「10回クイズ」がむしばむわたしたちの生活
本を読んでいたら、
「ちょっとしたエクササイズをしましょう」
とあった。
頭の体操、みたいなこと。
1 できるだけ早く「シルク」と5回いう
2 次に、シルクのスペル「s i l k」を4回、声に出していおう
3 今度は、「シルク」と6回いう
4 次は、スペルを声に出して5回繰り返す
5 また、「シルク」と7回いう
6 では、メス牛は何を飲む?
答えは、「ミルク」じゃなくて「水」。
わたしは、1から2 にいった段階で6を見て、
「ミルク」
と思ってしまったあとに、「水じゃんかよ」と赤面した。
『なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか』(p112)
にあったエクササイズだけど、
要するに「10回クイズ」でしょ。
「ピザって10回いって」の。
「プライミング効果」というそうだ。
先行する刺激(プライマー)が潜在的な呼び水になって、
後続する刺激(ターゲット)が関連性のある反応をしてしまう。
「ピザピザピザピザ」いってると、
「ひじ」を指さされて「ひざ」と答える。
日常的に、たとえばあれがダメこれもダメという評価基準を植え付けられると、
そのあとの思考や行動がその評価基準に影響を受け、
ちゃんとした考察や思考をせずに「あれはダメ」と判断する。
思考停止状態になっているのに、気がつかない。
そんなもんだ、という偏見に陥ってしまう。
ダメダメじゃなく、こういうもんだ、
という固定化された認識でのプライミング効果は、
「ミルク」の日本語訳はなに?
っていうのもある。
ほかにも自分自身が日常的に、
プライミング効果で思考停止しているものはないだろうか。
『なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか』ハワード・J・ロス 御舩由美子訳 原書房 2021年