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マルチビジネスに勧誘された時の話

大学生時代、出会ったものはたくさんありますが、
マルチ商法もその一つです。

マルチ商法とは別名ねずみ講と呼ばれ、会員が新規会員を誘い、
その新規会員がさらに新しい会員を誘い入れるという
システムによって規模を拡大していく仕組みのこと。

多くの場合この連鎖を結び付けているのは紹介料で、
会員は新しい会員を入れれば入れるほど
紹介料を手にすることができます。

なぜ会員が紹介料にこだわって勧誘活動に熱心になるのかというと
これまた多くの場合入会する際に多額の入会費を取られるからです。

その入会費を回収するために友達や知り合いに連絡をし、
同じ沼に引き込もうとする。

マルチ商法の注意点を簡単に2つ挙げると、

・入会の段階では別の活動を掲げている場合があること。
・このシステムで苦汁を飲むのは一番末端の人間ということ。

です。

私は大学2年の時、マルチの勧誘を受けた経験があります。
今日はそのありがたい思い出を記していきます。

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マルチを紹介してくれたK君に出会ったのは大学1年の春。
野球サークルの体験入部で同じになり意気投合する。

結局そのサークルには入らなかったものの交流は続き、
LINEのやり取りをするほどの仲になった。

彼は2浪での入学だっただけに同級生と比較して焦りを感じていたようで、だからこそ早くから色々行動している姿は素直に感心していた。

大学1年の冬あたりの時にも彼は社会人に向けた素養を磨くため、
有料のセミナーに入会した。
100万円ほどかかったが、人脈も広がるし満足なのだと言っていた。

今思えばこれが危ない兆候で、
詳しく聞くと中身は
何をやるのかもわからない「恋愛セミナー」など
玉石混交で、費用に見合ったセミナーなのかは眉唾だった。

誘いは突然だった。

K君「今お世話になってる人で資産運用してる人がいて、
紹介したいんだけど空いてる?」

久々に会ってカフェにいる時に言われた。

この時は普通に話してる流れだったし
経営学科に属する身として興味のない話ではなかったので了承した。

数日後の朝9時(休日なのに早すぎ…‼)渋谷のルノアールに呼ばれた。

少しかっちり目な服で!と言われていたので
セミフォーマルで、友人はスーツだった。

9時集合だったが、時間には「偉い人」は来ず、
初めの30分はその友人からの金融レクチャーが行われた。

催眠術師は術にかける前に予備催眠をかけるというがその類だろうか。

これからの時代不労所得がないといかに厳しいのか、
そしてその「偉い人」がいかに優れた人物なのかを刷り込まれた。

レクチャーが終わったころ「偉い人」登場。

大学を中退するも今は20代ながら
複数の会社を経営していると自己紹介があった。

名刺は渡されなかった。F氏とする。

F氏からはその組織でやっている投資についての説明がなされた。
あとから調べるとそれはバイナリーオプションという
種類のもののようだった。

バイナリーオプションについて簡単に説明する。

  • 株価なり通貨の上昇・下落の二択で取引が行われる

  • 一定時間後の上昇・下落を言い当てられれば配当率に応じた返金がある

  • 一方で外してしまうと購入した金額ごと没収される

バイナリーは2進法を指し
一定時間後に上がったか下がったかだけで勝敗が決まる
極めて簡単なシステム。

私が聞いた話で言うと、
一定時間というのは5分後とかでもよく、
手早くお金を出し入れできる・500円から賭けられる
ということだった。

この投資方法自体は世に存在するものではあるが、
F氏はこの上昇・下落を予測するシステムを開発し、
入会の際にはそれを購入することが条件だという。

ここまで聞いて私は、射幸心を最大まで煽ってから
そのシステムの値段を言おうとしているF氏の意図が見え見えで
すでに疑念を抱いていたし、
こういうギャンブル事は自分には合わないと肌感覚で直感していた。

そもそも普通の株式投資と違い、
500円かけて負けたら0円になるから
勝率50%では大損こくことを私立文系大学生の私は見抜いていた。

たとえF氏の言う通りそのシステムを使えば
高い割合で取引を的中できるのだとしても、

よほど配当率が高いかシステムが非常に安価であるかでないと
すぐには元が取れない代物だということは冷静に考えればわかると思う。

ここまでは「自分はやらないだろうな」と思いながらも、
「そういうものもあるのか~」と興味を持っているふりをして
うんうんと聞いていた。

射幸心を存分に煽れたと思ったのかついにシステムの値段発表。
いくらだと思います?
ちなみに私はその場で聞かれたとき20万って答えた記憶がある。

正解は50万円だった。

何せ20万と答えたのは自分の銀行口座残高がそれだったからで、
当然50万円なんてぽんとは出せない。
「そんなお金すぐには出せないです・・・」

こう言うと、想定内だったのか
今度は2人して学生ローンを勧めてきた。

「この投資で努力すれば君ならすぐに元は取れる!」
「不安なら月々の利子分だけバイトで稼げばいい」
「俺も学生ローン組んで始めたから大丈夫!」

初対面の人間に平気な顔で借金を勧めてきたF氏、
そいつを紹介してきたK君の信用はもはや失墜していた。

だが持前の好奇心がうずき、
行けるところまで行ってみようという気になった。

この団体がマルチ形式であることもこの後分かった。
もし私が入会したら紹介料がK君の元に入るという。

つまりマルチ組織でいう「入会費」はこの組織では
システム購入費の50万円だといえそうだ。

一通り話しきった後も私が煮え切らない態度をとっていると、
仲間が渋谷のカフェにいるから話聞いてみなよと提案してきた。

もちろん行った。

F氏とは別れて今度は近くのサンマルクに行った。
そこには職業不詳の若い男性2人組がいた。

T氏とS氏とする。S氏はジャングルポケットの斉藤に似ていた。
話し方も似ていたw

始めたいときに始めればいいよと言ってくれたF氏とは違って、
2人は今すぐ始めろ派だった。

今始めなかったら多分やらないからチャンスを逃すことになる。
やるなら今だ。

ということを何度も言われた。

イケメンのT氏は厳しめで斎藤似のS氏は優しい感じで良いバランスだった。

結局色々話した後返事はあいまいにして店を出た。
こちらの2人はコーヒーをおごってくれなかった。。

それからも返事をはぐらかしそれなりの距離を保って接していた。
たまにLINEが来たり連絡が来たりして心変わりしていないか聞かれたがそのたびに「やらない」と答えた。

ここ数年は誘いが来ていない。

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こんな私のマルチ騒動を懐かしみながら書いてみました。

この記事を読んでくださった皆様に伝えたいのは、
向こうから寄ってきたうまい話には疑ってかかるべし!ということです。

私の場合は前頭葉が発達しすぎているので
よほど論理的に確実性を説明されない限り乗らないと思いますが

周りと自分を比べて焦りを感じてしまう人や
人の話をそのまま受け取ってしまうまじめすぎる人は要注意です!

インスタのストーリーなどでも、豪遊している写真に
「お金困っている人助けられます」などという文言を添えた投稿を
しばしば見ます。

周りの友人でも久々に飲みに誘われたと思ったら
マルチの勧誘で寂しい思いをした人がいる。

マルチや怪しい投資は一見お金が儲けられてよさそうと
思うかもしれないですが、
その布教活動によって多くの良識ある友人を失う結果になるのです。

自分の時間やお金をどう使うかは個人の勝手ですが、
少なくとも私は友人やお世話になった人を裏切るようなことには
使いたくないし、
皆様には大事な人がこうした話に騙されそうになっていたら
止めてあげてほしいです。

しかしながら生きていて1度くらいは
マルチのお誘いを受けることもあるかもしれません。

その際は経験として話を聞いて見ることをオススメします。
きっと面白いので。

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