体指定の産院に宿泊施設が併設されており、私達のお世話になった施設では「とにかく母体を休める」ことを第一として、食事は3食、沐浴や授乳等の指導は適宜挟むものの、深夜の授乳も夜勤の助産師に任せられるので寝不足気味だった妻は心身ともにかなり回復できたそうだ。自治体の補助があるため、私達の場合は自己負担は1泊1万円程度 (自治体や施設によって金額や制限は異なるのでご確認下さい)。宿泊施設単体として見ても超優秀。出産した産院とはまた違った育児アプローチを知って知識の相対化が出来たのも良かった。

今思えばこの産後ケア宿泊なしに夫婦と息子3人での生活を本格始動させていたら、間違いなく気持ちの余裕が無くて何かしらガタが来ていたと思う。出産から約1ヶ月を迎えるが、小さなトラブルはあっても比較的上手く子育てをやってこれているのは産後ケアがあったからだと思う。

ベッドライト

私の最も好きなラジオパーソナリティである伊集院光さんが、『伊集院光とらじおと』 番組アシスタントの竹内香苗さんの出産祝いにプレゼントした際に喜ばれてからというもの、一時期、伊集院自身が在庫を抱えて周囲の人や出産予定があるリスナーに配っていたというベッドサイドライト。これ本当に良い。大活躍中。

子供の生活リズムを確立させるために、なるべく夜7時から翌朝までは明るい場所に子供を寝かない、ということを大事にしている。それでも2~3時間おきの授乳とおむつ交換の時間は必ずやってくる。

当初は、寝室の照明の常夜灯に頼ったが、親の背中側に照明が来てしまうことで大事なところが影になってしまったり、ベッドメリーに付属しているライトでなんとかしようとしたが、光量が足りなかったりもした。

そこでベッドサイドにこのライトを置くようにした。必要な場所から必要な場所に必要な光量で照らせている感じが本当にちょうどよい。私の感覚としては、とにかく夜中のオムツ替えでお尻についた 💩 の拭き取り精度が格段に向上した。これはうまくやらないとカブレetcの原因になるようだし、何より子供自身がキモチワルイはずなので、大事。

蓋付きゴミ箱はベッドの近くに

乳児・新生児はとにかく圧倒的なベロシティでオムツを排出する。ベッドサイドの専用ダストボックス設置はマストだ。当初はオムツ替えのたびにキッチンまで歩いてごみ捨てをしていたが、半日で諦めた。

離乳食を食べる前のこどもの便は不思議と嫌な匂いがしない、とは言うものだが、流石に使用済みオムツの山からは独特の匂いが程よく感じられる。ダストボックスは必ず蓋付きに。そして消臭剤はきっちり設置。それでも、匂いに「ウッ」となるときは、なる。離乳食が始まったらどうなるのか…

ベビーモニタ (ネットワークカメラ)

リビングと寝室は、「ギャン泣きは聞こえる程度」には離れているので、ベビーモニターを設置。食事をしている間でも、使わなくなった サブ機の iPhone をテーブル脇や私の仕事デスクに置いている。今のところは新生児であり、自らベッドから出ようとすることもないが、様子を見ているだけで安心感がある。

また、「寝言泣き」や「暇つぶし泣き」と言われる、別に空腹でも排泄の不快感でもなく、新生児のルーティンとして泣き始めるパターンが有るのだが、ネットワークカメラで様子を定期的に観察していると、この寝言泣きのパターンはおおよそ読み取れるようになった。それが分かると、無駄に神経を張っておく必要がなくなる。それだけで育児のスタミナの持ちが全然違う。

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(テーブル近辺が汚くて恐縮だ!)

安いネットワークカメラだと、中国の無名なメーカー製で、映像の配信もそのメーカーのサービスを使うことになるので、セキュリティなど心配な面も拭えないのでそこは自己責任で... と割り切っている。

AirPods Pro

我が家の場合、父である私のこの1ヶ月間の平日のメインミッションは「仕事中でもどうしても妻が手を離せないときの子供のケア」「夕方の沐浴」「退勤後の子供のケアは適宜分担」そして「それ以外の家事は原則全て」であった。これまでの夫婦生活では夫婦間の家事を分担するだけで済んだので、家事仕事量は当然増加。特に、これまで昼食&夕食の用意は妻に任せきりだったのが、私のミッションとなった。

Engineering Manager 的な仕事が多いのでミーティングも多い自分の仕事だが、「耳を立てていれば良いミーティング」も時折あるのは事実。こういうときに AirPods Pro でミーティングを聞きつつ、掃除・洗濯・調理を回せるようになったのは明らかに Life Changing だった。それまで利用していた左右がケーブルで繋がったワイヤレスイヤホンとも違う軽さ、動画や音楽を再生中の着脱を感知しての再生停止機能、そして何よりノイズキャンセリングの威力!誰だよこんな最高なプロダクトを作ったのは! (彼が携わったのは `Pro` ではない初代の AirPods)

職場の理解

そんな最高のプロダクトを手掛けた経歴を持つ我が上司は、自らを「実質アメリカ人みたいなもん」と自称される背景もあってか、私自身のライフイベントを最優先にさせてくれた。そのことが何にも代え難かった。

最近の私自身はエンジニアというより、採用活動や評価制度の整備、組織マネジメントといった仕事をすることが多く、自然と上司であるCTOとのやり取りも多くなったのだが、息子が生まれる前日、どのタイミングで稼働が少なくなるかの概観を報告したところ、彼が言ってくれたのは「今週いっぱいむらみんさん不在前提で動きます!」の一言だった。

その言葉があったから、仕事に引かれた後ろ髪をすべて切り落として、夕方から妻と一緒に分娩室に入って、翌日の昼に息子が産まれるまでの約20時間を妻と息子のことだけを考えて過ごす事ができた。それが何にも代えられない時間だったと、その時が過ぎ去って改めて思う。自分もこれから多くの部下とともに仕事をすると思うが、同じ境遇に立った"未来の父親"を、同じような勢いで送り出してあげたいなと思った。

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「産まれるのは早くても明日、日が昇ってから」と看護師に言われ、一度は私だけ終電で帰ろうかとも思ったが、23時ごろに息子の心拍数が突然に下がったことが心配になったり、そういえば自分は父親の死に目には立ち会えずに母親からの電話も会議中で気づけなかった事を思い出したりして、「帰るの、めんどくなっちゃって」と、夜通し分娩室に居ることにした。深夜3時に、自分の夜食と妻の飲み物の買い出しに産院の外に出た時、あまりに空が綺麗で清々しかった。明日が来れば、しばらくは「妻と2人の生活」ではなくなるんだなぁ、と改めて実感したりしていた。

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朝になると分娩室に出入りする医師や助産師も増えて慌ただしくなり、昼過ぎに出産。息子は元気いっぱいに泣き、しっかりと差し出されたタオルをつかみ、私の向けたカメラに簡単にポーズを決めてくれた (と、思ってしまう親バカを私は早速発揮している)。妻がぐったりしたままなかなか回復しないことが心配だった中、陽が傾き始めた頃にあのCMを思い出して、真夏の日差しが少し優しくなった空を撮った。

分娩室に立会家族用のベッドが用意されるわけもなく、ガチガチに張った脚腰をなんとか動かして産院を後にした。帰宅してから、生後2分からiPhoneのカメラを回して撮影した息子の動画を繰り返し眺めて、また涙していたのだった。

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