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バス停でのコミュニケーション

バス停で困ってそうだった。

しょっちゅう、前の人のスーツケースに白杖をぶつけていた。
その女性は目が見えない。
バス停にバスが到着した。だけど、
列がどんなふうに進んでいるか、わからない。

「こんばんは。左側から失礼します」
「いっしょに歩きましょうか?」

と声をかけた。
「大丈夫ですか?」
はNGワードだ。
人は「大丈夫ですか?」と聞かれたら、
条件反射で「大丈夫です」と応えるものらしい。

「列はゆっくり進んでいるようです」
状況をお知らせする。
「はい、1歩進みましょう」
「あと3歩でバスに乗ります」

乗り口に到着。
「時計でいうと3時の方向に乗り口があります」
「お先にどうぞ」

バス停は「田端駅前」。電車から乗り換えるお客さんで、
バスは少し混んでた。

その女性は、手すりにつかまって立つことにした。
「そばにいますから、なにかあったら声をかけてください」

しばらくお互いに無音。
「小台」のバス停についた。
「わたしはここで降ります。お気をつけて」

大隈塾では、ミライロの垣内俊哉さんに講師になっていただいて、
年に1回は必ず、ユニバーサルマナーについて学んでいる。
そして、「グローバル・コミュニケーション」という本間正人先生のワークショップも毎年やっていて、
そこでは「ブラインドウォーク」のペアワークもやっている。
2人一組になり、ひとりが目をつぶって、もうひとりが案内する。
コミュニケーションのトレーニングだ。

「ブラインドウォーク」というペアワーク

わたしのお声がけが正しいかどうかはわからない。
でも、たぶんイケてる。
ユニバーサル検定2級をとっているし。

「心のバリアフリー」というらしい。
それは、
「コミュニケーションや他者理解などを通して、さまざまな人のバリアを取り除く」
とされている。
そのためには3つのポイントがある。
①「障害の社会モデル」を理解する。
②差別をなくし、合理的配慮を行う。
③多様な人とコミュニケーションをとる。

2017年に閣議決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」の中に記されている。

わたしがやったのは③。

あのあと、バスの中のだれかもコミュニケーションとってくれてればいいなあ、と思う。