新しい市役所まだ建たないのか問題
釜石には、「新しい市役所まだ建たないのか問題」がある。
昭和61(1986)年に検討され始め、
令和5(2023)年になってもまだ建たない。
37年経っても、
建設も始まってない、というか、入札も終わっていない。
なぜ???
市役所の担当の方に聞いてみた。
①1986年の検討開始は、市役所内でのこと。
昭和29(1954)年に建てられたので、
30年経ったのでそろそろ考えないとね、という話になった。
(釜石市庁舎建設検討委員会)
②平成2(1990)年
鈴子地区(釜石駅の近く)にしましょう、と決まる。
基金をつくってお金をため始める
③平成6(1994)年
鈴子地区に用地を買う(新日鉄の土地だった)
④以降、膠着状態。
財政の悪化による市長の判断などがある一方で、
市民病院の経営難で基金のお金をつぎ込んで、
新市庁舎建設のお金が激減してしまう。
結果的に市民病院は統廃合される。
⑤平成21(2009)年
市民の声を聞きましょうね、という会議体ができる。
(釜石市庁舎建設検討懇話会)
⑥平成22(2010)年
懇話会が「鈴子より天神町のほうが「ふさわしい」。
天神町はいまの市役所があるあたり。
⑦平成23(2011)年
東日本大震災
市役所の建て直しどころじゃなくなる
⑧平成24(2012)年
天神町のどこにしようか検討始まる
⑨平成26(2014)年
建設場所は旧釜石小学校跡地を「最適とする」
⑩平成27(2015)年
調査委員会をつくって、
「増改築」か「新築」かを検討し始める
⑪平成28(2016)年
調査委員会、「新築が望ましい」
そして、ここでも「市民の声を聞きましょうね」となって、
検討委員会がつくられる。
(釜石市新市庁舎建設検討委員会)
⑫平成29(2017)年
検討委員会、「旧釜石小学校跡地」で決定
⑬平成30(2018)年
市議会などが「建設場所は天神町」で了承
このあたりもフォーカスが広がったりして停滞気味
⑭平成31、令和元(2019)年
基本計画、設計図ができる
⑮令和2(2020)年
内閣府が「日本海溝沿いの最大クラスの津波浸水想定」
新しい市役所は1〜2m浸水することがわかる
⑮令和3(2021)年
実施計画、条例改正、予算の成立
敷地を1〜2m嵩上げすることにする
⑯令和4(2022)年
岩手県「津波シミュレーション」公表
嵩上げしてもさらに3m浸水することになる
⑰令和5(2023)年
資材高騰などにより入札予定業者が辞退
担当の方は、
「たしかにのんびりしてますよね」
と。
東日本大震災があったことが大きな原因ではある。
そして、たびたび「市民の声を」で立ち止まるのはいい。
国(内閣府)や県(岩手県)が津波シミュレーションをアップデートしたことも、
人の命を守るものとしては当然のこと。
コロナや円安で原材料が高くなったり、
全国的に人手不足になっていたり、
いろいろと想定外の悪条件が重なってきた。
でも、のんびりし過ぎじゃないかとも思う。